経済産業省
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I 生産性向上と国際展開

世界各国と比較した我が国の生産性の状況

  • 我が国の実質GDP成長率は、第一次石油危機の影響により成長率が低下した1974年を除けば、1980年代後半までは4%前後の安定成長を実現してきた。しかし、いわゆるバブル崩壊によりGDP成長率は大きく下落し、1990年代以降、平均すると1%に満たない低成長となっている。
  • 成長率の内訳をみると、1990年以降、2000年代前半を除いて、TFPの上昇による寄与が大きく低下しており、成長率の主たる下押し要因となっている。
  • 我が国の生産性は、米国の6割程度にとどまっており、欧州諸国(独・仏・英)に比べても低水準となっている。90年代半ばまでは米国を追い上げていたが、それ以降格差は縮小していない。我が国は、生産性が高い部門の経済全体に占める割合は低く、生産性が低い部門の経済全体に占める割合は高い。我が国が再び力強い経済成長を取り戻し、国民生活をより豊かなものにするには、生産性を上昇させることが不可欠である。
  • 経済全体の生産性を向上させるためには、①生産性が高い部門が経済全体に占める割合を高めること、②各部門の生産性を引き上げることが必要である。
  • 高生産性部門の経済活動拡大のためには、経済連携等の推進や新興国等への戦略的な取組により、海外需要を獲得していくことが重要である。また、各部門の生産性上昇は、全ての産業において有効だが、生産性が低い部門は全体の付加価値に占める割合が高いことから、この部門の生産性向上が経済全体の生産性向上に果たす役割は大きいといえる。

生産性向上における国際展開の役割

  • 回帰分析によれば、業種、企業規模、企業年齢の違いによる効果を除外してもなお、①輸出を積極的に実施している企業、②海外出資残高(対総資産比)が大きい企業、③研究開発投資、情報化投資を積極的に実施している企業ほど、生産性水準も上昇率も高いという相関関係がある。また、外資系企業は、我が国企業に比べて生産性水準も上昇率も高い傾向にある。
  • このように企業の生産性と海外市場への進出(輸出・対外直接投資)状況には正の相関関係が存在する。既に生産性が高く海外市場進出している企業や、生産性が高いにもかかわらず海外市場進出していない企業が、その生産性を維持・向上しながら外需獲得によって経済規模を拡大すれば、経済全体の生産性押し上げにつながる。また、北米・欧州に輸出を開始した企業は、高度な市場における学習効果により、生産性上昇率が高まる傾向にある。今後、新興国市場が高度化するにつれて、新興国市場への輸出も学習効果が期待される。海外市場での競争がもたらす学習効果が企業の生産性を向上させる場合があることも踏まえると、このような企業の海外市場獲得を後押しすることは経済全体の生産性の向上に効果があるといえる。
  • イノベーションは生産性を向上させる重要な要因である。我が国の研究開発投資は国際的に見て決して低水準ではないが、一方で、研究開発投資以外の人的資本や組織構造といった無形資産への投資割合が我が国は遅れている。さらに、我が国はITを生産する産業では比較的米国に近い水準でIT資産を蓄積しているが、ITを導入する側の産業のIT資産の蓄積が遅れている。これらを解決するためには、国外の外部組織との協力による海外の優れた人材、技術の積極的な取り込み等が重要である。イノベーションを通じた生産性の向上を実現するに当たっては、ブランド戦略も含めたマーケティングや組織改革、人材の育成、足下で低下している研究開発活動の回復、海外の優れた人材、技術の積極的な取り込み、ITの活用も含めた広い意味でのイノベーション活動への取組が重要である。
  • 対内直接投資には、生産性の高い外国企業の参入が経済全体の生産性を高める効果や、外国企業の技術やノウハウの移転などを通じて我が国企業の生産性を向上させる効果が期待される。我が国の対内直接投資残高(GDP比)は国際的に低水準にあり、今後一層の対内直接投資の増加が、我が国の生産性の向上につながることが期待される。

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