第9号
平成23年6月30日
東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故のために、現在避難または避難の準備をされている皆様には、夏を迎えて日ごとに暑さが増す中、大変な御不便・御心配をおかけしております。
今回は、特定避難勧奨地点、緊急時避難準備区域等における生活の注意や、原子力賠償審査会が順次公表しております「原子力損害の範囲の判定等に関する指針」の内容を御紹介します。
「特定避難勧奨地点」においては、生活形態によっては1年間同じ地点に継続して居住し続けた場合に、積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれがありますが、通勤や通学、買い物を行う場所を含めた生活圏全体に広がるほどの地域的な広がりはありません。
このことから、通常の生活を行うなかで積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれは小さく、この地点に継続して居住しても差し支えありません。また、以下の点に留意することで受ける放射線の量を低減することが可能です。
<外出時>
・通常の服装(夏季であれば半袖)で問題ない。
・気になるようであればマスクをする。土や砂を口に入れないように注意し、口に入った場合には、よくうがいをする。特に乳幼児は、砂場の利用を控えるなど注意が必要。
・ほこり等が多いところでの喫煙、飲食等を避ける。
<飲食>
・蛇口からの上水及び井戸水は摂取制限がなければ、飲用して問題ない。
・家庭菜園の葉菜類を食べる場合は十分に水で洗う。(市場に出回っている食品は飲食して問題ない。)
・河川水、雨水は飲用に用いない。
<屋外からの帰宅時、屋内にいる時>
・靴の泥をできるだけ落とす。手や顔を洗い、うがいをする。
・屋内でのエアコンの使用は問題ありません。
・屋外に長時間いたペットを屋内にいれるときは体を拭く。
通常の生活における作業や農業を含む産業活動に伴う業務を行っても、20ミリシーベルトに達するおそれは小さく、作業を行っても差し支えありません。また、泥や落ち葉が堆積している雨水溝や家屋の雨樋などの清掃作業は、生活環境の放射性物質量を大きく減らすことができます。これらの作業を行う場合には、以下の事項を守ったうえで実施してください。
・事前に計画をたてたうえで、長時間の作業にならないようにする。作業回数を必要最小限にとどめる。
・マスク、ゴム手袋、ゴム長靴、長袖を着用する。
・作業後に手足、顔も露出部分をよく洗い、うがいをする。
・作業後、屋内に入る際には、靴の泥をなるべく落とす。服を着替えるなど、泥、ちりやほこり等をもちこまないようにする。
※ただし、作業が長時間に及ぶ場合や、除去した汚泥などの置き場所や、それらを処分する方法など管理が困難な場合には、無理に作業を行わず、国や県、市町村に相談してください。
「緊急時避難準備区域」は、常に緊急時に屋内退避や自力での避難ができるようにすることが求められている区域です。夏季においては、半袖・半ズボンの服装で構いませんし、窓を開けて生活していただいても差し支えありません。なお、気になる場合、以下の点に注意することで受ける放射線の量を低減する効果が期待できます。
<外出時>
・通常の服装で構わない。土や砂を口に入れないように注意する。(雨は特段留意するものではない。)
<飲食>
・蛇口からの上水及び井戸水は摂取制限がなければ、飲用して問題ない。
・家庭菜園の葉菜類を食べる場合は十分に水で洗う。(市場に出回っている食品は飲食して問題ない。)
・河川水、雨水は飲用に用いない。
<屋外からの帰宅時、屋内にいる時>
・靴の泥をできるだけ落とす。手や顔を洗い、うがいをする。
・屋内でのエアコンの使用は問題ありません。
「計画的避難区域」は、居住し続けた場合に1年間の積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある地域で、住民の方には計画的避難にご対応いただきました。この地域は、警察や自治体により24時間体勢の警備が行われています。
避難後は、住民の方が家財等を持ち出すための一時的な立入りや、町村により事業継続が認められた事業所での勤務のための立入りを除き、原則として立入りは認められません。
また、一時的な立入りの際に、気になる場合は、以下の点に注意することで受ける放射線の量を低減する効果が期待できます。
ただし不要な被ばくを防ぐために不要不急の立入りは控えていただくとともに、用事が終わったら速やかに区域内から出ていただき、宿泊は決して行わないでください。
・屋外での作業を控え、できるだけ徒歩より車を利用する。
・通常の服装(半袖)で問題ない。気になるようであればマスクをする。(雨は特段に留意するものではない)
・土や砂を口に入れないように注意し、口に入った場合には、よくうがいをする。ほこり等が多いところでの喫煙、飲食等を避ける。
・屋内に入るときは靴の泥をできるだけ落とす。手や顔を洗い、うがいする。土ぼこりが多いときには窓を閉める。ただし、暑さ対策として風の吹き込まない窓を開け、必要な時間、換気をする。
・屋外にあったもの(自転車等)を運び出す際は、洗浄するか、拭き取る。
・屋外で飼っているペットを連れ出す際は、体を洗浄するか、拭き取る。
・蛇口からの上水及び井戸水は摂取制限がなければ、飲用して問題ない。
※電気のブレーカーを上げたり、閉めていたガスや水道の元栓を開けたりした方は、退去時に元の状態にすることを忘れないで下さい。
半袖、半ズボンなど通常の服装で過ごして問題ありません
「原子力損害の賠償に関する法律」の規定に基づき設置された中立的な第三者機関です。
審査会においては、原子力発電所事故の被害者と原子力事業者との間の損害賠償金の支払いの交渉を円滑に進めるため、賠償の対象となる損害の範囲を指針として示したり、両者で紛争が生じた場合には和解の仲介を行ったりすることを主な任務としています。
被害者の方々の迅速な救済に資するため、東京電力(株)による賠償の対象となる損害の範囲について、認められる可能性が高いものを、順次「原子力損害の範囲の判定等に関する指針」として公表しているものです。
4月28日に第一次指針が、5月31日に第二次指針が、また、6月20日に二次指針追補が策定されています。
具体的な内容については、次のページに一覧で整理しました。
今後、必要に応じて順次追加を行っていく予定です。
なお、これらの指針を踏まえ、損害賠償額の一部に充当されるものとして、既に東京電力による仮払いが一部実施されています。
また、上記に含まれない損害についても、個別に証明の上で東京電力に請求することが可能です。
指針の内容等については、文部科学省のホームページでご覧いただくことが可能です。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1304756.htm
仮払補償金の具体的な手続のご相談は東京電力福島原子力補償相談室まで
(コールセンター)0120−926−404
受付時間毎日(土日含む) 9:00〜21:00
第一次、第二次指針とその追補で示された損害の主な内容を以下の表に整理します。
なお、この指針の内容を踏まえ、東京電力において、一部仮払補償金の支払いが始まっています。詳細はコールセンターにお問い合わせ下さい。
政府による避難等の指示に係る損害
○避難や一時立入に伴う交通費・宿泊費
○正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたことによる精神的苦痛
【額の目安】
・第1期(事故後6ヶ月間) ・・・月額10万円
ただし、避難所にいた期間・・・月額12万円
指示解除日まで屋内待避したもの・・・10万円
・第2期(第1期終了後6ヶ月間) ・・・月額5万円
○帰宅時の交通費
○働けなくなったことによる給与等の減少
○放射線被ばくの検査費用
○避難によって生じた健康状態の悪化による治療費
○営業、取引などの減収分
○商品の廃棄費用、営業拠点の移転費
○商品の汚染検査費用
○物の価値の喪失又は減少分
政府による航行危険区域設定に係る損害
○漁業の操業が困難なことによる減収分
○航路を迂回することによる費用増加分
○働けなくなったことによる給与等の減収
政府等による出荷制限指示等に係る損害
○出荷、作付、放牧等制限指示等による減収分
○商品の廃棄費用等追加的費用
○働けなくなったことによる給与等の減収
いわゆる風評被害
○農林漁業
少なくとも出荷制限指示等(本年4月末まで)が出されたことがある区域で産出された以下のものの減収分等
・農林産物(食用のみ、畜産物除く):
福島県、茨城県、群馬県、栃木県、千葉県(一部)
・畜産物(食用のみ)、水産物(食用のみ):
福島県、茨城県
○観光業
・少なくとも福島県に営業拠点がある観光業
福島原子力発電所に関する不安や、避難されている皆様の生活支援に関する疑問・質問にお答えする番組を放送しています。メールやFAXで皆様からの御質問を受け付けております。ご活用下さい。
ラジオ福島(月〜金 14:20〜14:30、土 17:15〜17:25、日18:20〜18:30) FAX 024-535-3451
ふくしまFM(月〜木 17:10〜17:20、金 18:30〜18:40、土日14:55〜15:00) FAX 024-991-9800
※ラジオ福島(http://www.rfc.jp)、ふくしまFM(http://www.fmf.co.jp/)のホームページでも聴取可能です