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中国の日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置が撤廃されました

本件の概要

本日、中国商務省は、日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置を撤廃する旨公表しました。
WTO上級委員会は、昨年10月に、我が国の主張を全面的に認め、中国のアンチダンピング課税措置はWTO協定に違反する旨の報告書を公表していたところ、今般、中国は当該報告書に従い、我が国に対する課税措置を撤廃したものです。

 1.概要

平成24年11月8日、中国は日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対し、今後5年間アンチダンピング税を賦課する旨を最終決定しました(以下、「本件措置」といいます。)。我が国は、2013年4月11日に、WTOに対し、本件措置についてパネル設置要請を行い、同年5月24日にパネルが設置されました。

その後、パネル及び上級委員会において審理が行われたところ、2015年2月にパネル報告書が、同年10月14日に上級委員会報告書がそれぞれ公表されました。上級委員会は、我が国の主張を全面的に認め、本件措置は、我が国から輸出している高性能品と中国製品はグレードが異なり競争関係がないことを適切に考慮していない等の瑕疵があり、アンチダンピング協定3条1項、2項、4項及び5項(損害・因果関係の認定)等に整合しないとして、中国に対し措置の是正を求めました。

今般、中国は当該報告書に従い、我が国に対する課税措置を撤廃したものです。

2.意義

本件では、WTO上級委員会の判断において、我が国から輸出される高性能な製品と中国産の製品は性能やグレードが異なり中国市場で代替性がないにもかかわらず、中国当局がそうした違いを十分に考慮することなく,我が国からの輸出が中国の産業に損害を与えたとの認定を行ったことが違反とされた点に大きな意義があります。

中国がWTO勧告に従い、アンチダンピング課税措置を撤廃したことは、WTOの紛争解決手続の有効性が改めて確認されるとともに、近年新興国においてアンチダンピング課税措置が増加傾向にある中、WTOルールの明確化を通じて、恣意的又は不透明なアンチダンピング課税措置発動を抑制することについても大きな意義があると考えられます。

3. 参考

(1)高性能ステンレス継目無鋼管について

石炭火力発電所の超々臨界圧ボイラ等に使用される高付加価値特殊鋼を指します。高性能ステンレス継目無鋼管の我が国から中国への輸出額は、年間約1.4億米ドルです(2014年)。

(2)上級委報告書の判断内容

上級委員会報告書は、以下のとおり、中国の措置はアンチダンピング協定に違反すると判断し、中国に対して措置を協定に適合させるよう勧告しました。
①中国によるアンチダンピング課税は、我が国から輸出している高性能品と中国製品とでグレードが異なり競争関係がないことを適切に考慮していない等の点で損害及び因果関係の認定に瑕疵があり、アンチダンピング協定3条1項及び5項に違反するとしたパネル報告書の判断を支持した。
②中国の措置は、我が国の産品と中国製品とでグレードが異なり競争関係がないことを適切に考慮していない点で、アンチダンピング協定3条2項(価格効果分析)及び4項(国内産業への影響の分析)にも整合しない。

(3)アンチダンピング課税とは

ある商品の輸出向け販売価格が国内向け販売価格よりも安く、その輸出によって輸入国内における競合する産業が損害を被っていることが正式な調査により明らかになった場合に、その商品に対して国内向け販売価格と輸出向け販売価格の差を上限とする関税を賦課することをいいます。

(4)WTO紛争解決手続について

政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。パネルに不服のある当事者は、上級委員会(第2審)に審理を要請することができます。

(5)本件に係る過去のニュースリリース

①中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置についてWTOパネル審理を要請しました
・経済産業省ニュースリリース(平成25年4月11日付け)

②中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置についてWTO 協定に基づくパネルが設置されました
・経済産業省ニュースリリース(平成25年5月24日付け)

③中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置がWTO協定違反と判断されました~WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました~
・経済産業省ニュースリリース(平成27年2月16日付け)

④中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置について、日本がWTO上級委員会に上訴しました
・経済産業省ニュースリリース(平成27年5月20日付け)

⑤中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置がWTO協定違反と確定しました~WTO紛争処理上級委員会報告書が公表されました~
・経済産業省ニュースリリース(平成27年10月15日付け)

担当

通商政策局 通商機構部 国際経済紛争対策室
製造産業局 金属課
通商政策局 北東アジア課

公表日

平成28年8月22日(月)

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