革新的環境イノベーション

CCUS技術とは

Carbon Capture, Usage and Storage技術は、産業活動から排出される高濃度のCO₂を固定化し、または有効に利用する技術。また、産業活動だけではなく、大気から直接CO₂を回収するDirect Air Capture技術も、日本政府全体で取り組んでいる「MOONSHOT プログラム」で開発している。

CO₂の回収コストは現在はまだ高いが、2050年にかけて低減していく見通し。(資料7-1、NEDO資料のp5左下)

各国のCO₂回収コストの目標および推定
※GI推進会議第一回WG発表資料を参考にMETI作成

また、CCUSの世界市場は2050年にかけて、10~12兆円となる見通し。プラントだけでなく、分離回収のための液や膜が、主要な製品となる。(同資料p5右上)

CO₂分離回収の市場ポテンシャル
※GI推進会議第一回WG発表資料を参考にMETI作成

個別産業での応用

セメント・コンクリート分野は,石灰石原料を焼成し酸化カルシウム(CaO)を製造する際に大量のCO₂を排出するが、このCO₂を回収して再利用する技術の実証や、コンクリートが固まる際に大気中のCO₂を積極的に吸収して内部に固定するコンクリート製品の実証などが、世界で進んでいる。

燃料・基礎化学品分野では,バイオジェット燃料の実用化が急務。また,回収したCO₂などの様々な炭素源を利用して合成ガスを作り、この合成ガスを原料として触媒反応や微生物などを利用したバイオ技術と化学プロセスを組み合わせて、合成燃料や基礎科化学品を製造することが可能であり、低炭素化に貢献できる可能性がある。

ファインケミカルなどの機能性化学品分野は生産量が少ないことからCO₂削減ポテンシャルは相対的に小さいものの,環境価値が訴求しやすく,高機能プラスチック等の含酸素化合物をターゲットして,CO₂やバイオマスを利用した変換技術の研究が世界で拡大。

最先端企業の具体例

CO₂ケミストリーを追究する旭化成

旭化成はグリーン水素やCO₂ケミストリーといったカーボンリサイクルを実現する技術開発に取り組んでいる。CO₂からポリカーボネート樹脂を製造する技術を確立し、2002年に世界で初めて工業化に成功した。強みとしている触媒技術や省エネプロセス技術をさらに追求していくことで、ウレタン原料等の他の機能性化学品への展開も進めており、世界に先駆け数年内の商業規模の実証運転開始を目指している。

CO₂転換利用技術

旭化成株式会社では既にCO₂からポリカーボネート樹脂を製造する技術を確立し、2002年に世界で初めて実用化しその後世界にライセンス展開。2016年にはポリカーボネート生産能力475万トンのうち16%をCO₂原料法でカバー。更なる製造プロセス省エネ化のために新規CO₂原料ポリカーボネート(PC)製造プロセスの実証も実施(上図)

低コストのCO₂分離・回収技術を開発する三菱重工エンジニアリング

三菱重工エンジニアリングは工場や発電所からのCO₂を90%以上も回収可能な排ガスCO₂回収装置を開発し、これまでに世界中に16基提供。高い省エネ性能と耐久性の両立により、低コストを実現している。CO₂を有効利用する技術開発としては、NEDOからの補助金を活用し、三菱ガス化学と苫小牧でCO₂を原料にしたメタノール合成の検討を開始している。また、最近の取組として、英国の大手電力会社Drax社向けにビヨンド・ゼロの実現への貢献が期待できるBECCSを導入すべく共同の実証を開始し、2027年までの商用化を目指している。

CO₂分離・回収技術

三菱重工エンジニアリングのCO₂回収プラントは世界で14基納入され2基建設中。独自の高性能吸収液を開発し、高いCO₂吸収性能・省エネ性を達成し、分離・回収技術で世界をリード。