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表層型メタンハイドレートの資源量の試算とその結果の検証を行いました

本件の概要

資源エネルギー庁では「海洋基本計画」に基づき、表層型メタンハイドレートの資源量把握に向けて、平成25年度から平成27年度にかけて調査を実施しました。
委託先である産総研においては、上越沖の1箇所のガスチムニー構造を対象として資源量の試算を行い、メタンガス換算で約6億m3の表層型メタンハイドレートの存在が見込まれるという結果が得られました。
試算結果について、外部の有識者による委員会において検討を行った結果、この試算が妥当な推計手法を用いて導かれていると判断できること、同時に、試算結果は一定の幅をもって解釈すべきものであること等の意見が示されました。

1. はじめに

日本周辺海域に存在するメタンハイドレートには、表層型と砂層型がありますが、主に日本海側で確認されている表層型について、「海洋基本計画」(平成25年4月閣議決定)に基づき、平成25年度から平成27年度にかけて資源量把握に向けた調査を行いました。
その結果、これまでに我が国周辺の海域で、表層型メタンハイドレートの分布が見込まれるガスチムニー構造が1,742箇所存在することが確認されました。また、掘削調査により、ガスチムニー構造の内部の物性を直接測定するとともに、地質サンプルを取得して、地層に含まれる間隙水の化学成分等の分析や解析を行いました(平成26年12月25日付け及び平成28年1月22日付けプレスリリース)。
これらの調査から得られた情報をもとに、委託先である国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)において、表層型メタンハイドレートの資源量の試算をとりまとめるとともに、その結果等について外部有識者による検証を行いました。

2.産総研による資源量の試算の結果

(1)試算の対象
各種の調査を進める過程で、ガスチムニー構造の内部におけるメタンハイドレートの分布が不連続で、広がりの推定が困難であることや、個々のガスチムニー構造毎に内部の様子が多様であることが分かってきました。そこで今回の試算に当たっては、評価の対象を調査海域全体とするのではなく、特定の範囲に限定することにしました。具体的には、本調査を通じて多くのデータが得られていることに加え、平成25年度以前の段階で各種の学術調査が最も進んでいて塊状のメタンハイドレートの存在が既に確認されていた場所のひとつであった、上越沖の海鷹海脚中西部のガスチムニー構造を示すマウンド地形(以下「海鷹マウンド構造」という。面積約200m×250m、深さ約120mの範囲。文末の図も参照。)を資源量試算の対象としました。

(2)試算の方法
主に3種類の方法を用いました。第一に、海底掘削機器に装備した測定機器を使って掘削と同時に測定した、地質の物性データ(硬さ、電気抵抗、地層の空隙率等)から推定する方法(掘削同時検層(LWD)。掘削本数8本)、第二に、海底を掘削しながら地質サンプルコアを回収し、そのサンプルに含まれるメタンハイドレートや間隙水の化学成分の濃度から推定する方法(コア分析。掘削本数6本)を適用しました。これらの調査で得られたデータを組み合わせて、メタンハイドレートの分布を試算しました。
また第三の方法として、調査船から曳航した機器から発生する人工電場を利用して測定された、海底下の3次元的な電気抵抗分布から推定する方法(海洋電磁探査)により、電気抵抗が高いメタンハイドレート等が分布する範囲の体積を試算しました。

(3)試算の結果
掘削同時検層及びコア分析に基づく試算では、海鷹マウンド構造の内部に存在するメタンハイドレートの体積は、いずれもメタンガス換算で約6億m3と算出されました。また、海洋電磁探査による試算でも、メタンハイドレートの存在をうかがわせる高い電気抵抗を示す範囲が同オーダーの数億m3程度と概算できました。
これらの結果を踏まえ、産総研では海鷹マウンド構造の内部にメタンガス換算で約6億m3の量に相当するメタンハイドレートが存在すると推定しました。

(4)試算結果の取扱いについて
上記の数値はメタンハイドレートの原始資源量(存在量)を示すもので、回収技術がまだ確立してない現時点においては、エネルギー資源として利用が可能な可採埋蔵量を示すことはできません。
また、上記の試算に際しては、限られた掘削地点の情報から空間的な補間作業を行っているため、メタンハイドレートの形状や分布の連続性、地質構造についてある程度の不確実性を伴います。そのため、約6億m3とした資源量は一定の幅をもって解釈されるべき値です。
さらに、今回の調査により、ガスチムニー構造毎の構造やメタンハイドレートの分布の特徴が不均一であることが分かりました。今回の海鷹マウンド構造での試算結果を他のガスチムニー構造に一般化して適用することは難しい状況です。

3.外部有識者による検討とそのポイント

メタンハイドレートの資源量の試算結果について、産総研に「表層型メタンハイドレート資源量評価結果検討委員会」(座長:荒戸裕之秋田大学大学院教授)を設置して、外部有識者による検討を行いました。この検討委員会は平成28年3月16日、7月26日、8月31日に、いずれも公開で開催しました。検討委員会のとりまとめのポイントは以下のとおりです。

  • 3年間で実施した調査として豊富で、かつ重要なデータと解析結果が得られている。
  • 先行研究の情報が蓄積されており、ある程度のメタンハイドレートの集積が見込まれる上越沖の海鷹マウンド構造を対象として資源量の試算を行った判断は妥当。
  • 一定の幅を持って解釈されるべき値として、海鷹マウンド構造で約6億・3の表層型メタンハイドレートの資源量(存在量)と推定。

 また、3年間にわたって実施した調査手法の妥当性についても検討を行いました。その検討結果のポイントは以下のとおりです。

  • 限られた期間で表層型メタンハイドレートを対象とした多岐にわたる調査手法を網羅しており、そのデータは豊富で精度も高い。
  • 形態的な特徴や内部構造によって、ガスチムニー構造がいくつかのタイプに区分できるのではないかという可能性が示唆され、その指標になり得る知見が集まった。
  • 得られた試料やデータについては分析や解析が不十分であり、引き続き実施する余地がある。

さらに、今後は回収技術の調査研究等を並行して進めながら、資源開発の可能性を見極める必要がある、との提言がなされました。

4.今後の当省の対応

当省としては、上記の検討結果等を踏まえ、今後、表層型メタンハイドレートの実用化を目指し、以下のように対応していく予定です。
(1)表層型メタンハイドレートの回収技術の調査研究表層型メタンハイドレートを回収するための技術コンセプトの調査研究に着手します。表層型メタンハイドレートの回収技術は、世界的にもまだ実用化に向けた開発が行われていない分野のため、我が国の産業界等の知見を広く活用する観点から提案公募形式で実施します。(本年度は9月中を目途に行う予定)
(2)表層型メタンハイドレートの賦存状況の解明のための調査回収技術の調査研究の進展に伴って将来的に現場での回収試験等を行う際に必要となる情報を収集しておくため、表層型メタンハイドレートの賦存状況の解明のための調査を産総研と連携しつつ実施します。

また、3年間にわたり実施した資源量把握のための集中的な調査に関する詳しい報告書については、今後、産総研において最終的な整理を行い、本年度末頃に公表する予定です。

(参考)表層型メタンハイドレートの資源量の試算結果


(過去のプレスリリース)
平成26年12月25日付け
平成28年1月22日付け
 

担当

資源エネルギー庁資源・燃料部 石油・天然ガス課

公表日

平成28年9月16日(金)

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