第4章 外との繋がりによる日本経済の新たな成長に向けて

第2節 ニーズの変化に対応した海外事業活動支援

5.グローバル人材の育成

現在我が国は、人口減少と超高齢化に加え、東日本大震災という深刻な危機からの復興という課題に直面している。このような中、日本が再び経済成長を遂げるためには、企業のグローバル展開を支える「グローバル人材71」の確保・育成が必要であると言われている72。企業は若手社員には、語学力に加え、外国人との商談を行い、外国人とチームで働くことのできる能力を、中堅人材には海外拠点のマネジメント能力を求めている(第4-2-5-1図)。

71 語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感、異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティーなどを有する人材。グローバル人材育成推進会議(2011)、p.7。

72 日本経済同友会は、2012年4月25日に『“日本企業”のグローバル経営における組織・人材マネジメント』報告書において、「本社の日本人社員を、どのようにグローバルに活躍できる人材へと育成していくのか、現地のローカル人材から現地法人トップに登用できる人材をどのように育てていくのかについても、大きな課題である。(P.9)」としている。


第4-2-5-1図 企業が社員に求めている能力・スキル
第4-2-5-1図 企業が社員に求めている能力・スキル

一方で、日本人の英語力は世界的に見ても低水準である(第4-2-5-2表)ことに加え、近年では、日本からの留学者数の減少(第4-2-5-3図)なども見られるなど、グローバル人材が十分に育っているとは言い難いのが現状である(第4-2-5-4図)。

第4-2-5-2表 日本人の英語力
第4-2-5-2表 日本人の英語力

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第4-2-5-3図 日本人の留学生推移
第4-2-5-3図 日本人の留学生推移

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第4-2-5-4図 企業のグローバル人材へのニーズとその過不足
第4-2-5-4図 企業のグローバル人材へのニーズとその過不足

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政府ではこうした現状を踏まえ、我が国の成長の牽引力となるべき「グローバル人材の」の育成と、そのような人材が社会で十分に活用される仕組みの構築を目指して、2011年5月官房長官を議長とし、関係閣僚を構成員とする「グローバル人材育成推進会議」を設置し、6月に政府のグローバル人材施策を「グローバル人材育成推進会議 中間まとめ」73としてとりまとめた。

73 グローバル人材育成推進会議「グローバル人材育成推進会議 中間まとめ」、2011年6月22日、(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/global/110622chukan_matome.pdf)。


この中間まとめでは、

など、政府のグローバル人材の育成や活用に向けた基本的な問題意識や諸課題への対応施策を取りまとめている。

このような現状を踏まえ、経済産業省では以下のような取組を行っている。

(1)企業の人事マネジメントの国際化に向けた取組

事業の海外展開に資する優秀な人材を育成・確保するためには、企業の人事マネジメントの国際化が重要である。そこで経済産業省では、人材マネジメントのグローバル化を進める上で重要な取組を「国際化指標201074」として整理した。

74 経済産業省「日本企業の人材マネジメントの国際化度合いを測る指標(国際化指標2010)」、2011年5月、(http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/sangakujinnzai_ps/pdf/shihyo2010.pdf)。


(2)大学におけるグローバル人材育成のための指標策定

2012年3月、大学におけるグローバル人材育成を促進することを目指し、産業界が求めるニーズを踏まえ、各大学が教育プログラム等に関する取組状況の度合いを確認できる指標75を策定した。また、全国11大学の取組をグローバル人材育成に関するグッドプラクティス76として紹介した。

75 経済産業省「大学におけるグローバル人材育成のための指標調査 報告書」、2012年3月、(http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/global/honbun.pdf)。

76 経済産業省「大学におけるグローバル人材育成に関するグッドプラクティス集」、2012年3月(http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/global/goodpractice.pdf)。


(3)産学協働人財円卓会議の開催

2011年7月、文部科学省・経済産業省の共同提案により、グローバル人材・イノベーション人材の育成に関して、産学のリーダーが具体的アクションに向けて対話する場として「産学協働人財育成円卓会議」が設置された。会議では、求められる知識・能力、人材育成・確保に関する課題、今後の取組の方向性等について検討を行い、2012年5月、「アクションプラン」をとりまとめた。

(4)海外インターンシップの促進

学生・若手社会人が海外における就労経験を通じ、国際交渉力の向上や人的ネットワークの構築を図ることを目的として、開発途上国の政府関係機関や現地法人に3〜6か月程度派遣する海外インターンシップ事業を2012年度より開始する。

以上のような施策について今後、経済産業省では、関係各省庁や「産学協働人財育成円卓会議」とも連携しつつ、我が国経済を牽引し雇用を創造するグローバル人材の育成・確保に取り組んでいく77

77 一方で、外国人留学生や留学経験者を含め、優秀なグローバル人材が企業内で最大限活躍できるような環境整備が進んでいるとは必ずしも言い難い。今後、企業が世界に通用する新たな価値を創造していくためには、ダイバーシティの向上が鍵であることを踏まえ、外国人・女性等の多様な人材の活用を図っていくことが重要である。





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