経済産業省
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産業競争力部会(第5回)-議事要旨

日時:5月18日(火)18:00~20:15

議事概要

冒頭、直嶋大臣よりご挨拶

  • 今回は、法人税や産業再編などの横断的な施策についてご議論いただきたい。まずは、産業構造ビジョンを策定するにあたっての私の問題意識を申し上げたい。
  • これまでご議論いただきましたように、日本の産業は歴史的な正念場に直面している。リーマンショック以来の不況から日本経済は立ち直りつつあるかに見えるが、実際の産業の現場は依然と深刻な状態にある。日本の産業は、これまでの延長線上では、今後衰退していくと思われる。日本の産業の構造的な問題を、官民それぞれが、真剣に受け止め、自ら変革をしていくことに、日本の将来は決まる。その意味で、現在我々は岐路に立っている。
  • 世界は、産業をめぐる新たなグローバル大競争時代に入っている。世界各国をみると、勝ち組といわれる国は、官民一体となって血のにじむ努力でもって、自らを変化している。我が国においても、官民ともに、これまでの発想を転換し、大胆に産業政策を見直す時期に来ているのではないかと考える。
  • 法人税の改革について、一言申し上げ。我が国の成長戦略を考える上で、国際的に突出して高い、法人税の負担は看過できない。世界各国は、自国の立地競争力強化に向けて、法人税改革に全力を挙げている。もはやわが国でも、法人税改革は待ったなしである。
  • そこで、私から提案がある。一つは、法人税率を国際的な水準である、25~30%への引き下げを目指していくことである。その際、表面税率だけでなく、実際の法人税負担の改革を行うことが大事である。待ったなしの法人税改革を一日も早く実行していくために、まず、来年度5%程度の引き下げを提案し、実現させたいと考えている。あわせて、各国の動向を踏まえた研究開発投資に対する強力な後押しも用意したいと思う。
  • これまでの議論を踏まえ、日本の経済の成長を阻む厚い壁を突き破るために、官のなすべきこと、民のなすべきことを明らかにし、必要な施策を、勇気をもって打ち出していきたい。ぜひ今日は忌憚のないご意見を頂戴したい。

委員からのご意見

全体に関して

  • 現在、国と国が総力を挙げた競争を行っている。個別の企業・産業だけではどうにもならない部分があることを認識する必要がある。
  • 各省庁にまたがる日本の弱点を改善・解決し、財政の厳しい中で成長戦略をいかに軌道にのせていくかがこれからの日本経済の課題である。早期の実行実現を期待する。
  • 国際社会の中の日本の存在感がものすごく低くなっている。国際社会での存在感の高くなってきている韓国では、10年~15年前から自国内にいたのでは産業競争力が他国に負けてしまうという危機感を感じてきたため、サムスンやLGに代表されるように国際社会においての存在感を高める努力をしてきた。
  • 多くの意見を反映させ視野を広げていくと、平板で総花的になり立体感がなくなっていき、何を実行しようとしているのかが見えなくなっていくことに問題意識を持っている。
  • 政策思想の基軸をしっかりととらないといけない。過去競争主義・市場主義の徹底という政策思想のもとに、新自由主義的方向観でこの国をひっぱっていくという方向性で、エネルギーなどの政策論がとられてきた。今回の私たちの議論では、新自由主義の結果を踏まえて、新自由主義後の国の方向性を明確に示さないといけない。エネルギー戦略、資源・環境政策等においても、政府による強い束ねる力が問われているのがシステム輸出であるとかあらゆる議論の根底にながれている思想であると思う。きちっと機軸を束ねて、ぶれない思想を作っていくことがまとめていくために必要であると考える。
  • 日本産業の弱点を果敢に補っていく問題意識が強くないといけない。その問題とは、資源・エネルギー・食料の外部依存の高さであり、その問題を解決していかなければならない。産業力で培ってきた技術を注入してでも、資源・エネルギー・食料の外部依存度の高さを解決していくという意気込みが必要。本シナリオが、海洋等の新しい視界をとりこんだ上で、資源・エネルギー・食料問題にどう取り組んでいくのかに対しての明確な問題意識を反映したストーリーになっている必要がある。
  • 国民に希望を与えるために、職の創出という視点が必要。年収300万円以上で働き甲斐がある仕事をこのシナリオを通じてどう生み出そうとしているのかという視点が重要。例えば、農水省との連携で、職の分野を支えてくれるという部門で、年収300万円程度の雇用をいかに生み出していくかという視点が重要。また、寝たきり老人や生活保護を受けている人々に対して多額の国費を支出しているが、この支出を減らすためにも、そうした人々が元気に向き合える仕事を創出する意気込みが示されているストーリーが必要。食の再生といった、農水省の施策と結び付けて、農業とか食料とかいう分野で50万から100万の雇用を生み出していく視点が重要。
  • 2015年までの5年間で日本のブロードバンド環境をいかに整えていくかが、日本のあらゆる産業分野、産業競争力に重大な影響を及ぼす。次世代ICTの整備に徹底的な強い問題意識をもって、シナリオを組み立てる必要がある。日本のICT競争力が今年の報告書によると、昨年の17位から21位に落ちた。トップのデンマークに比べ、日本のブロードバンド環境をどのように整えるのかを、総務省と連携して、経済産業省もしっかりとした政策論を組み立てていく必要がある。総じて、物語を他省庁の戦略との相関を考慮してどのように描き出すかという立体感をもたせないと、重要な項目を並べただけのものになってしまう。
  • 企業としては、日本に残すべきものと海外に移転していくものをはっきりとわけて考えなければならない時代になった。日本に残すべきものは、ものづくりの拠点として、先進的な研究開発、生産技術を含めて、そういう力をきちんと蓄え海外に移転する拠点。海外移転の時も日本の力がどう生かされるかを考えなければならない。雇用の問題、人材育成の問題、産業再編の問題も、日本でどうするか、海外でどうするかをしっかりと考えなければならない。グローバル競争の中で勝っていくためにどうすればいいかを企業で考えなければならないし、国としても考えてほしい。そういう中で、どういう研究開発をしたらいいのか、戦略的な拠点づくりは、普及の側面からどう進めたらいいかを真剣に考える時期になって来ている。海外に移転する際に、そのモデルタウンを海外に移転することもできるので、どういう形で海外に移転したらいいのかを考えなければならない。
  • 中国を訪問した際に感じたことだが、国のリーダーシップが大変強い。また、普及に対して積極的である。例えば、すでに20都市で、電気自動車のインフラを整備しだしている。技術的にどうあろうと、将来の環境・省エネルギーを考えた上で、各地方都市ですでに投資し始めている。大変スピードがあり、普及のスピードも速いと感じた。環境・省エネに関して中国企業は、日本企業とともに事業を行いたいと考えている。産業協力をどう進めていくか、グローバルな競争の中でどう事業構築していくかに関係すること。テーマ、目標、スピード、仕組みを合わせて考えることが大変重要。テーマと目標を設定した上で、アクションプランをはっきりと決めて進めていただきたい。どういう仕組みでやるのかに関して、省庁間連携、国と地方の連携、他国との連携、業界間の連携もある。その連携をどう構築するかによって、この施策の成否が決まると思う。スピード感をもっていい仕組みを作って進めていくことが大事。

法人税

  • 法人税率を引き下げることが財政健全化に寄与するという指標として、法人税率を下げることで税収に対する法人税収率が増すという分析が本日の資料で出されたことについては非常に評価している。
  • OECDの中でも最低といわれている、対日投資が改善されることを期待している。
  • 法人税改革は大変期待している。本日、大臣から頼もしいお言葉をいただき、非常に心強い。
  • 大臣のリーダーシップで法人税を下げるという方向性を示すことは大変意義がある。シンガポールの法人税をみると、アイテムごとにフォーカスエリアを決めているが、最終的にこの方向性に向かっていくのではないか。
  • 法人税改革にフォーカスにて述べたい。大臣からご提案のあった大臣の法人税の引き下げに関して、全面的に賛成であることを表明したい。政府税調の議論の中でも、今までずっと話されながら前進してこなかった施策である。今回の成長戦略における政府のコミットメントの一番大きな指針であるために、実現させてほしい。
  • 海外市場において、日本企業が活動し、稼いだ収益をもとにさらに投資を行い、経済成長を行うというサイクルを回していかなければならない。その際、アジア市場におけるメインプレーヤーとのイコールフッティングが大事である。すなわち実効税率だけでなく研究開発支援等の経済成長に貢献する企業に対する更なるドライビングフォースを加えるといいのではないか。
  • (法人税改革は)企業サイドからは賛成であるとは思うが、企業サイド以外からのこの件に対する意見も伺った上で、本部会の検討内容としてはどうか。
  • 法人税改革に関して、財政健全化にも貢献する提案であることが、説明の中にあったので大変よいと思う。ただ、消費者代表としては、「法人税が下がれば税収が上がる」ことに対する更なる説得力のある分析をしていただきたい。
  • 国際社会の中での存在感を高めるために、まずは、日本が変わってきたというわかりやすいメッセージを世界に打ち出していくべき。例えば、法人税を下げるというメッセージは、世界に対して日本が変わってきたというイメージを与えることができる。
  • 法人税に関して、早く実現していただきたい。同時に、研究開発、設備投資、人材育成に関しても相当国の支援が必要である。

産業再編・集約化

  • 国内での消耗戦をともなう過当競争体質からは脱却していかなければならない。本当の競争相手は、海外のマーケットにいる海外の企業である。それに打ち勝つためには、国内において体力を消耗するのではなく、国内では体力を蓄える方向に向かわなければならない。民主導による再編を促していく上で、再編の阻害要因をなくしていくのが官の仕事だとおっしゃったが、再編を促す際に官の役割は他にもあるのではないか。
  • 民主導の再編・集約化の中で、日本人のメンタリティーが阻害要因となることもある。ある合併が成立すると、自社の主導権がとれなくなるといった、心情的な反対もある。
  • 独禁法の適用に関して、国内マーケットだけを見るのでなく、国際的な競争力を考慮していかなければならない。実際韓国では、企業の国際競争力の向上を考慮していると考えられる。
    ※なお、現行の韓国独禁法においては、国際競争力の強化のための企業結合に関する適用除外規定はないが、運用においては一定程度考慮されているものと考えられる。
  • 他国では同業種企業の数が少なくそうした企業が世界的に競争力を持っているが、これは少数にしたから競争力が高くなったわけではなく、結果として少数となったものであることもあわせて考えておくべきである。80年代日本は、切磋琢磨して、商品力を高め、世界に拡販していった。しかし、スケールメリットが有効に働き、規模がナンバーワンであれば世界市場で勝てるのは既存産業の話である。イノベーションによって生み出す新しい産業分野においては、既存産業を再編して、規模だけを大きくしても強くはならない。オンリーワン戦略をとったときには、再編の仕方がスケールの話だけではないことに目を向けていただきたい。
  • (コーポレートガバナンスに関して)日本には、同業種に多数企業があるが、これは産業構造上非効率であるといえる。携帯電話にしても、各企業のエンジニアがそれぞれ別々のソフトを開発している現状は非効率と言える。もうからない部門に事業を抱え、人材・資金を使用している現状が、グローバル競争の中で日本の企業を弱体化している。制度上の問題含め、現時点で、経営者に対してもうからない事業を捨てるインセンティブがない。日本企業では、コーポレートガバナンスが不十分である。事業の取捨選択を促進する、あるいはプレッシャーをかける内容を盛り込んだ法制改革を行ってほしい。
  • ある製鋼会社同士の経営統合破談についてだが、その要因として、独禁法がある。電炉の大きさそのものではなく、その中のねじ筋の鉄筋の独占力が非常に強くなることが問題となった。あまりにも細分化したマーケットにおける、マーケットシェアが高いために独禁法が適用され、統合が進まない。適用範囲をより大くくりにすることにすることによって解決していくと考えられる。
  • 国内勢で合併する際に国内では独占力が強くなるが、グローバルに考えると独占力は低いマーケットがある。こうした状況に対して、独禁法の適用に際して、日本国内のマーケットにおけるシェアのみを考慮するのではなく、グローバルマーケットにおけるシェアを考慮しないと現在問題となっている日本の産業構造の再編は進まない。独禁法の法律改正は行われたばかりなので、法律改正はおそらく実務的には難しいのではないか。そのため、経済産業省の裁量で、あるいは産業競争力を強化するということが目的となる際に、運用でもって独禁法の拡大解釈を行うということが現実的かつ効果的である。
  • 「産活法の適用再編と非適用再編のカテゴリー」と「再編優遇税制のカテゴリー」がずれている。適格再編であっても優遇税制が受けられない分野がある。これは、経産省と財務省の考えのすりあわせができていないことからきているのではないか。省庁横断的にこの問題をとらえて優遇税制と産活法の活用のカテゴリーを合わせていくことを考えていくべき。
  • 企業統合について、「国内市場を見るだけで良いのか」という意見があるが、既に公取委の規定には「国際的な市場における市場に於けるシェアを見る場合もある」旨のものがある。申し上げたいのは、日本の場合、細かい商品のシェアにも注目するので、審査に時間がかかってしまう体質があるのではないか、ということだ。最近、実際に企業統合で独禁当局の審査を受けた際、日本では審査に11ヶ月かかった。中国では4ヶ月、アメリカでは事前相談なく申請後16日間で承認を得た。ただ、別の件でやはり各国の独禁当局の審査を受けた際は、中国で1年以上の時間がかかり、日本では短時間で承認を得ている。つまり、案件により各国の対応が異なり一概には言えないのだが、事前相談を受け、細かい商品のシェアを詳しく検討する日本の場合、比較的時間がかかってしまう場合が多いのではないかと思う。
  • 社外役員が一人か二人入ったからといって、ガバナンスが担保できるのかという問題がある。背景のことなる企業による形成されるホールディングスにおいては、個別の設計によるものが望ましい。
  • 今まで各企業が競争しながら協力する中で、新しい技術・技能が生まれてきたが、その機能が今非常に弱ってきている。縦割りの壁を打破し、地域政策と産業政策をうまくまわしていく施策を作っていってほしい。

人材・雇用

  • 産業競争力の基盤は人材であり、人材活用に対する踏み込んだ提案を評価したい。現場力、マザー機能を国内に維持するために、もの作り伝承育成塾を作るという提案があるが、こういった施策は今、非常に求められている機能であると考える。これをぜひ軌道にのせていただきたい。
  • (企業集積と産業集積の維持・発展に関して)今まで各企業が競争しながら協力する中で、新しい技術・技能が生まれてきたが、その機能が非常に弱ってきている。縦割りの壁を打破し、地域政策と産業政策をうまくまわしていく施策を作っていってほしい。
  • FTA・EPAの交渉では、相手国から人の移動の問題が必ず提起される。我が国はともするとこれを安価な労働力として受け入れる傾向があり、これが日本の労働市場に様々な問題を引き起こしている。現在、永住外国人が増えているが、教育や社会保障など移民として受け入れる基盤が整っておらず、様々な社会問題がおきている。そうした点をふまえて、人の受け入れを考えなければならない。
  • 現在の日本の雇用形態は正規か非正規しかなく、また企業が特定の技能を持つ人間を雇う環境なども十分に整っていない。しかし、現時点で正規・非正規といった働き方だけで雇用問題を解決できないのは事実で、よりよい雇用形態をどのように作っていくか、またその雇用形態を企業の中でしっかりと位置づけるためにはどうすればいいのかを試行錯誤しながら議論していく必要がある。
  • 正規・非正規二元論の克服に関してだが、既存の人材を有効に使えているかというと、日本は不十分である。働きづめの正社員か給料の低い非正規社員のどちらかを選ばなければならない現状があるが、その中間的なものをいかに作っていくかが求められている。今は、非正規の人たちの待遇の向上、雇用の確保、雇用の待遇改善という観点からしか議論されていない。しかし、ある程度プロフェッショナルな人たちが、社内の立場も、待遇も維持された状態で、働く時間や場所を限定できる働き方を作っていくことが大事。そういった多様な働き方を活用することで、今まで時間などが合わないために働くのをあきらめていた、意欲と能力がある人等を活かしていくことができる。
  • また、氷河期の頃の新卒だった人の能力が埋もれ、生活のめどもたたなくなっている現状がある。労働人口も減る中で、現実にある人材の能力をいかに引き出していくかを真剣に考える必要があるのではないか。採用の方法など、企業全体としても見直すべき。

アジア拠点化総合戦略

  • 日本において技術革新や経営革新をもたらすためには、日本企業や日本人だけではなく、海外の企業や人材を呼び込んで事業を行っていくことが極めて重要である。日本国内をグローバル化し、相互の刺激によるイノベーションを創出していくという考えが必要ではないか。日本が技術立国を目指すのであれば、日本の技術系・工学系の大学が協力して、「East Asian Institute of Technology」といった施設を東京・シンガポール・上海に設立し、そこで、日本人と外国人の学生の割合を半々にして、全て英語によって授業を行うのはどうか。そうすることで、日本のファンを作ることができるとともに、お互いが刺激を得ることによって日本人の若者を覚醒させるのに役立つ。
  • 日本のアジア拠点化総合戦略において、海外から高付加価値機能を呼び込むため、ターゲットを絞った大胆な施策を行うとのことだが、積極的に行っていってほしい。
  • 日本は知の鎖国状態にあり、日本を開くというメッセージを諸外国に与えるために、各論で具体的施策を示すことが大切だと考える。そういった面でも、税制のインセンティブやビザの優遇措置といった施策は効果があると考える。
  • 配当として日本国内に資金を還流することができる。しかし、海外への工場移転に関しては、税制の施策だけで阻んでいくことはできないように思う。税制だけでなく、働く人材含めインフラを考慮にいれないと厳しい。
  • 例えば、アジア各国が共同して大学を作り、日本人も参加し、その大学の他国の学生が日本に来る。そうした、日本を開くというイメージが大変大事である。インドネシア・フィリピンから介護福祉士・看護士の資格を取得するために、日本で日本語を必死になって勉強して資格試験を受けているが、合格者はわずかしかいない。ODAを用い、インドネシア・フィリピン等に日本語研修施設をつくり、そこで資格試験を行うことで優秀な人間を日本に受け入れることができる。そういうことをするだけで、日本が変わってきたなといったイメージを与えることができる。日本を開き、国際社会の中でリーダーシップをとれる国であることを国際社会に示す必要がある。

国際標準化・イノベーション

  • (標準化に関して)標準化はツールであり、標準化をするべき場合と標準化をするべきでない場合があることを認識するべき。「標準化を経営の柱に」という表現では、標準化すること自体が自己目的化されやすいために、標準化後の事業戦略も示唆するような表現がほしい。
  • 日本企業が強い競争力を持つ産業ロボットが標準化の問題で揺れ動いている。新興国が標準化によって日本のインテグラルな産業ロボットを浸食してきている。これに対抗する標準化戦略を策定していくべき。組立型ロボットにおいても、パソコン業界におけるインテルとウィンドウズによる戦略のように、どのように標準化を工夫したビジネスモデルと事業戦略を策定していくかが大事である。
  • 標準化といっても、相互接続性、相互運用性、評価方法や指標の標準化等があり、多様である。そのため運用をきめ細かくしていかないと、技術流出に終わってしまう危険性がある。
  • 「価値を生み出す」ことに関して、創出された価値を経済価値に転換し、それを普及してイノベーションを完結させるまでの視野を持たなければならない。現時点でのイノベーション人材育成は、インベンション人材育成に力が入りすぎている。経済価値に転換するコンバージョン、あるいは、普及展開させるディフュージョンを行う人材が日本では枯渇していることを認識していただきたい。ビジネスモデル・標準化・知財などを事業戦略として組み入れる人材が必要である。
  • 計測評価ということがあるが、技術起点型のイノベーションの源泉は計測評価にある。拠点をつくるだけで、中の機器が欧米製では日本は負けてしまう。拠点の中におくべき、日本自身の計測機器・計測技術・計測評価標準を開発する支援を行っていくべき。
  • 事業化が出口ではなく、事業の成功が出口。日本の研究開発は、出来た技術が事業化できても3ヶ月でつぶれてしまっている。研究開発した際のアウトプット・目的を、事業化や標準化ではなく、事業の成功であることをより認識していただきたい。
  • 日本の産業競争力の問題は、「脱自前主義」だけでは解決できない。「脱抱え込み主義」を目指さなければならない。すなわち、インベンション(技術開発)の段階だけでなく、ディフュージョン(市場形成)の際に、日本企業が自前の技術を抱え込んでいることが問題である。欧米勝ち組企業は、普及の段階で新興国をうまく使う。新興国とWin-WInの関係を作ることが求められる。その上で、知的財産にしても、標準化にしてもどこをオープンにし、どこをクローズにするかという戦略的視野がより必要となる。
  • インベンションの段階の戦略拠点のみに注意がいっている印象がある。イノベーションの後半である普及や市場形成に関する拠点・実証実験型拠点の不足があげられる。イノベーション特区という形で、例えば、テクノロジーとコンテンツがいかに融合できるかを実証・普及する拠点を作ることが大切だと考える。
  • 知財の活用に対する支援が必要ではないか。ベンチャー企業の活性化のために、ベンチャー企業に対する特許申請の支援およびその他様々な支援を行っていってほしい。

官民連携

  • 戦略産業分野の一つであるスマートグリッド・スマートコミュニティーに関して、国内外の関心が高い。国際標準化をはじめ、この分野をリードできるよう積極的に取り組んでいく所存である。しかし、送配電ネットワークは、国において最も基礎的なインフラの一つであり、全体設計などのコンサルはそこそこ受注できているが、具体的な整備事業につなげられていない。ODAの活用も絡めつつ、政府間交渉を踏まえることで、インフラシステム全体としての、その後の展開がスムーズになる。官民連携をいっそうとることが大事。
  • 海外での温暖化ガス削減を日本の削減分とする、新たな仕組みを構築していくことに対して、賛成である。実際に相手国の発展にも寄与し、日本の成長にもつながる仕組みが必要であり、日本の先進技術採用にむけたファイナンスの手段の一つととらえていくべき。とくに石炭火力に関しては、中国企業が力をつけてきており、中国国内の市場が飽和してくると海外に展開してくるのは間違いない。その前に、東南アジアに日本の石炭火力発電をこうした仕組みを活用して展開していってはどうか。
  • 経産省が進めているインフラで海外展開していこうということに関して、点でなく面で海外展開をしていく必要がある。整合性がとれた一つのコンセプトに従って全体を統合していくことが必要である。個々のプロジェクトを別々に売るのでなく、システム全体にまとめて売っていくことが大事である。
  • 日本の各企業は、電力、水、交通、通信事業、それぞれの業界で個別に海外展開を目指しているが、日本全体として考えたときに、これら企業が個別で海外企業と競争するのではなく、地域全体としての町作りといったシステム作りから入っていくべき。インド側の政府の対応をみると、早くしてくれ、早く投資してくれ、フィージビリティースタディーも必要ないという意識であるが、とにかく早くしてくれという要望につられることなく、事業を遂行していく必要がある。
  • オールジャパンにこだわらず、海外パートナーをとりこんだ強いコンソーシアムを作ることが大事なのではないか。社会インフラ分野では、アジア・中東において事業展開に成功している欧米企業が多々あり、シンガポールの企業も大変積極的である。初期のコンサルティング、経済性の検討はオールジャパンで行っていくのはいいが、具体的な事業化の段階では、部分的にコスト競争力のある海外企業を中にとりこんで事業を行っていくのがよいのではないか。日本企業といってこだわっていると、相手の国は、われわれを事業パートナーとしてみてくれない恐れがある。
  • インフラビジネスにしても、例えば日本と韓国企業共同で海外の事業を受注するといった動きが出てくると、日本が開かれた国になったという印象を国際社会に与えることができる。そうすることで、国際社会の存在感を高めていくことができる。
  • オールジャパンをあまりに強調すると、相手に恐怖感を与えてしまう。新興国と先進国とのWin-Winの関係を作っていくジャパンイニシアティブが大事であり、日本のみが勝つという意味あいではないことを再認識するべき。
  • 今の水ビジネスでもそうだが、思い切って飛び込むことが大事。ビジネスチャンスはスピードが大切である。障害となっている知財や許認可において、新興国、例えば中国においても法律以上に運用の部分が大きな影響を与えている。本議論の中で独禁法の話もでてきたが、グローバルな視点での対応が必要、法律部分で縛りすぎて、運用面でうまくいかない、マイナスになっている部分がたくさんあるのではないか。ビジネスのあり方に関して、知財の部分と、許認可の部分において乗り越えるモデルをつくっていけばいいのではないかと思う。特許についても国際整合が重要、いちいちWTOの判定を必要としない仕組みが出来ないでしょうか

産業金融

  • 日本は非常に大きな債権国である。個人資産1,400兆円をいかに活用していくかは、日本の成長戦略の中で中心的なテーマといえる。これまでの議論の中で、政府系の資金を使って、成長戦略を作っていく議論は数多くあった。リスクマネーをどのように供給するかを明確にかつ正確に考えなければならない。すべてが政府系資金でもって成長資金にまわることは不可能である。民間資金を導入することによって、民間に直接リターンを返してやることが必要である。事業の中でリスクの一番高い部分を、政府系資金がまかない、これが民間資金の呼び水になる。その次にミドルリスクの部分で、リスクの目利きのできるプロフェッショナルがプロジェクトの発掘と全体の構成を行う。さらに、ローリスクの部分で、年金や郵政資金を用いる。民間資金を成長分野に導入することによって直接リターンを民間に返す。政府系資金が全体をまかなうのではなく、一部を使って、民間資金の呼び水の効果を引き出す。こういった構造をいかに作っていくかが今後重要になる。こうした投資構造は、海外のプロジェクトだけでなく、国内のインフラ整備にも使用できる。
  • 消費税を上げても福祉系の経費にあてるのが精一杯であり、成長戦略に用いる資金を拠出できない状態にある。その資金を捻出する方法を申し上げたい。日本は、有形固定資産の中に巨額の資産を持っている。この有形資産を証券化、リートという形でもって、資金のリソースに使って、そこで資金を創出することによって、政府系の資金に充てていく。民間による成長分野への資金を促すと同時に、政府の負担を軽減することができる。
  • ベンチャー企業の資金調達は非常に厳しい。エンジェルル税制のさらなる優遇と普及をお願いしたい。産業革新機構でIPO直前のレイトステージにおける企業に投資する制度や、中小機構における出資要求の抜本的見直しはありがたい。しかし、創業してすぐに資金調達するのは非常に難しい、銀行からの資金調達はあてにならない。初年度から黒字が見込まれる企業に対してのみ銀行は資金を貸してくれる。ベンチャーキャピタルも、個人保証を前提としてしか資金を与えてくれない。すなわち、日本においては、ベンチャーを作るのはワンチャンスのみといえる。しかし、アメリカでは、何回も失敗しても立ち直れる基盤があり、たとえ三回目に立ち上げたベンチャー企業に対しても投資する環境がある。熊本にあるあじせんラーメンという会社が、香港でジョイントベンチャーを作り、アジアに多数の店を抱え成功している例がある。日本においてベンチャー企業を興しやすい環境にするためには、資産のある個人が資金をベンチャー企業に投資しやすい環境を作らない限り無理ではないか。

中小企業の海外展開支援

  • 中小企業の海外市場の開拓支援に関して、中小企業が海外に進出していくとき、入り口での不安とともに、海外で事業し続けていく際の不安、何かあった際の不安をかかえており、そういった不安が海外に進出していくことを躊躇させている。抜本的強化、継続支援があるが、契約段階だけでなく、長期的にも支援を受けられると中小企業の方々が思うことが大事ではないか。進出時の海外企業との契約を支援するだけでなく、必要としている支援を細かく見つけ出して、提供していくことが今後求められるのではないか。

最後に直嶋大臣よりご挨拶

  • 委員の皆様から様々な御意見を頂いたが、私自信も、全体的に網羅的なイメージを感じているので、この中でどうアクセントをつけていくのかに関して、知恵を絞る必要がある。成長戦略とは、国民的な合意を得て、その上で推進していくという形にしなければならないと思うので、そういう意味で政策の幅、数、進め方も含めて、考え直す必要がある。

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最終更新日:2010年6月1日
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