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懲戒処分について
2022年3月9日
経済産業省職員について以下のとおり懲戒処分を行いましたので公表します。
Ⅰ 事案の内容
1.国家安全保障局在籍時の非違行為
経済産業省大臣官房付藤井敏彦(以下「被処分者」という。)は、令和元年10月31日から令和4年2月8日までの間、内閣審議官として国家安全保障局に在職し、この間、令和3年11月19日から内閣官房副長官補付に併任され、経済安全保障法制準備室長として令和4年2月8日まで勤務していた。この間、国家安全保障局在職中に、処分につながる可能性のある行為が把握されたことに伴い、国家安全保障局在籍期間中の非違行為について国家安全保障局において調査を行った結果、以下の事項を確認した。
(1) 部外者に対する情報漏洩及び便宜供与等の疑いに係る事項
① 被処分者は、朝日新聞記者に対し、国家安全保障局在籍中にて知り得た作成中の法案の内容について漏洩した疑いがあったことが報道されているが、被処分者及び朝日新聞への確認の結果、また、報道で指摘されている令和4年2月2日付朝日新聞の記事の内容が既に部外関係者等に対し説明済であったことなどから、国家公務員法第100条に規定される情報漏洩は確認できなかった。
他方、国家安全保障局の幹部が、かつて国家安全保障局を担当していた記者の自宅に複数回単独で出入りしていること自体が、上記のような情報の漏洩を疑わしめ、ひいては、国家安全保障局の情報保全能力に対する疑念を生じせしめたものであり、国家安全保障局の幹部職員として不適切であった。
(2) 兼業関係にかかる事項
① 被処分者について、国家公務員法第104条に定める兼業許可の手続きを経ずに株式会社不識庵との間で有報酬兼業を行っていたことが確認された。被処分者による兼業は、国家安全保障局、経済産業省及び防衛装備庁在籍期間とあわせて延べ9年間にわたり、総額約1,600万円(国家安全保障局在籍中は約490万円)の報酬を受けていた。
② 被処分者は、国家安全保障局在籍時に、令和2年4月から無報酬で一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サスティナブル・サプライチェーンの特別顧問を兼業しているが、無報酬での兼業であることから法令違反等は確認されていない。しかしながら、被処分者は、当該法人の業務を行う上で必要との名目でスマートフォンの貸与を受け、私的に利用していたことが確認された。
当該法人が負担したスマートフォンの使用料金約10万円は、本来、被処分者が払うべき私的通信費であり、国家公務員倫理規程第5条第1項に規定する「職員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。」に違反する。
更に、被処分者が国家安全保障局内での議論検討のために経済産業省から対外非公表として入手した資料(ただし、実質秘は含まない)について、自ら顧問を務める当該法人に対し無断で送達していたことが明らかとなった。
指定職級幹部職員たる被処分者が、実質秘は含まないとはいえ、他省庁から受領した対外非公表の文書を外部に無断で送達したことは、国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程の内規違反に留まらず、情報の保全を業務の基調に据える国家安全保障局と他省庁との信頼関係を瓦解させかねない行為であり、信用を失墜させるものとして、国家公務員法第99条の信用失墜行為の禁止に違反する。
③ 被処分者は、平成28年6月から多摩大学ルール形成戦略研究所で客員教授を兼業しているが、無報酬での兼業であることから法令違反等は確認されていない。しかしながら、国家安全保障局の調査の過程で、同研究所においては、有識者等の意見聴取に要した会食費用について、自身の分は自己負担、相手方の分は一時立て替えし領収書を提出し精算するルールであるにもかかわらず、被処分者は自己の費用分を含めて領収書に計上して精算し、同研究所に支払わせていたことが確認された。
これについて、被処分者は会食費用として同研究所に請求した約60万円のうち、約半分となる30万円を本来自己が負担すべき費用であるとして、同研究所に返還すべく協議しているが、当該行為は、国家公務員倫理規程第5条第1項に規定する「職員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。」に違反する。
更に、被処分者は、同研究所の國分俊史教授に対し、金融庁から対外非公表として送達されていた、政府内部の協議を目的として送付された対外非公表の文書(ただし、実質秘は含まない)を無断で送達した(関連文書は、国家安全保障局から別途配布する)。
指定職級幹部職員たる被処分者が、実質秘は含まないとはいえ、他省庁から受領した対外非公表の文書を外部に無断で送達したことは、国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程の内規違反に留まらず、情報の保全を業務の基調に据える国家安全保障局と他省庁との信頼関係を瓦解させかねない行為であり、信用を失墜させるものとして国家公務員法第99条の信用失墜行為の禁止に違反する。
(3) 贈与等報告書等関係にかかる事項
① 被処分者は、国家安全保障局、経済産業省及び防衛装備庁在籍期間も含めて、贈与等報告書の保存期間内において、少なくとも61件の講演や執筆を行い、総額約980万円(国家安全保障局在籍時は40件、約570万円)の報酬等を受け取りながら、国家公務員倫理法第6条に定める贈与等報告書の提出を行っていなかったことが確認された。
講演を行っていた依頼先の中には、経済産業省在籍時代の利害関係者が5社含まれていたが、当該利害関係者から依頼のあった講演6件(国家安全保障局在籍時は5件)は、国家公務員倫理規程第9条1項に定める倫理監督官の事前承認を得ていなかった。
また、被処分者は、一回の報酬が極めて高額な講演を繰り返し行っていたこと、講演先の利害関係者から飲食の提供を受けたことが確認されており、それぞれ国家公務員倫理規程第5条及び第3条に違反する。
② 被処分者は、国家安全保障局在籍時に,経済産業省が執行する事業再構築補助金を申請しようとしていた語学学校代表及びその支援を行う個人経営のコンサルティング企業に対し、補助金申請書類の作成を支援し、その対価として当該コンサルティング企業から執筆料30万円を受領しながら、国家公務員倫理法第6条に定める贈与等報告書の提出を行っていなかったことが確認された。また、当該支援行為は勤務時間内に行われていた。
これに加え、被処分者は、事業者の当該申請に当たり経済産業省の担当課長に対し事業者からの事前相談の希望を伝える際に「担当者任せにせず課長自ら相談に乗るように」との依頼を行い、不採択後も同課長に対し「不採択理由を開示して欲しい」との依頼を行っていた。
なお、補助金の採択審査は経済産業省の外部に設置する審査事務局において、外部専門家が実施しており、経済産業省が採択可否の判断に関与することはなく、当該事業者の補助金申請は公正な審査の結果、不採択となっている。
報酬を得ていた行為は、贈与等報告書の提出義務違反であるのみならず、内閣官房指定職級高官が、当該コンサルティング企業の補助金申請書類の作成支援に対して対価を得ることと合わせてそのようなやりとりを行うことは、経済産業行政の公正性・中立性について国民の疑念を生じるおそれがある極めて不適切かつ軽率な行為であり、また、国家安全保障局の信用を著しく貶める点で極めて不適切であり、国家公務員法99条に定める国家公務員としての信用を著しく傷つける行為であった。また、それらの行為を勤務時間中に行っていたことは、同法第101条の職務に専念する義務に違反した行為であった。
(4) 国家安全保障局におけるタクシー券の不適切利用
① 被処分者のタクシー券の使用に関する一連の報道を受け、被処分者のタクシー券の使用記録につき確認したところ、深夜0時を超えた時刻に、都内の複数の特定地域近辺において乗車しているものが多数判明した。これを受け、事実関係について本人に事情聴取したところ、深夜0時を超えたタクシー券使用の全て、及び、0時を超えていない1件の使用について、公務としての側面はあったものの、公私の別が曖昧な使用であったことを認めた。
② 加えて、私的立場での講演等に出向いた先からの帰宅用に使用したものが2回確認されたが、当該2回の講演においては、招聘企業により1回当たり3万円の交通費が支給されており、当該交通費は、被処分者の自宅までの交通費を大きく上回るものであり、社会通念上認められる交通費の実費弁償の概念を超えるものである。
③ これを受け、国家安全保障局としては、これらタクシー券の使用は、不適切な使用であると認定し、当該使用分のタクシー代総額20万4430円の返還を求めるとともに、国家公務員法第99条(信用失墜行為の禁止)の違反と認定した。
④ また、講演の招聘企業から支給された交通費(実費分300円(会場から自宅までの電車賃)を除く29,700円の2回分(59,400円))を受け取る行為は、国家公務員倫理規程第5条第1項に規定する「職員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。」に違反するものと判断した。
(5) 報道関係者との接触及び対外的な意見発表を行う場合の事前届け
被処分者は、国家安全保障局在籍時に、同局が内規で定めている、報道関係者との接触及び職務に関する応答を行った際の事後報告、対外的な意見発表を行う場合の事前の届出を行っていなかったことが確認された。
(6) 国家安全保障局におけるセクシュアルハラスメント
2.経済産業省在籍時の非違行為
国家安全保障局の調査結果を踏まえ、経済産業省在籍期間中の被処分者の行為についても調査を行ったところ、以下の事項を確認した。
(1) 兼業関係に係る事項
上記1.(2)①における被処分者の兼業について、経済産業省在籍時に4年間で総額約810万円の報酬を受けていたことが確認された。
(2) 贈与等報告書等関係に係る事項
上記1.(3)①における被処分者の贈与等報告書について、贈与等報告書の保存期間内において、経済産業省在籍時に、少なくとも20件の講演や執筆を行い、総額約約380万円の報酬等を受け取りながら、国家公務員倫理法第6条に定める贈与等報告書の提出を行っていなかったことが確認された。
これらの講演について、被処分者は、経済産業省の内規で定める、職務に関連する内容について講演する場合の上司への確認行為を行っておらず、また、講演を行っていた依頼先の中には、利害関係者が1社含まれていたが、当該利害関係者から依頼のあった講演については、国家公務員倫理規程第9条1項に定める倫理監督官の事前承認を得ていなかった。
3.防衛装備庁在籍時の非違行為
Ⅱ 処分内容
処分の種類:停職12月
担当
経済産業省在籍時の非違行為に関すること、懲戒処分に関するお問合せ先
経済産業省 大臣官房秘書課長 伊藤
担当者 茂木、菊島
電話:03-3501-1511(内線 2071~7)国家安全保障局在籍時の非違行為に関するお問合せ先
国家安全保障局 内閣参事官 米山
担当者 井上
電話:03-6910-0356
防衛装備庁在籍時の非違行為に関するお問合せ先
防衛省 人事教育局服務管理官 鈴木
担当者 佐々木、大網
電話:03-3268-3111
(内線 20700、20705、20709)