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中小型バイナリー発電システムの性能測定方法の国際規格が発行されました

~二酸化炭素排出がゼロのバイナリー発電システムの普及拡大に向けて~

2022年2月3日

国際電気標準会議(IEC)において、日本が提案した「中小型バイナリー発電システムの性能測定方法」に関する国際規格が発行され、これまで製造メーカが独自に定めていた発電能力算出のための試験条件などが国際規格で規定されました。これによって、バイナリー発電システムの性能が正しく評価されることとなるため、今後の同システムの普及促進と、それによる再生可能エネルギーや未利用エネルギーの利活用促進、CO2排出の削減への貢献が期待されます。

1.提案の目的・背景

地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーや工場から排出される廃熱などのうち、熱源の温度レベルが低いものについては、そのほとんどが未利用エネルギーとなっており、その利用促進は大きな課題となっています。そのため、そうした未利用エネルギーを効率的に電気エネルギーへ変換可能なバイナリー発電技術※1には、その普及に大きな期待が寄せられているところです。

しかし、バイナリー発電システムにおいては、発電能力の算出方法についての明確な基準が定められていなかったため、同システムを世界のマーケットに本格投入するためには、単位熱量あたりの発電量や操作条件による発電量、発電コストなどを正しく評価・認識する、バイナリー発電システムの性能測定方法に関する国際規格が必要となっていました。

こうした状況を踏まえ、我が国は、全世界の中小型(出力:100kW以下)を対象とした、バイナリー発電システムの性能測定方法に関する国際標準化提案を行い、2021年11月にIEC63277(Binary power generation systems with capacity less than 100kW – Performance test methods)として国際規格化されました。

※1:熱水などを利用して沸点の低い作動媒体を加熱・蒸発させ、その蒸気で膨張機やタービンを作動させることにより発電する方式。熱水と作動媒体の2つの熱サイクルを利用し発電することからバイナリーサイクル(Binary –Cycle)発電と呼ばれている。

2.国際規格の内容

今回発行された国際規格は、バイナリー発電システムの適正かつ合理的な性能測定方法を定めることを目的に、①発電能力の測定条件(温熱源と冷熱源それぞれの温度と流量、測定機器の精度)、②発電能力の算出方法、③バイナリー発電システムの表示項目、について規定しています。 

       バイナリー発電システムの構成例
図 バイナリー発電システムの構成例
 

3.期待される効果

この規格により、次のような効果が期待されます。

バイナリー発電システム市場における日本の競争力の強化

日本の高効率なバイナリー発電システムの性能が正しく評価され、世界の市場でイニシアティブを取ることが可能となります。特に、今後の伸長が期待される中小型発電領域における再生可能エネルギー利用に関する新市場の創造や、同市場での競争力の強化につながります。

環境への貢献

未電化地域の小型分散電源としての導入拡大も含め、バイナリー発電システムの普及が促進されることにより、熱源温度が低い温泉水や工場排熱などの未利用エネルギーの利活用がさらに促進され、世界規模でのCO2削減への貢献が期待されます。

担当

産業技術環境局国際電気標準課長 柳澤
担当者:森田、後藤、木村

電話:03-3501-1511(内線 3428)
03-3501-9287(直通)
03-3580-8631(FAX)