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「SXSW EDU 2023」レポート Vol.5
株式会社LearnWiz~日本のEdTech事業者も世界と渡り合えると実感 ~

2023年3月6日~9日

教育領域に特化した世界最大級のクリエイティブ・カンファレンスイベント「SXSW EDU 2023」が、2023年3月6日~9日、アメリカ・テキサス州オースティンで開催されました。日本からは採択事業者5社が参加。今回は、株式会社LearnWizのセッションレポートや参加した感想を紹介します。

参加事業者

株式会社LearnWiz

中條 麟太郎氏代表取締役CEO

【参加目的】

国外教育関係者からのフィードバックを求めて参加

私たちのサービス「LearnWiz One」は、参加者の相互評価のデータをもとに効果的な意見交換を実現するため、言語や文化に関係なく利用できるという特徴があります。公開から1年あまりで、国内だけでなく、タイをはじめとした国外でも利用されてきました。さらに、国際的なコンペティションへの参加などを積極的に進めており、世界最大規模の EdTech コンペティションである「Global EdTech Startup Awards 2021」では、「研究開発部門世界第1位」を獲得するなどの実績を誇ります。しかし、コロナ禍により国を超えた移動が困難になっていたことから、国外の展示会への出展や実証実験を行うことができませんでした。そのため、今後日本国外での利用をさらに促進する上で、国外の教育関係者からのフィードバックが不足していると感じています。海外の方との交流を通じてフィードバックを受けることで、サービスの改善に努めたいと考え、「SXSW EDU 2023」に参加しました。

【SXSW EDU2023レポート】

SXSW EDUは、まさに「教育者のためのお祭り」

一言でまとめるなら「教育者のためのお祭り」。セッションや展示はいずれも多くの参加者で賑わっていました。EdTechに限らず、現状の教育課題や教育実践に関連した内容が多く、米国の教育現場の雰囲気を身近に感じることができたと思います。また参加者も、スタートアップ関係者から投資家、教員から学生まで、様々な教育関係者が世界中から集まっていたことに加えて、新しい出会いや交流を求めて積極的にネットワーキングに参加している人も多く、自分自身、様々な人と意見交換できました。

基調講演の様子。移民や人種など日本では馴染みの少ないトピックも多かった

目的以外での収穫も多々あり

私たちが開発する意見交換ツール「LearnWiz One」の海外展開を促進するために、海外の方との交流を通じてフィードバックを受け、サービスの改善に努めることを目的として参加しました。結果的に、意見交換した多くの参加者からは、ツールが解決する課題や具体的な解決先に対して共感を得られました。また、EdTechを対象としている投資家の方とのランチで、米国で実施される教育関係者向けのイベントでの導入に向けて準備を進めることが決まりました。当該イベントには現地の教員が多く参加されることから、今後のサービス改善に向けたフィードバックを受けられることを期待しています。

また、交流を通じて数多くのEdTechスタートアップのCEOや、教育の研究をしている学生と知り合うことができました。特に学生とは別途ランチをセッティングし、具体的な研究内容に関する議論にもつながることも。今後、グローバル展開を進める上で、相談相手を得られたのは、事業の進捗にも有用であると感じています。

EXPO内に設置された交流会場では、飲食をしながらその場にいる人とざっくばらんに意見交換ができた

EdTechツールの可能性と広がりを実感

今回は主に高等教育におけるEdTechの活用に関するセッションを中心に参加しましたが、コロナ禍を背景としたオンライン学習の普及も相まって、EdTechを活用する場面が増えていることを実感できました。テレビ会議システムやLMS(※1)といった日本国内でも多く使われているツールのみならず、学生のカウンセリングに外部のEdTechツールを活用する事例が紹介されていたり、交流したEdTech事業者の中には、化学実験をUnity(※2)で再現するといったツールを開発している企業も。EdTechツールの可能性と広がりを感じました。

  • ※1 LMS:Learning Management Systemの略。eラーニングの実施に必要な、学習教材の配信や成績などを統合して管理するシステム。
  • ※2 Unity:ユニティ・テクノロジーズ社が提供する、ゲーム開発プラットフォーム。

また、EdTechコンペティションや交流会を通じて多くの米国のEdTech事業者を知ることができた一方で、その内容やクオリティを考えると、日本のEdTech事業者にも競争力があると感じられる場面が多々ありました。プレゼンテーションや英語での質疑応答、意見交換などを十分に準備することで、日本の事業者も世界で戦うことができると思います。私たち自身もその一員として、今後一層世界でのプレゼンスを高めていけるように精進したいです。

先進的な教育実践を体験できる場が多かったワークシップ。教員も多く参加していた

LinkedInのコンテンツを事前に充実させることが交流のポイント

事前準備として、口頭での自己紹介や事業紹介を練習したほか、スマートフォンで簡単に見せられるデモや英語版のHPなどを用意していました。そのおかげで、交流会をはじめとした立ち話の場面でも、短い時間で簡単に事業を伝えることができたと感じています。

現地の参加者の中には、ハガキサイズのチラシを配っている人も多かったです。スマートフォンでのデモと比べて、そのままお土産として渡すことができるため、効果的であると感じました。連絡先の交換はLinkedIn(ビジネス向けSNS)を通じて行うことが多く、 LinkedInで連絡先を交換した後に、これまでの経歴や大学で学んだことなどから話が広がることも多かったです。LinkedInのコンテンツを事前に充実させていて良かったと思いました。

参加セッションの詳細を記載しているレポートはこちら

参加事業者

株式会社LearnWiz

■ 企業概要
企業名/株式会社LearnWiz
所在地/東京都渋谷区 設立年/2022年 社員数/2名
HP https://learnwiz.jp/

■ 事業概要
授業やイベントに導入することで、参加者の主体性を引き出しながら、効果的な意見交換を促すことができる意見交換プラットフォーム「LearnWiz One」を提供する。ツール参加者同士で意見を交換して学び合う環境を容易にWeb上に創出できるのが特徴。授業でコミュニケーションを取りにくいという学生の課題と、高い学習効果のあるアクティブラーニング(学生の能動的な学び)を取り入れた授業をするのが難しいという教員の課題を同時に解決するものである。大学から中高、企業での研修まで幅広く活用が広がっている。

最終更新日:2023年3月30日