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金属熱処理の魅力!!工業高校への出前授業!!
西部金属熱処理工業協同組合(http://www.seibu.or.jp/)は、大阪などの西日本に所在する金属熱処理会社で構成された団体です。同組合では、金属熱処理業の認知度や地位の向上、ひいては人材確保にもつなげることを目指し、工業高校や高等専門学校の生徒への出前授業を行っています。ここでは、その代表的な取組を紹介します。
(一社)日本金属熱処理工業会・西部金属熱処理工業協同組合の取組
1.魅力向上委員会の成り立ち
平成27年、業界の次代を担う人材育成を主眼においた「若手勉強会」が発足しました。
大阪府団体中央会と組合ビジョンについて討議する中で、勝てる組合にするべきという議論を経て、「熱処理業の面白さや技術理論を高校生に伝えることで、業界の人材獲得および高等教育への貢献につなげて、結果、業界の地位向上を目指す」ことを目的とした「魅力向上委員会」に平成29年6月に改称しました。
その後、大阪府内を中心とした工業高校等に「金属熱処理出前講座」を実施しています。
2.金属熱処理出前講座の講師構成
4人1組、組合員各社で対応しており、八田工業株式会社 代表取締役 隅谷賢三(魅力向上委員会委員長)や株式会社東研サーモテック 代表取締役社長 川嵜隆司(副委員長)など若手経営者で構成されています。
3.主な授業内容
1コマ3項目の50分で実施しています。
1.金属熱処理業の歴史
2.ものづくり工程の説明
3.実技(金槌やポンチ等を用いて金属片を叩く、硬さ試験)
令和元年9月
大阪府立佐野工科高等学校
機械系学科2年生(40名)令和2年12月
大阪府立佐野工科高等学校
機械系学科2年生(120名)令和3年1月
大阪府立布施工科高等学校
機械系学科2年生(57名)
4.学校側の反応
生徒だけでなく、校長先生や教頭先生を始め、多くの先生方にも好評でした。出前講座後の生徒向けアンケートでは、「熱処理に興味を持った。」「就職先として考えたい。」など高い評価も多く、大阪府立布施工科高校では平成29年に、大阪府立佐野工科高校では平成31年に第1回出前授業を開催して以降、毎年学校から開催の依頼があり、継続して授業を実施しています。
5.出前講座を対応した講師からのコメント
金属熱処理業を少しでも理解いただく為に始めた講座ですが、学校の先生達にだけでなく、生徒達のような若い世代にも関心を持っていただけるように、魅力向上委員会としてこの取組を継続していきたいとしています。中小企業のインターンとなると受け入れ側、送り出し側ともにハードルが高いが、出前授業となると受け入れやすいです。
また、出前授業は一企業の活動ではなく西部組合の活動として行っており、授業用の資料やテストピースも共同で作成するなど、講師も複数名確保しており継続性があります。
残念なのは、授業日数の調整などがあるためか、校長先生に興味を持ってもらったとしても具体的に話が進む新規校がまだ少ないことです。
ただし、一度授業を行った学校からは「毎年お願いしたい」と依頼されている。講師の人数を徐々に増やし、多くの工業高校に出前授業を広げていきたいと思います。
6.出前講座をきっかけとした新高卒生の採用
金属熱処理業の出前講座により生徒・教員に興味を持って貰う機会ができた結果、生徒の進路(就職先)の選択肢として金属熱処理業が意識して貰えるようになり、実際の就職にもつながるようになって来ています。
採用実績(令和3年4月)
①採用企業:株式会社ダイネツ http://dainetsu.co.jp/
②採用された生徒:大阪府立 佐野工科高等学校、機械技術科卒、1名
③従事業務内容:製品受け入れ~完成出荷までの各現場作業を研修中。研修期間終了後に検査業務に従事予定。
出前授業により金属熱処理という分野に興味を持ちました。
特に目で見ても合否が判断できない奥が深い技術である事を知りました。授業中にあった実技も印象的でした。
学校では、機械加工や溶接技術等の授業が主でしたが、私の興味は熱処理に向いていました。
実際、金属熱処理に携わり、少しづつ理解を深めていく中で奥の深い技術である事を実感しています。社内の人も優しい方が多く、最初は緊張しましたが楽しく仕事ができています。
出前授業が無ければ金属熱処理という分野に興味を持ったか判りません。良い機会を頂き有難う御座いました。
熊本県立熊本工業高等学校への出前授業
1.新たな学校への展開
大阪府内を中心に活動していた西部金属熱処理工業協同組合は、大阪以外の地域にも本取組を展開したいという意向がありました。
そこで、経済産業省素形材産業室が間に入る形で熊本県にある熊本工業高等学校と調整をし、11月24日に同校に対して出前授業を実施することになりました。
2.熊本工業高等学校への授業概要
令和3年11月24日(水)5限目:材料技術科1・2年生(80名)
6限目:機械科1・2年生(80名)
講師:八田工業(株) 隅谷代表取締役(魅力向上委員会委員長) 会社HP:https://www.hatta.co.jp/
(株)東研サーモテック 川嵜代表取締役社長(同副委員長) 会社HP:https://tohkenthermo.co.jp/
富士高周波工業(株) 後藤代表取締役(同委員) 会社HP:https://www.fuji-koushuha.co.jp/
朝日熱処理工業(株) 織田代表取締役(同委員) 会社HP:https://www.asahi-nets.com/
(株)TONEZ 川嵜専務取締役(同委員) 会社HP:http://www.tonez.co.jp/
随行:西部金属熱処理工業協同組合 福井事務局長
(一社)日本金属熱処理工業会 石原専務理事 工業会HP:http://www.netsushori.jp/
経済産業省 素形材産業室 鳥飼、石原
授業内容:①中小企業の魅力
②金属熱処理の重要性・基礎・歴史
③金属の性質変化・温度
④金属熱処理を行う製品がどうやって作られるか
⑤金属熱処理を行うこの部品は何の部品か
⑥質疑応答
※授業進行にあたって、生徒達が関心を持って受講できるよう講師から生徒に質問を投げかけ、回答者を指名。
※授業風景(機械科)
※実技風景(材料技術科)
3.学校側(生徒・先生)の反応
講師からの様々な質問(金属熱処理とは何か。金属を熱して固くすると性質が何に変化するのか。熱して柔らかくすると何に変化するのか。製品を作るまでの過程で2回熱処理をするがそれは何故か。金属熱処理の温度は。等)に対して、生徒達はすべて1回で正解を答えていました。
さらに、生徒達からも18-8ステンレス鋼の熱処理についての質問(なぜ熱処理しても意味がないと言われているのか)や、金属熱処理業に就職するにあたって必要な資格があるのかという質問もあり、熊本工業高校で出前授業を行うのは初めてでしたが、技術的な意味でも進路の選択肢という意味でも、金属熱処理にかなり高い興味・関心を持ってもらうことができました。また、先生方からも大変好評でした。
本当に良い機会をいただきました。
生徒達にとっても普段勉強していることがどのように使われているのかということが肌身に感じることができて、貴重な経験だったと思います。そして講師の皆さんの話がとても上手でよかったです。今後も機会があればまたお願いしたいと思います。
是非、生徒達の進路先としても検討させていただきたいと思います。
◎熊本工業高等学校 藤﨑指導教諭(機械科担当)※授業当日は出張のため不在
本校の生徒、職員もとても良かったという話を聞いています。
日頃の学びの広がりをもつきっかけをいただき、生徒の進路に大いに役立てることができたと確信しました。
現在、厚労省所管の国家資格である技能検定において、その職種の一つである金属熱処理を積極的に受検しています。各教科間の内容にリンクするため、生徒たちのものづくりにおける知識や技術を育むことができていると感じています。私たち教師も指導力向上のため共に受検をしています。
今回の講義を受講し、生徒たちの日頃の学びが社会にどのように役立っているか、今後の社会はどのように変化していくか等を肌で感じることができたと思います。できましたら、今後も末永くお付き合いいただき、講義もお願いしたいと考えています。
生徒へのアンケートの結果
金属熱処理専業の会社があることを知らない生徒が大半でしたが、今回の授業を経て、金属熱処理業は面白いと関心を持って貰えた上、金属熱処理会社で働いてみたいと思った生徒が11%(20人弱)おり、生徒達が進路を考える上に置いても良い機会になったと思われます。
4.熊本工業高校への出前授業を終えて
今回の授業では生徒と講師の間で活発なやりとりが交わされていましたが、理由を伺ってみると、熊本工業高校の生徒達は、積極的に金属熱処理の技能検定を受検・取得しており、日頃から金属熱処理に親しむ機会も多いようです。金属熱処理業界と熊本工業高校のコラボレーションは初めてでしたが、これを契機として、今後の継続・発展につながることを期待しています。お問合せ先
製造産業局 素形材産業室電話:03-3501-1063(直通)
FAX:03-3501-6799
最終更新日:2021年12月24日