概要

1 世界経済の動向

■ 不安を抱え、回復への足取りの重い世界経済
・世界経済は、2009年春には底打ちし、全体として緩やかな回復傾向を辿ったものの、2011年に入り、欧州債務問題の深刻化、米国経済の減速等により、再び減速。
・2012年に入ると、急激な景気後退の懸念は緩和したものの、世界経済は依然として各国の政策措置に支えられた不安定さを抱えた状態。一方、新興国は年後半から減速傾向ながらも引き続き堅調に推移。
■ 債務危機により混迷を深めた欧州経済
・欧州経済は、2008年の世界経済危機による落ち込みから緩やかに回復してきていたが、欧州債務危機の顕在化による景況感の低下、財政健全化に向けた各国政府の財政引締め等から需要が減退、景気の失速傾向が鮮明に。
・一方、ドイツでは、失業率が東西統一後最低水準で推移するなど相対的に他の主要国に比べて景気が底堅く推移しており、欧州経済の二極化が進行。
■ 底堅く推移するも先行き不透明な米国経済
・米国経済は、2011年に入り、原油価格高騰や東日本大震災によるサプライチェーンの混乱などにより回復の足取りが鈍化したが、年後半にかけて回復ペースが加速。
・2012年に入ってからも労働市場や住宅市場に改善の兆しが見られるなど、足下の経済指標は総じて緩やかながら回復しているが、消費は本格的回復には至っておらず、依然として高い水準にある失業率や低迷する住宅価格、欧州債務危機の波及や新興国の成長鈍化による外需の落ち込み、ガソリン価格の高騰などがリスク要因に。引き続き財政・金融政策による下支えが期待される。
■ 高成長ながらも減速が見られる中国経済
・2011年はインフレの抑制が経済政策の最優先課題とされ、金融引締め政策がとられる中で、年央からは欧州債務危機の影響を受けて欧州向け輸出が鈍化をはじめ、輸出の比重の高い沿海部を中心に経済成長が減速。2012年は最優先課題として「経済の安定したより速い発展」を掲げ、優先課題として物価水準の安定を挙げており、内需、特に消費需要の拡大を強調。住宅価格の急落、地方政府の債務問題、欧州債務危機に伴う輸出の減速などが当面のリスク要因。
■ その他のアジア経済
・アジア諸国は、2011年も緩やかな回復を続けていたが、資源価格高騰や国内物価の上昇、それに対する金融引締め、欧州債務危機の深刻化による輸出の鈍化などによって、2011年中頃から回復のテンポは緩やかに。
・韓国経済も、欧州債務危機の再燃により年中頃から欧州向けを中心に輸出が減速。秋頃には欧州金融機関等海外投資家のリスク回避傾向が強まり、韓国をはじめとするアジア諸国からの資本引揚げ、それに伴う韓国ウォンの急落、外貨準備の減少等が生じ、景気減速の動きが顕著に。最近は一部に持ち直しの動きも見られるが、足踏み状態が継続。


  次の項目に進む