1.事業背景・概要
2024年3月に経産省でとりまとめ公表した「医療機器産業ビジョン 2024」では、「イノベーション創出のための研究開発投資」と「グローバル展開による投資回収」の好循環を創出し、医療機器産業を高付加価値産業として成長させることを目指すべき方向性として掲げています。 グローバルでは、新分野の医療機器の開発事業者はスタートアップが多く、その主要な出口となる大手企業と開発早期から連携して、スタートアップに不足する人材やノウハウを補うアクセラレーションが盛んに行われています。
日本においても、大手企業とスタートアップとの連携を強化することが医療機器産業の成長のために必要となることから、経済産業省が運営事務局を設置し大手企業によるスタートアップを対象としたアクセラレーションプログラムを試行実施いたします。
本プログラムでは4社(以下記載)のグローバル大手企業が関心分野のテーマを公表し、各社最大2社のスタートアップへアクセラレーションを実施します。
スタートアップはグローバル大手企業のリソースを活用し、海外展開ロードマップの策定やビジネス戦略醸成等より具体的なビジネスモデルのブラッシュアップが可能です。
また、プログラムの終盤にVC等関係者に加え、4社アクセラレーター企業の社長や役員を審査員とした英語でのピッチを行うことで
より経営層にダイレクトなアプローチが可能なプログラムとなっています。
2.本プログラムの関係者構成
本プログラムは、以下の主体で構成されます。
主体 |
説明 |
スタートアップ(SU) |
医療機器に応用可能な技術・プロダクト・サービス等の事業化及び事業拡大を目指すスタートアップ |
アクセラレーター企業 |
スタートアップとの連携・協業に関心があり、スタートアップ企業に対してアクセラレーションを実施する医療機器企業 |
サポーター企業 |
本プログラムにて、アクセラレーター企業には選定されなかったものの、本プロジェクトへの協力参加を希望する医療機器企業 |
事務局 |
本事業の運営・各種調整・支援等を担う |
【New】アクセラレーション対象スタートアップが決定しました。
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アクセラレーター企業名 |
募集テーマ・概要 |
アクセラレーション対象スタートアップ |
1 |
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 |
手術による合併症へのソリューション
概要:
弊社は、外科、整形外科、心疾患、脳血管疾患の各領域において、医療従事者の皆様のニーズにお応えする先進の医療用製品等を提供しています。そのうち外科領域では、各手術現場(開腹、腹腔鏡下等)において、弊社の創閉鎖・創傷管理製品、止血材、腹腔鏡下手術で用いる縫合・切開等の低侵襲手術製品が幅広く使用されています。
手術時に発生する合併症(組織からのリーク、出血、損傷、癒着等)は、医療現場におけるアンメットニーズとなっています。医療経済へのインパクトを的確に捉え、合併症を予防・低減・治療したり、それらを効率化(ワークフロー削減、可視化・AIによる作業効率向上等)できたりする新規医療機器等の開発をしているSUの応募を期待しています。
中でも、日本の産業ならではの特長や医療現場の優れた手技・術式等を活かすことで差別化が図れると考えています。弊社既存ビジネスと連携させることで、医療現場へのソリューションが拡大できると望ましいです。
アクセラレーション期間中には、定期MTG、出口戦略の助言等(1時間x4回程度)を行ない、協業成立時には、日本での販売協力の検討、米国本社R&Dや事業本部への紹介等を想定しています。 |
・カーブジェン株式会社 |
2 |
テルモ株式会社 |
「医療現場の課題解決」、「医療システムの進化」、「患者さんのQOL向上」への貢献を目指したソリューション化
概要:
テルモは医療のパラダイムシフトに対応するため、「デバイスからソリューションへ」というビジョンを掲げ、以下の3つのソリューションの開発に焦点を当てています。 1.高度な疾患治療における高付加価値な生体アクセス・デリバリー
血管内治療では、到達が困難だった部位・症例にも対象を拡充し、新たな治療ルートの開拓を進めます。低侵襲医療の世界的普及を目指します。 2.患者さんの長期的なQOL向上を目指す疾患アプローチ(ペイシェント・ジャーニー)
デジタル技術を駆使し、手術前後・病院内外など様々な場面をつなぐ統合型ソリューションを提案します。慢性疾患を抱える患者さんに寄り添い、治療継続・完遂の向上を目指します。 3.革新的デバイスによる薬剤治療効果の最大化
医薬品と医療機器を融合させたコンビネーション製品で、薬剤の投与量・タイミング・有効性を最適化します。薬剤デリバリー技術のイノベーションで、コンビネーション製品の提供と進化を加速します。
スタートアップの皆様には、これら1~3のテーマのうち少なくとも1つのテーマに基づいた革新的なアイデアや技術を募集しています。
アクセラレーション期間中は社内複数の協業担当者との意見交換を実施していけたらと考えております。 |
※テルモ株式会社は、応募企業とのマッチングが成立せず、アクセラレーションに進むことができなかったため、本プログラムへの継続を断念されました。 |
3 |
日本光電工業株式会社 |
低侵襲と高精度を両立する生体情報計測技術
概要:
当社はパルスオキシメーターを始め、心電図、脳波、血球計測などの生体情報計測やAIなどを使用した新しい波形解析技術等を基盤に、世界中の様々な医療課題の解決を目指す企業です。私達は、以下の技術分野における革新的なアイデアを求めています。
1.身体負担の少ない生体インピーダンス低減技術:皮膚の表面改質を通じて、痛みを伴わずに皮膚インピーダンスを低減する方法。
2.低侵襲若しくは非侵襲での臓器の状態を把握する技術:音、酸素消費量等を計測し、臓器状態を把握する方法(対象:心臓、肝臓、腎臓など)。
3.代替抗体・抗原の作製技術: 動物由来の原料を使用せず、動物と人にやさしい人工的な抗原・抗体の開発。
4.LED励起による蛍光計測技術: コストダウンを実現するためのレーザー光に代わる新しい光源を用いた細胞計測システム。
5.AI技術によって患者さんに寄り添う医療価値の提供:患者さんの状態を画像やバイタルデータなどから統合的に解析し、患者さんと医療従事者双方に提供することで、患者さんを常に見守ることのできるAIシステムの開発
これらの技術により、患者さんの容態(状態)をより低負荷で正確に把握することで、医療の質を向上させる事を目指します。 |
・株式会社AMI
・株式会社MeDiCU |
4 |
日本メドトロニック株式会社 |
想像を超えるものを共に創り出しましょう!
-世の中により良いアウトカムをもたらす/インサイトに基づく治療を提供する/人を第一に考えたエクスペリエンスを提供する/患者さんの人生を変える、ソリューションの創出-
概要:
メドトロニックは、循環器、外科と低侵襲治療・診断、神経科学、糖尿病の4つの事業領域で、70種類以上の健康課題に対する治療法を提供し、年間の売上が300億ドルを超えるヘルスケアテクノロジーのグローバルリーダーです。全世界150以上の国と地域で事業を展開しています。「痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばす」創業当初から一度も変わらないメドトロニックのミッションに鼓舞されて、私たちはこれまでに多くの想像を超えるものを創り出してきました。その中には、パートナー企業から生まれたものも数多くあります。これからも想像を超えるものを創り出し続ける為に、メドトロニックの4つの事業領域において、AI、データ分析と活用、ロボティクス、ウエアラブル、医療機器コネクティビティ/SaMD、3Dプリントオブジェクト、医療機器とITシステムのオンライン接続(IoMT)など、以下のコミットメントを実現するソリューションのご提案をお待ちしております!
・世の中により良いアウトカムをもたらす
・インサイト(洞察)に基づく治療
・人を第一に考えたエクスペリエンスの提供
・患者さんの人生を変える/患者さんが意義のある生活を取り戻す |
・アドリアカイム株式会社
・高松利寛(起業前) |
4.企業募集ページ
SU企業募集ページはこちら(公募期間終了)
アクセラレーター企業募集ページはこちら(公募期間終了)
5.お問い合わせ先
MedTech ROUND事務局
経済産業省 商務・サービスグループヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室
担当:雪田、山根、泉水、重本
(連絡先)
メールアドレス:exl-meti-acceleration@jpo.go.jp