大臣官房 総務課 政策企画委員

経済産業省の「司令塔」

大臣官房 総務課 政策企画委員

能村 幸輝

2001年度入省

経済産業省のマネジメント

経済産業省の司令塔として、省内全体の総合調整を担当しています。私の仕事は、経済産業政策の企画・立案・実施の大きな方向性を示すこと、大臣や次官などの幹部の意思決定をサポートすることです。経済産業省では、局長から課長補佐や係長まで広く政策策定のプロセスに参画し議論しています。その中でも課長補佐が中核となり、「政策企画委員会」という、若手・中堅補佐と議論しながら政策立案や組織運営を主導する機関が組織的に設けられています。各部局の政策企画委員とともに、既存政策のレビューから、新たな政策の方向性や組織の体制整備まで、時代の変化に応じて、経済産業省の政策を進化させ動かしていくのが政策企画委員会の仕事です。

時代の変化に応じて政策も進化

経済産業省のミッションは、福島復興、熊本震災への対応をはじめとして、日本経済の成長と発展を実現することです。日本経済は、第4次産業革命や少子高齢化をはじめとする構造的な変化の中、社会、産業、個人の各層における対応が求められています。また、世界経済を見渡すと、Brexit等の保護主義的で内向きの風潮が高まる中、一国の経済規模を凌ぐ多国籍企業やプラットフォーマーなどの存在感も高まっています。こうした中、例えば、日本として、国内経済を牽引する活力やポテンシャルを見極めた上で、ビッグデータやAIを活用した、ものづくり、自動走行やロボット・ドローン、バイオ・医療などの分野でスピード感をもって「強み」をさらに磨くことが重要であり、将来に向けた大胆な投資やビジネスモデルの転換を促進する環境整備が求められます。事業のグローバル展開を見据え、TPPや日EU・EPA、RCEPなどにおいて、質の高いルールを整備していくことが重要です。特に、第4次産業革命の進展により、社会や産業、個人がデータでつながっていく中、オープンイノベーションを推進していくためにも、データや知的財産の利活用の促進に向けた国際的なルール整備を進めていくことが重要経済産業省のマネジメント時代の変化に応じて政策も進化です。また、重要インフラをはじめ、サイバーセキュリティ対策の重要性が高まっており、国際連携による人材育成なども推進していくことが必要です。日本の地域経済の活性化を支えていくためには、中小企業における人手不足の課題や、地域における「域外」からの投資や人の流れを拡大させる取組を進めていく必要があります。これらの日本が直面する産業構造や社会構造の転換に対応していくためにも、産学連携で人材育成や人材投資を行っていける環境を、教育段階から社会に出た後も整備していく必要があります。人生100歳時代に向けて、生涯学び続け、社会でいきいきと活躍していくことを個人が選択できる環境をつくっていくことが求められています。

日本が直面する課題に挑戦

個々の事象が複雑化・専門化する一方、様々な課題の背景にある共通の構造や因果関係を抽出し、様々な観点からより深く分析していくことが、効果的な政策を検討していく際に問われています。このため、経済産業省として、政策を検討する上でも、産業政策、通商政策、エネルギー政策など、「縦割り」で検討するのではなく、相互の政策の連携をより一層深めていく必要があります。また、政策を練り上げていく際にも、国内の既存のプレイヤーだけでなく、ベンチャー企業やフリーランスなど新しいプレイヤー、海外の先端企業や研究機関の動向やニーズをしっかりと把握していく必要があります。私自身、これまで、人材政策、福島復興、エネルギー政策などに携わってきました。例えば、石油・天然ガスの安定供給に向けた海外の権益獲得において、相手国との多層的な関係を構築していく上でも、エネルギー分野での交渉をするだけではなく、日本の中小企業政策や、様々な産業分野における人材育成、医療機器や病院など日本の仕組みを日本が直面する課題に挑戦取り入れたいという相手国のニーズに応じて、全体を交渉していく必要があります。交渉の局面に限らず、具体的な課題解決に向けて、国内外の様々なプレイヤーを巻き込みながら、着眼大局・着手小局で政策を練り上げていく必要性を痛感しています。経済産業省は、日本経済全体のマクロ戦略と、各産業分野の現場というミクロ戦略の双方を常に考えながら、政策を企画立案しています。常にその中で、自分の考え、アクションが実社会にどう影響を与えるのかを意識しながら、各職員が緊張感をもって、政策に携わっています。政策課題に応じて個別の「部局」や「課」を超えたチームを編成しながら、現場での企画立案が、本質的な課題に迫っているのか、データに裏付けされた政策の打ち手となっているのか、効果を的確に検証できるのか、などの観点から議論を積み重ね、政策を練り上げていきます。各職員が、経済産業省というリソースをフル活用して、日本が直面する課題に挑戦していきます。

最終更新日:2019年4月1日