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意匠権侵害への救済手続

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意匠権侵害行為に対しては、裁判所での民事手続による救済として、侵害行為等の差止めを求めること、損害賠償を請求すること、不当利得の返還を請求すること、信用回復のための措置等を求めることが可能で、これとは別に、刑事事件となれば裁判の結果、刑事罰の適用もありえます。

差止請求

意匠権侵害行為に対する差止めの態様としては、以下のものがあります(意匠法第37条)。

  1. 侵害行為をする者に対するその行為の停止の請求
  2. 侵害の恐れのある行為をする者に対する侵害の予防の請求
  3. 侵害行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な措置の請求

このうち、 3 は、 1 または 2 とともにのみ請求することができます。また、差止請求の際には、侵害者に侵害についての故意または過失があることは要件ではありません。侵害された登録意匠が秘密意匠であるため、登録意匠の内容が意匠公報によって公開されていない場合には、侵害者または侵害する恐れのある者に対し、登録意匠の内容を提示して警告した後でなければ差止請求することはできません(意匠法第37条第3項)。

なお、既に意匠権侵害が現実化しており、これを放置しては著しい損害が生じる可能性がある場合など緊急性があるときには、裁判所に対して、まず侵害行為の停止を内容とする仮処分を申立てることも考えられます。

損害賠償請求

意匠権を侵害する模倣品を製造・販売・輸入するなどしている者に対して損害賠償請求することができます。損害賠償を請求するには、多くの事実について立証しなければならないところ、その立証活動は困難な場合も多いので、損害額については法律が算定規定を設けています(意匠法第39条)。また、損害賠償請求の前提として必要な侵害者の故意・過失については、侵害行為について過失があったものと推定する(意匠法法第40条)こととし、意匠権者から侵害者に対する損害賠償請求を容易にしています。

(1)損害賠償額の算定規定その1(意匠法第39条第1項による救済)

侵害者がその侵害物品を譲渡したときは、その譲渡した数量に、その譲渡がなければ権利者が販売することができた物品の単位あたりの利益の額を乗じた額を、権利者の実施能力を超えない範囲において、権利者の損害とすることができます。ただし、侵害者が譲渡した数量の全部または一部を権利者が販売することができない事情があるときは、その分は数量から除かれます(意匠法第39条第1項)。ただし、商品の一部分が意匠権の対象となっているに過ぎない部分意匠については、部分意匠の割合に応じた損害額についての寄与率の問題が生じます。

「損害額」※=「侵害者の譲渡等数量」×「権利者の単位あたりの利益」(ここまでの計算が権利者の実施能力を超えない範囲において)−「権利者が販売することができない事情あれば相当する金額」

※部分意匠であれば寄与率の問題が生じて損害の計算結果に影響する。

例えば、意匠権侵害者が、類似意匠の商品を1000個売却し、意匠権者からすれば、1個あたり1000円の利益を得ることができたとする場合でも、競合品等の存在等で、80万円が損害額とされることがあり、部分意匠であればその割合に応じてさらに減額される可能性はあります。

(2)損害賠償額の算定規定その2(意匠法第39条第2項による救済)

侵害者がその侵害によって利益を受けている時は、その利益の額は権利者の損害の額と推定されます。ただし、この場合も、侵害者の競合品等の反証によって推定を覆される可能性があります。なお、部分意匠については寄与率の問題が生じます。

「損害額」※=「侵害者が得た利益」

※部分意匠であれば寄与率の問題が生じて損害の計算結果に影響する。

上記計算式によれば、例えば、意匠権侵害者が1000万円の利益をあげていれば、意匠権者が1000万円の損害を受けたものと推定されますが、部分意匠であればその割合に応じてさらに減額される可能性はあります。

(3)損害賠償額の算定規定その3(意匠法第39条第3項による救済)

権利者は、侵害者に対し、ライセンス料相当額を損害賠償として請求することができます(意匠法第39条第3項)。なお、部分意匠であれば、寄与率の問題が生じます。

「損害額」※=「ライセンス料相当額」

例:「侵害者の譲渡数量」×「権利者の単位あたりのライセンス料」
     「侵害者の売上」×「ライセンス料率」

※部分意匠であれば寄与率の問題が生じて損害の計算結果に影響する。

例えば、意匠権侵害者の模倣品販売による売上が月額500万円であり、ライセンス料の相場が売上高の7%だとすれば、意匠権者は、35万円の損害を受けたものとされますが、部分意匠であればその割合に応じて減額される可能性はあります。

信用回復措置請求

意匠権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、意匠権者の請求によって、信用を回復するための措置を命じることができます(意匠法第41条、特許法第106条)。具体的には、侵害者の粗悪品によって、意匠権者の業務上の信頼が害された場合と評価できれば、謝罪広告の掲載などの措置を求めることができます。

不当利得返還請求

意匠権が侵害された場合、不当利得返還請求権を行使することができることもあります。

刑事責任の追及

意匠権を侵害した者は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処するとされているので、意匠権を侵害されたときには刑事責任の追求も視野に入れることができます(意匠法第69条)。また、懲役と罰金を併科(両方を科すこと)することができます。法人については、その業務に関して侵害行為を行った場合、その実行行為者の処罰に加えて、業務主体たる法人にも罰金刑が科されるとする、いわゆる両罰規定がおかれています(意匠法第74条)。

お問合せ先

 政府模倣品・海賊版対策総合窓口(製造産業局 模倣品対策室)
電話:03-3501-1701(9時30分~12時00分、13時00分~17時00分)
※土日、祝日を除く
FAX:03-3501-0190

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