2020年 マレーシア APEC首脳会議(APEC Economic Leaders' Meeting)
- 11月20日(金)21時(日本時間)から、APEC議長国マレーシアの呼びかけで、APEC首脳会議が開催され、日本から菅総理大臣が出席しました。
- 「貿易・投資の意義の説明(ナラティブ)の改善」、「包摂性・デジタル経済」及び「革新的な持続可能性」を今年のテーマとして、世界経済の道筋、新型コロナウイルス感染症への各エコノミーの対応、ボゴール目標の次のAPECのビジョン、及びコロナ危機への対応について議論され、2040年に向けたAPECの新たなビジョンとして「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」、及びAPECが行う取組を付記した首脳宣言が3年ぶりに採択されました。
- 首脳宣言及びAPECプトラジャヤ・ビジョン2040の概要は以下のとおりです。
(首脳宣言の概要)
<新型コロナウイルス感染症による影響への対処と軽減>- 新型コロナウイルス感染症に対処するための包摂的、効果的かつ持続的な対応を支える全ての利用可能な政策手段を用いるために引き続き協働する。
- 必要不可欠な物品及びサービスの移動並びに人々の安全で必要不可欠な移動を促進するために協力し、貿易に不必要な障壁を特定し、取り除くことで、サプライチェーンの強靱性を強化する。
- 診断検査、必要不可欠な医療品及びサービス、治療法並びにワクチンの研究開発、生産、製造及び分配を含め、新型コロナウイルス感染症に関して建設的に協力する必要性を再確認。
- 地域の将来を主として導く新たなビジョンであるAPECプトラジャヤ・ビジョン2040を宣言。
- ボゴール目標の下でなされた大きな進捗を歓迎し、アジア太平洋地域における貿易及び投資の環境改善を促進する上で、更なる取組が必要であることを認識。自由で、開かれた、公正で、無差別的で、透明性のある、かつ予見可能な貿易・投資環境の重要性を認識。
- APECが多角的貿易体制を支持し続けることに対するAPECビジネス諮問委員会(ABAC)からの要請に留意。
- 世界貿易機関(WTO)の機能を改善させることを目指した必要な改革等を通じ、WTOで現在進行中の作業を引き続き支持し、WTO協定を実施するための適切な能力構築のイニシアティブについて引き続き作業する。
- 質の高い包括的な地域での取組に貢献するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のアジェンダに関する作業等を通じ、市場主導による地域における経済統合を更に推し進める。
- 関連するAPECの作業に基づく質の高いインフラ整備・投資を通じて地域連結性を向上する重要性を強調。
- 革新的な技術を促進し、信頼性があり、相互利用可能な、開かれた、アクセス可能かつ安全なICT環境を育成することを目指し、既存のデジタル、技能及び規制上の格差を縮小させ、デジタル・インフラ及びデジタル変革の発展を奨励する。
- データの流通を促進し、デジタル取引に対する消費者及びビジネスの信頼を強化する上での協力の重要性を認識。
- 新型コロナウイルス感染症による、中小零細企業や女性などに対する過度な影響を認識。
- 技術変革を活用するためのデジタル・リテラシー及び技能の開発に関する協力を加速させること、及び、越境の企業間の争いを解決するためのデジタル技術の利用を奨励することを含め、ビジネスの仕方を改善させ、人々のための経済的繁栄を解き放つ、継続的な構造改革の必要性を認識。
- 影響を受けている全ての経済セクターや労働者に、経済的回復を加速させる上で適切な支援が提供されることを確保するため、人材育成を促進し、経済・技術協力を強化する取組を推し進めることを目指す。
- 新型コロナウイルス感染症から回復するため、包括的な質の高い成長を促進し、APECの人間の安全保障のアジェンダに関するものを含め、このための作業を推し進める。
- イノベーション、生産性及び持続可能な成長を推進させる経済・技術協力及び構造改革に対する我々の支持を再確認。
- 利用可能かつアクセス可能で、十分な、安全で、栄養のある食料を通じた食料安全保障を確保。
- 低廉なエネルギーへのアクセスを促進し、持続可能な経済成長を支えるために多様な燃料と技術を利用してエネルギー強靱性及びエネルギー安全保障を向上させ、力強く包摂的な経済回復の一環としてよりクリーンなエネルギーへの移行を促進するために協働する。
- 気候変動、異常気象及び自然災害に対処し、緊急事態への備えを強化するための世界的な努力を支える経済政策及び成長を促進する。
- ABACによる提言に留意し、経済回復に向けた努力を支える民間部門との連携を歓迎。
(APECプトラジャヤ・ビジョン2040の概要)
- 1994年に決定され、「2020年までに自由で開かれた貿易・投資という目標を達成する」ことを掲げた「ボゴール目標」後のAPECの方向性を示す文書。
- 「全ての人々と未来の世代の繁栄のために、2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靭かつ平和なアジア太平洋共同体とすること」を、以下3つの経済的推進力により実現する。
(1)貿易・投資
- 良く機能する多角的貿易体制を実現させ、WTOの合意されたルールへの支持の再確認。
- アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のアジェンダに関する作業等を通じて、ボゴール目標及び市場主導による地域における経済統合を推進。
(2)イノベーションとデジタル化
- 市場主導で、デジタル経済やイノベーションに支えられた環境をつくり、構造改革及び健全な経済政策追求。
- デジタルインフラの強化、データの流通の促進と消費者やビジネスの信頼の強化で協力。
(3)力強く、均衡ある、安全で、持続可能かつ包摂的な成長
- 災害や疫病等への強靭性を確保するため、中小零細企業、女性を含む皆に恩恵をもたらす質の高い成長の促進。
- 人材育成の強化、気候変動等を含む環境分野の課題への対処。
2020年 マレーシア APEC閣僚会議(APEC Ministers Meeting)
- APEC閣僚会議 閣僚共同声明
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2020年マレーシアAPEC閣僚会議(結果概要)
2020年 マレーシア APEC貿易担当大臣会合(Ministers Responsible for Trade)
お問合せ先
通商政策局 アジア太平洋地域協力推進室
電話:03-3501-1407(直通)
最終更新日:2024年6月11日