ＨＩＴ印作業工具を生み出す「鍛造」の出前授業

東邦工機株式会社（http://www.hittools.co.jp/main.html）は、奈良県大和郡山市に本社がある作業工具（ＨＩＴ）の製造と鍛造品の受注生産をする製造メーカーです。素形材産業室が取り組んでいる素形材産業と工業高校の交流について、同社から交流の希望があったことから、素形材産業室が窓口となり奈良県にある奈良県立王寺工業高等学校と調整し、授業を実施することができました。今回はその取組について紹介します。

東邦工機株式会社の鍛造に関する出前授業

１．会社概要

会社名	東邦工機株式会社（TOHO KOKI Co., Ltd.）
代表者	代表取締役社長　川上 喜八郎（かわかみ きはちろう）
創業	大正１５年１０月
本社所在地	奈良県大和郡山市小泉町2500番地
資本金	１億円
従業員数	８９名（男性７４名、女性１５名）　※令和４年９月２１日現在
事業内容	ＨＩＴ印作業工具の製造販売及び輸出入、各種機械工具・鍛工品・金型の製造販売及び輸出入
拠点	国内営業所：５箇所

２．奈良県立王寺工業高等学校と交流することになったきっかけ

今回の交流にあたっては、素形材産業室の取り組みを知った東邦工機株式会社から是非工業高校との交流の機会を持ちたいと相談がありました。同社の近くに奈良県立王寺工業高校があり、同校卒業生も働いているとのことでしたが、普段、なかなか学校と交流を持つ機会がないとのことで、この機会に交流を深めたいという意向でした。
王寺工業高校は奈良県内で唯一工業高校という名前が残っている学校です。小高い丘の上にある学校で、機械工学科、電気工学科、情報電子工学科の３科があります。今回の交流にあたっては、機械工学科２年生のＡ組とＢ組の生徒達に授業を行うことになりました。

３．授業概要

令和４年９月１４日（水）　５限目：機械工学科Ａ組、６限目：機械工学科Ｂ組　（計６３名）

講師：東邦工機株式会社　鍛造部　金田部長、
　　　　　　　　　　　　鍛造部　鍛造技術課　乾井さん
　　　　　　　　　　　　鍛造部　鍛造技術課　德谷主任（サポート）

随行：東邦工機株式会社　奈良常務取締役
　　　　　　　　　　　　振角取締役・営業本部長
　　　　　　　　　　　　管理本部　総務課　長谷川課長　　　　　　　　　　　　
　　　経済産業省　素形材産業室　鳥飼

授業内容：①鍛造とは
　　　　　②鍛造加工の種類・特徴
　　　　　③製造工程、製品紹介
　　　　　④まとめ
 
　
※授業風景
　  
※鍛造工程の動画は、すごい迫力　　　　　　　　　　　　　　　　　※東邦工機が製造している工具の鍛造状態と完成品
 

４．学校側の反応

基本的な鍛造加工の種類や特徴、工程を映像などを用いながら紹介があり、特に工程紹介の動画は、真っ赤に熱せられた鉄棒が職人が操る鍛造機で様々な形に変形加工していく様子に生徒達は釘付けでした。また、実際に同社が作っている作業工具（ＨＩＴ）などの製品がどういうところで使われているのかを紹介することで、生活の身近なところで鍛造製品が使われていることを知る機会になったと思います。説明後の質疑応答では、"仕事をしていて、一番のやりがいは何か。”"何年くらいで鍛造技能士になれるのか。”"一番しんどい時はどういう時か。”等の様々な質問が生徒達からあり、とても関心を持っていただけました。
また、今回の交流にあたっては、ご協力をいただいた学校からもコメントをいただきました。

県内の企業様を知る機会を与えていただき、ありがとうございました。 生徒も「動画が多く分かり易かった」と申しておりました。 特に、素形材産業に関するお話は、機械工学科の学習内容にも合致しており、その産業に対する興味関心を引き出すことにつながったと思います。 奈良県立王寺工業高等学校

５．王寺工業高等学校との交流を終えて

今回の交流について、東邦工機にも感想をいただきました。

経済産業省にて高校生への素形材産業の魅力を伝える活動の一環として出前授業という制度があることを知り、皆様のご尽力により実施させていただきました。 鍛造という一般に馴染みの少ない工法の為、どう伝えればよいか大変に悩みました。 講師陣が自分の入社時を思い出しながら資料を作り、比較的目にしたことのある電車の部品や工具を題材として授業を行いました。生徒の皆さんは、鍛造に興味を持っていただいたようで最後の質疑応答は時間が足りないくらいに積極的に質問が出されました。 授業を通じて、鍛造、素形材産業、ひいてはモノづくりの魅力の一端でも若い方々に伝えられたのではないかと感じております。 最後に、このような機会をつくって下さいました経済産業省の関係者の方々と、奈良県立王寺工業高校の校長先生をはじめとする皆様に御礼申し上げます。  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東邦工機株式会社

以上、今回の交流は、会社・学校ともに刺激になる良い機会になったと思います。特に、生徒達が興味深く授業を受講いただいたのは、とても有意義な時間だったと思います。今後も同社と学校の交流が続くことに期待するとともに、業界発展のためにも当室も協力して参ります。

お問合せ先

製造産業局　素形材産業室
電話：03-3501-1063（直通）
FAX：03-3501-6799