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第4節 生産性の産業横断的分析

 これまで各国の生産性を製造業と非製造業について分析してきた。以下では、我が国の生産性を産業構成と合わせて横断的に分析する。第Ⅰ-1-4-1図は、横軸に全体14の付加価値に占める各産業のシェアを、縦軸に各産業の労働生産性水準の対米国比をとり、労働生産性水準が高い産業から順に並べて図表化したものである。

第Ⅰ-1-4-1図 我が国の産業別の労働生産性水準(対米国比)

 我が国産業の労働生産性水準は、全般的に米国に比して低いが、製造業の中では、一般機械、化学、金属、輸送用機器15、非製造業の中では、金融・保険、建設など、米国よりも高いか同程度の労働生産性水準を示す産業もある。産業構成を見ると、労働生産性水準が対米国比8割を超える産業の付加価値シェアは38%程度である一方、労働生産性水準の低い卸売・小売(23%)、運輸・倉庫(11%)等の付加価値シェアが高く、経済全体の労働生産性水準を押し下げている。

 比較的我が国と類似した産業構成のドイツについて労働生産性水準(対米国比)をみると、製造業の中では、その他製造業(ゴム・プラスチック、窯業・土石、木製品等の生産性が高い)、化学、金属、一般機械、非製造業の中では、卸売・小売、建設などが米国よりも高いか同程度の労働生産性水準を示している。産業構成をみると、ドイツでは労働生産性水準が対米国比8割を超える産業の付加価値シェアは56%と、経済全体の半分以上を占めており、我が国よりシェアが大きい(第Ⅰ-1-4-2図)。

第Ⅰ-1-4-2図 ドイツの産業別の労働生産性水準(対米国比)

 次に、第Ⅰ-1-4-1図の縦軸に、労働生産性に代えてTFP水準をとってみても、上述の分析と同様に、米国よりも高いか同程度のTFP水準を示す産業も存在するものの、TFP水準が対米国比8割を超える産業の付加価値シェアは40%と、我が国産業のTFP水準は全般的に米国に比して低水準にある。特に、全体の付加価値に占める割合の高い不動産、小売、卸売等、非製造業のTFP水準が米国と比べて低く、経済全体のTFP水準を押し下げている(第Ⅰ-1-4-3図)。

第Ⅰ-1-4-3図 我が国の産業別のTFP水準(対米国比)

 同様にドイツのTFP水準と産業構成についてみてみると、ドイツではTFP水準が対米国比8割を超える産業の付加価値シェアは68%と、我が国よりシェアが大きい(第Ⅰ-1-4-4図)。

第Ⅰ-1-4-4図 ドイツの産業別のTFP水準(対米国比)

 このように、我が国は生産性が高い部門の経済全体に占める割合は低く、生産性が低い部門の経済全体に占める割合は高いことが確認された。今後、我が国全体の生産性を向上させるためには、①生産性が高い部門の経済に占める割合を拡大させることと、②個々の企業の生産性を向上させることが重要である。

 生産性が高い部門の経済活動拡大のためには、これらの部門が代表的な輸出産業16でもあることを踏まえ、新興国をはじめとした旺盛な伸びを見せる海外需要を更に積極的に取り込んでいくことが効果的である。また、個々の企業の生産性向上は全ての産業において有効だが、生産性が低い部門は全体の付加価値に占める割合が高いことから、この部門の生産性向上が経済全体の生産性向上に果たす役割は大きいといえる。

14 非農業部門、市場経済全体。

15 輸送用機器は航空機・船舶・鉄道を含む。自動車のみの場合、労働生産性水準の対米比(2003-05年)は106.1に改善する。

16 第Ⅲ-3-2-15図参照。

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