「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」を策定しました
経済産業省は、脱炭素と産業競争力強化・経済成長を同時に実現するGX(グリーントランスフォーメーション)に向けて取り組むスタートアップについて、新たな成長モデルの創出に向けたガイダンスを策定しました。
GX分野特有の市場リスクを踏まえたLOI(Letter of Intent)等の需要表明手法や、期待収益率を踏まえたスタートアップ・ファイナンスの多様化等について、国内外の活用事例や実務上のポイント、成長ステージ等に応じた複数の「ひな形」などを示しています。
GX分野特有の市場リスクを踏まえたLOI(Letter of Intent)等の需要表明手法や、期待収益率を踏まえたスタートアップ・ファイナンスの多様化等について、国内外の活用事例や実務上のポイント、成長ステージ等に応じた複数の「ひな形」などを示しています。
1.ガイダンス策定の背景と狙い
2023年のIEAの分析によると既存技術で削減できるGHG排出量の上限は6割程度であり、2050年カーボンニュートラルの達成には残る排出量の削減に向けた新技術の導入が不可欠。排出削減に必要な技術イノベーションを促進し、GX分野の成長市場を早期に取り込み、企業のGXを推進するためにはGX関連分野のスタートアップの創出・成長が必要です。他方、GXスタートアップは、その技術や事業が確立するまでの研究開発に大規模な資金を要し、事業化までの時間軸が長い等の課題から、その成長に向けては既存のスタートアップとは異なる戦略が求められます。
GXスタートアップ成長の大きな壁としては量産化前のミドル期が挙げられ、製品ができないと売上見通しが立たず、売上が見込めなければ資金調達ができないという停滞構造を超える必要があります。この構造を解決する手段として、顧客による需要表明(LOI~オフテイク契約)や、スタートアップによるデットの活用が挙げられます。死の谷を克服する特に上記の2つの手段について、事例分析を元に具体的なメリットや実務上のポイントを広く周知するため本ガイダンスを策定しました。
GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス
※経済産業省「令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業費―脱炭素成長型経済構造移行推進に向けた新興企業の振興等に係る調査事業―(受託者:ボストン・コンサルティング・グループ合同会社)」を基に、関係者へのヒアリングの上作成。
※後日、本ガイダンスに関わる協力者等を公開予定。
抜粋版
取引先や金融機関、投資家等のステークホルダーに用途に合わせて共有いただけるよう、抜粋版を作成いたしました。
GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス【需要創出編】
事業の成長ステージに合わせた段階的な需要獲得方法を、LOIのひな型や資金調達に繋げた活用事例を通して紹介
活用イメージ:
GX分野をはじめアセットヘビーなスタートアップ企業
LOIを打診されている/戦略的に革新的な製品を調達したい事業会社
事業の成長を支援したい投資家、アクセラレーター 等
GX分野をはじめアセットヘビーなスタートアップ企業
LOIを打診されている/戦略的に革新的な製品を調達したい事業会社
事業の成長を支援したい投資家、アクセラレーター 等
GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス【デット活用編】
デットを効果的に活用することで、資本調達コストや株式希薄化を抑え、持続的な成長に繋げるポイント等を紹介
活用イメージ:
デットを活用し、資金調達を多様化したいスタートアップ企業
ベンチャーデットを検討している金融機関
事業の成長を支援したい投資家、アクセラレーター 等
デットを活用し、資金調達を多様化したいスタートアップ企業
ベンチャーデットを検討している金融機関
事業の成長を支援したい投資家、アクセラレーター 等
2.概要
〇第1章:日本のGXスタートアップの現状と課題日本のGXスタートアップは、諸外国と比べ、社数・規模ともに大きな後れ。他方、GX分野では日本が一定の技術優位性を有していることを踏まえると、大きな事業機会を有するGX分野での成長ポテンシャルが存在。
資金調達面では、諸外国に比べ、デット調達・コンバーティブルの活用等が低調であり、事業の期待収益・リスクの特性に応じたファイナンス手法の多様化が進んでいない。また、創業者属性の偏り・複数創業者比率が低く、企業組成時の人材プール形成も重要。
〇第2章:GXスタートアップ成長軌跡からの学び
大規模化に至ったGXスタートアップの多くは、研究開発終了前から需要確保の取組を実施し、デットを含めた多様なファイナンス手法を活用することで事業開発を加速。
〇第3章:需要創出~LOIやオフテイク契約の活用
法的拘束力を持たない需要表明(LOI)等の手法を活用することで、事業会社の戦略上の課題解決と需要獲得によるGXスタートアップの成長を加速することが重要。
事業開発の段階や技術の希少性等に応じて、異なるLOI等のひな形の活用を推奨。
〇第4章:ファイナンス多様化~融資の活用~
諸外国のGXスタートアップは、事業の期待収益率に鑑み、コンバーティブル・ボンド、ローン等を活用し、ファイナンス手法を多様化。ファイナンス検討に当たっては、エクイティサイドの関係者や需要家等とのコミュニケーションが重要。
GX分野特有の課題解決には、これまでのエクイティプレイヤーに加え、金融機関等によるデットの役割が鍵を握る。
3.ガイダンスに関する広報イベントについて
本ガイダンスの公表に先立ち、GX分野特有の課題や対応策、成功事例について議論する広報イベントを実施しました。本イベントでは、ガイダンスの概要を紹介するとともに、事業会社等のオフテイカーによる新たな需要の創出(LOIの締結等)、デットの活用などを経てどのように上記の課題を解決していくのか、実務的なポイントも含めて議論することで、GXスタートアップの経営・支援に生かす学びを広く共有しました。
<アジェンダ・日程>2024/03/25 (月)
第一部 パネルディスカッション 18:30 ~ 19:45
〇GXスタートアップならではの成長の難しさ
〇GXスタートアップの成長軌跡と壁の乗り越え方
〇質疑応答
第二部 懇親会 19:45 ~ 20:15
<主な登壇者>
髙尾 正樹 氏 / 株式会社JEPLAN 代表取締役 執行役員社長
神事 裕太 氏 / 株式会社MOL PLUS インベストメント統括 ・ グロースマネージャー
馬田 隆明 氏 / 東京大学 FoundX ディレクター
木村 将之 氏 / デロイト トーマツ ベンチャーサポート COO ・ パートナー
太田 優人 氏 / 経済産業省 環境政策課 課長補佐
鈴木 香菜 氏 /ボストン・コンサルティング・グループ アソシエイト・ディレクター
お問合せ先
- 産業技術環境局 環境政策課 課長 大貫
担当者:村上、竹安
電話:03-3501-1511(内線3521)
メール:bzl-s-kankyo-seisaku★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。
最終更新日:2024年4月7日