第3章 我が国企業の海外事業活動の展開

第2節 海外事業活動に関する国際比較

本節では、我が国の海外事業活動の状況を、主要国とマクロ的な国際比較を行うことで我が国の国際的な立ち位置を明らかにするとともに、ドイツや韓国の海外事業活動の拡大に向けた取組を概観することで、我が国として参考にすべき点を示していく。

また、新興国における我が国企業の事業展開の現状とその特徴について、幾つかの事例や分析を用いて示す。

1.対内及び対外直接投資に係る国際比較

ここでは、我が国の海外事業活動の国際的な立ち位置を確認するために、対内及び対外直接投資を、投資残高(GDP比)、投資収益率、投資収益額(GDP比)の面から他の主要国との比較を通して概観する。

(1)投資残高の推移

まず我が国の対内及び対外の直接投資残高のGDP比が国際的にみてどれぐらいの水準なのかを見ていきたい。我が国は2010年に15%程度であるのに対し、米国が3割強、ドイツが4割強、英国が7割強であり、我が国が欧米主要国と比べ低水準であることが分かる。また、韓国が2010年に我が国に迫る水準となっていることが特徴である(第3-2-1-1図)。

我が国の直接投資は対外に偏っており、とりわけ対内の水準が低いことがしばしば指摘されるが、正確には対外についても国際的にみて決して高い水準ではないことが分かる。

続いて、対内直接投資残高をGDP比でみると、我が国が2010年に5%弱であるのに対し、韓国が1割強、ドイツや米国が2割強、英国が4割強であり、我が国は主要国の中でとりわけ低い水準にあることが分かる(第3-2-1-1図)。

第3-2-1-1図 主要国の対外及び対内の直接投資残高のGDP比の推移(全産業)
第3-2-1-1図 主要国の対外及び対内の直接投資残高のGDP比の推移(全産業)

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なお、ドイツについては、ユーロ圏を除き、非ユーロ圏のみでみたとしても、我が国より対外・対内とも高い水準で推移しており、ドイツの水準が我が国に比べて如何に高いかが分かる。

(2)投資収益率の推移

次に我が国の対内及び対外の投資収益率の推移を国際比較してみる。まず、我が国の対外直接投資収益率は、2005年には英国、米国に次ぐ水準であったが、2010年には米国、英国、ドイツ、フランスよりも低い水準となっている(第3-2-1-2図)。

第3-2-1-2図 主要国の対外直接投資収益率の推移
第3-2-1-2図 主要国の対外直接投資収益率の推移

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また、対内直接投資収益率についても、2005年には高い水準であったが、2010年には主要国の中で最低の水準となっている。我が国の対内直接投資はフローベースでみて2010年以降低迷して推移しており、対内直接投資を今後呼び込むためには、収益率が高まるような環境整備を行っていくことが必要であることを示唆している(第3-2-1-3図)。

第3-2-1-3図 主要国の対内直接投資収益率の推移
第3-2-1-3図 主要国の対内直接投資収益率の推移

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(3)投資収益額の推移

最後に対外及び対内の投資収益額の推移を国際比較してみる。投資収益額は、@投資残高、A投資収益率のいずれか、若しくは、いずれもが高ければ高いほど、大きくなる。これまで見てきたように、我が国の対外及び対内直接投資は、投資残高が主要国に比し大きくはないことに加え、収益率についても近年主要国に比し低水準となっていることから、投資収益額についても、対内・対外とも、国際的にみて、低水準である。具体的に対内及び対外の投資収益額をGDP比でみてみると、まず対外は、我が国は2010年で1%弱で、英国の6%弱、米国、ドイツ、フランスの3%弱に比べ低い水準で推移している。また、対内については、我が国は2010年で0.1%程度と、欧米諸国(1〜2%台)のみならず、韓国と比べても低く、主要国中最低のレベルとなっている(第3-2-1-4図)。

第3-2-1-4図 主要国の対外及び対内直接投資収益のGDP比の推移
第3-2-1-4図 主要国の対外及び対内直接投資収益のGDP比の推移

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