株式会社木村鋳造所(https://kimuragrp.co.jp/)は、静岡県駿東郡清水町に本社を構える鋳造企業です。同社の先端プロセス技術センターでは、溶解した金属を扱う鋳込みの工程をはじめ、多くの女性従業員が鋳造の現場で働いています。鋳造の最前線で活躍する女性従業員の普段の仕事ぶりについて紹介します。
木村鋳造所は、自動車のプレス金型用鋳物や工作機械用鋳物を多く製造しています。その鋳造の業務に携わっている女性従業員の方々を紹介します。なお、内容については2022年1月時点になります。
溶解作業は、溶解した高温の金属を取り扱うため危険も伴う仕事です。
この世界に入った理由や仕事の内容、注意すること、進路を検討している学生へのメッセージなどをお聞きしました。
(質問1)就職先に木村鋳造所を選ばれたのはどうしてですか?実際に働いて見てどうでしたか?
野田さん:
学生の時に、会社見学をした際に溶けた鉄がとても綺麗で携わりたいと思いました。男性職場のイメージが強かった為、配属されるとは思っていませんでしたが、どうしても溶解に携わりたかったので申し出ました。実際に働いてみると重労働で大変ですが、やりがいがあります。
(質問2)現在の業務内容や就労時間について教えてください。この部署に配属されてどれくらいですか?
野田さん:
配属されてから2年9ヶ月です。仕事内容は溶解炉の補修、溶解、分析、成分調整、事務処理です。基本的には、8時から17時ですが、仕事量によって残業があります。
(質問3)この業務に従事するにあたって、意識していることや注意すべきことはありますか?
野田さん:
1,500℃~1,700℃ぐらいの溶けた鉄を扱っている為、火傷や保護具の扱いには特に注意しています。
(質問4)野田さんのように活躍するにあたって、必要な知識や習得しておくべき技能はありますか?
野田さん:
材質の名前や種類を覚えること、溶解作業や分析時の作業などの知識があれば一人でできるようになります。大雑把なことができない為、1つ1つ確認しながら丁寧な作業を心掛けています。
(質問5)この仕事の魅力や面白さ、進路を考えている学生に向けてメッセージがあれば教えてください。
野田さん:
溶解作業をしているときは、気が抜けないので集中して作業しています。電気炉や分析器の状態が日々違うので、扱うのが大変ですが、機械の状態を読み取りながら作業することも面白いです。進路を考えている方は、企業の雰囲気や人間関係、業務内容などを見ておくのがいいと思います。
※1 溶解作業:要求材質に合わせる為、電気炉内で複数の金属を溶融する。溶融後、上面に浮いてきたノロ(不純物)を取り除いてから、鋳型に注湯する。溶融金属は約1,500°。耐熱服、耐熱ヘルメットを着用し、安全に配慮して作業。注湯後、電気炉内の耐火材の張り替え等、炉を補修して次回の溶解作業に備える。
特に検査作業は、造られた鋳物を取引先に納入するにあたって、取引先が要求している品質に合致しているかを確認する重要な仕事です。
この世界に入った理由や仕事の内容、注意すること、進路を検討しているが学生へのメッセージなどお聞きしました。
(質問1)就職先に木村鋳造所を選ばれたのはどうしてですか?実際に働いて見てどうでしたか?
永谷さん:
私は元々製造業やモノづくりに興味があり、自分の長所である真面目で几帳面な性格をこの仕事に活かしたいと思ったことがきっかけです。また、KIMURAを見学した際に職場の雰囲気や社員の方々のあたたかさに惹かれ、KIMURAで働きたいという思いが強くなりました。この会社で働いてみて、最初は力仕事が多く難しい仕事だなと感じていましたが、だんだん自身の技術の向上を実感し、今はとても自分に合っていて、この仕事ができてよかったなと思っています。
(質問2)現在の業務内容や就労時間について教えてください。この部署に配属されてどれくらいですか?
永谷さん:
後工程では、砂型の造型から注湯、解枠、仕上、そして検査が行われています。私は検査という仕事を行っていて、主に3Dスキャナで製品の測定を行う寸法検査や、工具で製品を磨く最終的な仕上げ作業、出荷前の梱包などを行っています。就労時間は平日8時から17時までです。私は配属されて1年9ヶ月です。
(質問3)この業務に従事するにあたって、意識していることや注意すべきことはありますか?
永谷さん:
私は常に、丁寧に安全に作業するということを心がけています。検査や仕上げ作業では、製品における最終段階の工程なので、お客様に製品をより良い品質でお届けするために責任を持って取り組んでいます。また、製品に欠陥がない事をしっかり確認しながら、丁寧に綺麗に仕上げることを意識して作業を行っています。
(質問4)永谷さんのように活躍するにあたって、必要な知識や習得しておくべき技能はありますか?
永谷さん:
最初は誰でも分からない事や出来ない事ばかりですが、作業の手順や製品別の進め方を各手順書で学んで繰り返し作業することで、習得できました。一作業一清掃を一つ一つ丁寧に作業することで、良い製品を造り上げていくように心掛けています。
(質問5)この仕事の魅力や面白さ、進路を考えている学生に向けてメッセージがあれば教えてください。
永谷さん:
この仕事では、自動車部品等、様々な分野で鋳物が活躍しており、最先端の3Dプリンタの技術や、製品をお客様に短納期でお届けしていることなどがとても魅力的だと思います。また、製品が綺麗に仕上がった時、達成感や面白さを感じることができるので、とてもやりがいのある仕事です。ぜひいろいろな方に、この仕事に目を向けていただきたいです。
※2 検査作業:完成製品の寸法を3Dスキャナを用いて測定。製品に応じて複数個所を測定し、異常値があれば補修もしくは再製作になる。再製作を避ける為、注文数+アルファの個数を製作。
※3 ラップ:大きなサランラップの様なもの。ぐるぐる巻きにしてパレット上に固定する。
3Dプリンタからできたばかりの砂型を取り出すと余分な砂が付着した状態のため、刷毛やエアープローを用いて砂を除去するためのクリーニング作業を行います。砂が残った状態で鋳造すると、砂の模様が製品に出てしまうため不良品になってしまいます。
このため、砂型の製作にあたっては、余分な砂を完全に除去するクリーニング作業が必要となります。
フィトリアニさんとフェリシャさんは2018年の10月から木村鋳造所に技能実習生としてこのクリーニング作業に従事されています。作業にあたっては、固まっている部分を壊さないように扱いながらも、余分な砂を取り除き、また除去した砂が目に入らないようにゴーグルを装着して作業をします。このクリーニング作業をした複数の砂型を組み合わせることで、鋳物製作の為の「鋳型」が造られます。
お二人は、この作業を通じて、刷毛やエアーブローの使用方法を習得しながら鋳型製作の技術習得を目指されています。
(左:フィトリアニさん、右:フェリシャさん)
男性色のイメージが強い素形材産業ですが、現場には、ものづくりの面白さや大切さが秘められています。野田さんも永谷さんも会社見学をされたことがきっかけとなり、入社を志されました。また、フィトリアニさんやフェリシャさんのような技能実習生の存在も他の社員の刺激になり、各自が技術習得のために積極的に従事しているそうです。
お話をうかがって、あらためて「女性も素形材産業の現場で活躍することができる。」と大きな可能性を感じました。
今後も素形材産業の現場で活躍する女性従業員にスポットを当てていきます。
株式会社木村鋳造所の鋳造現場で活躍する女性従業員
1.会社概要
会社名 | 株式会社木村鋳造所(KIMURA FOUNDRY Co.,LTD) |
代表者 | 代表取締役 木村 寿利(きむら かずとし) |
創業・設立 | 創業:1927年(昭和2年)2月、設立:1948年(昭和23年)5月 |
本社所在地 | 静岡県駿東郡清水町長沢1157 |
資本金 | 8,500万円 |
従業員数 | 805名(男性643名、女性162名) ※2022年1月時点 |
事業内容 | 自動車用プレス金型用鋳物、工作機械・産業機械用鋳物、エネルギー関連鋳物、3Dプリンタを使用した鋳物の製造・加工・販売 発泡スチロールによる模型・モニュメント・フィギュアの製造・販売 リバースエンジニアリングによる現物復元、データ化 他 |
拠点 | 国内拠点:7カ所、海外拠点1カ所 |
2.鋳造の現場で活躍されている皆さん(野田さん、永谷さん、フィトリアニさん、フェリシャさん)
鋳物は、溶かした金属を鋳型に流し込み、冷却後に鋳型から取り出し、砂やバリを取り除く後処理を施して作られます。木村鋳造所は、自動車のプレス金型用鋳物や工作機械用鋳物を多く製造しています。その鋳造の業務に携わっている女性従業員の方々を紹介します。なお、内容については2022年1月時点になります。
①野田実里さん Misato Noda
2019年4月に入社し、溶解作業(※1)の業務を担当しています。溶解作業は、溶解した高温の金属を取り扱うため危険も伴う仕事です。
この世界に入った理由や仕事の内容、注意すること、進路を検討している学生へのメッセージなどをお聞きしました。
(質問1)就職先に木村鋳造所を選ばれたのはどうしてですか?実際に働いて見てどうでしたか?
野田さん:
学生の時に、会社見学をした際に溶けた鉄がとても綺麗で携わりたいと思いました。男性職場のイメージが強かった為、配属されるとは思っていませんでしたが、どうしても溶解に携わりたかったので申し出ました。実際に働いてみると重労働で大変ですが、やりがいがあります。
(質問2)現在の業務内容や就労時間について教えてください。この部署に配属されてどれくらいですか?
野田さん:
配属されてから2年9ヶ月です。仕事内容は溶解炉の補修、溶解、分析、成分調整、事務処理です。基本的には、8時から17時ですが、仕事量によって残業があります。
(質問3)この業務に従事するにあたって、意識していることや注意すべきことはありますか?
野田さん:
1,500℃~1,700℃ぐらいの溶けた鉄を扱っている為、火傷や保護具の扱いには特に注意しています。
(質問4)野田さんのように活躍するにあたって、必要な知識や習得しておくべき技能はありますか?
野田さん:
材質の名前や種類を覚えること、溶解作業や分析時の作業などの知識があれば一人でできるようになります。大雑把なことができない為、1つ1つ確認しながら丁寧な作業を心掛けています。
(質問5)この仕事の魅力や面白さ、進路を考えている学生に向けてメッセージがあれば教えてください。
野田さん:
溶解作業をしているときは、気が抜けないので集中して作業しています。電気炉や分析器の状態が日々違うので、扱うのが大変ですが、機械の状態を読み取りながら作業することも面白いです。進路を考えている方は、企業の雰囲気や人間関係、業務内容などを見ておくのがいいと思います。
※1 溶解作業:要求材質に合わせる為、電気炉内で複数の金属を溶融する。溶融後、上面に浮いてきたノロ(不純物)を取り除いてから、鋳型に注湯する。溶融金属は約1,500°。耐熱服、耐熱ヘルメットを着用し、安全に配慮して作業。注湯後、電気炉内の耐火材の張り替え等、炉を補修して次回の溶解作業に備える。
②永谷瑞歩さん Mizuho Nagatani
2020年4月に入社し、完成した鋳物の検査(※2)や製品表面の研磨、製品の梱包作業(箱詰めやパレット上へのラップ(※3)による固定作業)を担当しています。特に検査作業は、造られた鋳物を取引先に納入するにあたって、取引先が要求している品質に合致しているかを確認する重要な仕事です。
この世界に入った理由や仕事の内容、注意すること、進路を検討しているが学生へのメッセージなどお聞きしました。
(質問1)就職先に木村鋳造所を選ばれたのはどうしてですか?実際に働いて見てどうでしたか?
永谷さん:
私は元々製造業やモノづくりに興味があり、自分の長所である真面目で几帳面な性格をこの仕事に活かしたいと思ったことがきっかけです。また、KIMURAを見学した際に職場の雰囲気や社員の方々のあたたかさに惹かれ、KIMURAで働きたいという思いが強くなりました。この会社で働いてみて、最初は力仕事が多く難しい仕事だなと感じていましたが、だんだん自身の技術の向上を実感し、今はとても自分に合っていて、この仕事ができてよかったなと思っています。
(質問2)現在の業務内容や就労時間について教えてください。この部署に配属されてどれくらいですか?
永谷さん:
後工程では、砂型の造型から注湯、解枠、仕上、そして検査が行われています。私は検査という仕事を行っていて、主に3Dスキャナで製品の測定を行う寸法検査や、工具で製品を磨く最終的な仕上げ作業、出荷前の梱包などを行っています。就労時間は平日8時から17時までです。私は配属されて1年9ヶ月です。
(質問3)この業務に従事するにあたって、意識していることや注意すべきことはありますか?
永谷さん:
私は常に、丁寧に安全に作業するということを心がけています。検査や仕上げ作業では、製品における最終段階の工程なので、お客様に製品をより良い品質でお届けするために責任を持って取り組んでいます。また、製品に欠陥がない事をしっかり確認しながら、丁寧に綺麗に仕上げることを意識して作業を行っています。
(質問4)永谷さんのように活躍するにあたって、必要な知識や習得しておくべき技能はありますか?
永谷さん:
最初は誰でも分からない事や出来ない事ばかりですが、作業の手順や製品別の進め方を各手順書で学んで繰り返し作業することで、習得できました。一作業一清掃を一つ一つ丁寧に作業することで、良い製品を造り上げていくように心掛けています。
(質問5)この仕事の魅力や面白さ、進路を考えている学生に向けてメッセージがあれば教えてください。
永谷さん:
この仕事では、自動車部品等、様々な分野で鋳物が活躍しており、最先端の3Dプリンタの技術や、製品をお客様に短納期でお届けしていることなどがとても魅力的だと思います。また、製品が綺麗に仕上がった時、達成感や面白さを感じることができるので、とてもやりがいのある仕事です。ぜひいろいろな方に、この仕事に目を向けていただきたいです。
※2 検査作業:完成製品の寸法を3Dスキャナを用いて測定。製品に応じて複数個所を測定し、異常値があれば補修もしくは再製作になる。再製作を避ける為、注文数+アルファの個数を製作。
※3 ラップ:大きなサランラップの様なもの。ぐるぐる巻きにしてパレット上に固定する。
③フィトリアニさん Fitriany Ambo Anca、フェリシャさん Felisha Moria Falen Mewal
木村鋳造所の鋳造工程では溶解した金属を砂型に流し込んで鋳物を成形しますが、その砂型は3Dプリンターで製作しています。3Dプリンタからできたばかりの砂型を取り出すと余分な砂が付着した状態のため、刷毛やエアープローを用いて砂を除去するためのクリーニング作業を行います。砂が残った状態で鋳造すると、砂の模様が製品に出てしまうため不良品になってしまいます。
このため、砂型の製作にあたっては、余分な砂を完全に除去するクリーニング作業が必要となります。
フィトリアニさんとフェリシャさんは2018年の10月から木村鋳造所に技能実習生としてこのクリーニング作業に従事されています。作業にあたっては、固まっている部分を壊さないように扱いながらも、余分な砂を取り除き、また除去した砂が目に入らないようにゴーグルを装着して作業をします。このクリーニング作業をした複数の砂型を組み合わせることで、鋳物製作の為の「鋳型」が造られます。
お二人は、この作業を通じて、刷毛やエアーブローの使用方法を習得しながら鋳型製作の技術習得を目指されています。
(左:フィトリアニさん、右:フェリシャさん)
3.最後に
今回、ご紹介した野田さん、永谷さん、フィトリアニさん、フェリシャさんは、それぞれ強い責任感のもと鋳物の製造に携わられていることがよく分かりました。男性色のイメージが強い素形材産業ですが、現場には、ものづくりの面白さや大切さが秘められています。野田さんも永谷さんも会社見学をされたことがきっかけとなり、入社を志されました。また、フィトリアニさんやフェリシャさんのような技能実習生の存在も他の社員の刺激になり、各自が技術習得のために積極的に従事しているそうです。
お話をうかがって、あらためて「女性も素形材産業の現場で活躍することができる。」と大きな可能性を感じました。
今後も素形材産業の現場で活躍する女性従業員にスポットを当てていきます。
最終更新日:2022年6月23日