経済産業省
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第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第1部付論Ⅱ 第6回ものづくり日本大賞

ものづくり日本大賞は、我が国の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」を着実に継承し、更に発展させていくため、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や、伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰する制度である。本賞は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、国土交通省が連携して2005年より隔年開催しており、今回で6回目を迎えた。

2015年11月8日には第6回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞表彰式が行われ、24件65名、1団体が表彰を受けた。

ここでは、これら内閣総理大臣賞を受けた受賞者について紹介する。

第6回ものづくり日本大賞

 

写真:内閣総理大臣賞祝賀会の様子

写真:内閣総理大臣賞祝賀会の様子

写真:ものづくり展の様子

菖蒲田 清孝氏 他3名
マツダ(株)

塗装工程の工程革新と塗料の機能集約により、塗料やエネルギーなどの資源効率を飛躍的に向上。これにより、トレードオフの関係にある、揮発性有機溶剤(VOC)排出量とCO2排出量の同時削減を実現。さらに、この技術をカラー開発にも適用する事で、ソウルレッドに代表される高意匠カラーを実現するなど、環境/品質/経済性の相反する課題を総合的に解決。

西塚 直臣氏 他4名
(株)天童木工

世界初成形合板のパイオニアとしての技術を生かし、圧密加工との合わせ技により、家具用材として利用が困難とされてきたスギ、ヒノキ等の軟質針葉樹を高品質な家具として量産できる製造方法を開発。

曲げに弱い針葉樹を自由な曲線に加工可能となったことにより、人工林の間伐材利用が活性化され、森林環境の改善、針葉樹の需要拡大、木材の地産地消の活性化へ大きく貢献することに期待。

鈴木 剛人氏 他3名
興研(株)

超極細高性能フィルタの製造技術と高精度な整流技術により、密閉されていないオープンな環境下でも短時間、低コスト、低消費電力で世界最高水準(ISOクラス1レベル)の清浄空間を実現できるスーパークリーンシステムを開発。

従来のクリーンルームの常識を覆しただけでなく、我が国の産業、科学技術分野に大きな変革と新たな可能性をもたらす製品開発であり、既に国内の大手メーカー、研究機関から中小企業まで幅広く導入が進み、販売台数も年々増加。

篠原 幸弘氏 他6名
(株)デンソー

世界的に需要が高まるディーゼル車については、欧州の排ガス規制の強化(PM、NOxの抑制)、CO2排出量の低減など、より一層の革新的技術の開発が求められる。こうした中、同社は、独自の超精密加工技術や生産技術等を駆使し、2,500気圧という超高圧での燃料噴射、燃料噴霧・拡散の制御・最適化、さらには機電一体による噴射の自動制御・最適化を実現し、クリーンディーゼル車の今後の普及拡大に大きく貢献するコモンレールシステムを実用化した。

山磨 敏夫氏 他6名
ナカシマプロペラ(株)

積層工程等、独自の成形プロセスを確立し、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた船舶用プロペラを開発。製造法および設計について世界で初めて船級承認を得て、一般商船への搭載を実現。CFRPによってプロペラの軽量化・大直径化が可能となり、高性能化によって9%の燃費向上によるCO2削減や燃料コストの削減に貢献するとともに、30%以上の振動や騒音の低減による居住性の向上にも貢献。

清原 正勝氏 他6名
TOTO(株)

半導体の製造プロセスでは、製造装置の構成部材から発生する粉塵(パーティクル)をいかに低減できるかが課題だったが、これまで研究レベルでしか使われていなかったエアロゾルデポジション法(AD法)を世界で初めて実用化・量産化。「セラミックは焼いて作るもの」という常識を覆し、加熱することなく、超緻密なセラミック膜を形成できることが最大の特徴。パーティクル数を約1/10~1/20に抑制するとともに、部材の寿命も約10倍に。

藤井 幸光氏
(有)藤井ピアノサービス

既存のアップライトピアノに、開発した「装置」をつけることで、グランドピアノ並みの表現力、連打性能、音質の再現に成功。価格もグランドピアノの半分以下程での設置を実現。

開発された装置は、国内のピアノの多くを占めるアップライトピアノへの取り付けが可能で、作業ができる技師も全国に100名以上おり、体制も万全。

滝口 紀夫氏 他2名
鹿島建設(株)  日立造船(株)

浮体式仮締切工法は、既設ダムの洪水調節機能の拡充等を行うダム再開発において、ダムを運用しながらドライ空間を確保するにあたり、鋼製の仮締切設備を浮体化し、水上で組立て一括据付けする工法である。

従来、水中で組立てていた大深度潜水作業がなくなり、仮締切設備の転用も可能になることから、大幅なコスト軽減、工期短縮、安全確保等が実現し、海外展開も可能である。

従来式と浮体式の比較断面図

新村 亮氏 他1名
(株)大林組

本技術は、真水の代わりに海水を使用するにもかかわらず、高炉スラグ微粉末等の混和材や特殊混和剤、非腐食性の補強材を用いることにより、緻密性や強度が高いコンクリート構造物を建設する技術である。

長期強度不足など従来の海水練りコンクリートの課題を解決し、真水や雨水が入手し難い離島や海外、大規模災害時などにおいても耐久性が高い構造物の建設を可能とした。

コンクリート強度の比較

コンクリートの透水係数の比較

沼田 淳紀氏 他1名
飛島建設(株)

LP-LiC工法は、支持力確保(縦方向)を目的として古くから使われてきた木杭の発想を転換し、丸太の体積(横方向)に着目し、地盤密度を高める液状化防止技術である。

支持力を期待しないことから、間伐材等木材の適用範囲が広く、周囲に影響なく狭小地の施工も可能である。地表付近の腐朽対策により、炭素の半永久的な地中貯蔵となり、液状化防止と地球温暖化緩和に同時に貢献する技術である。

LP-Lic工法の液状化対策原理

狭隘地における小型重機による施工状況

品川 博氏
品川左官

従来の漆喰や土ではなくセメントモルタルを用いた鏝絵技術を考案し、従来には成し得なかった細部の表現を可能とするなどセメントならではの表現を用い、2005年に日本建築仕上学会賞を受賞した。

伝統的な左官技法である洗い出しを、水を用いずに施工性、デザイン性を高めるドライウォッシュ(乾式洗い出し)工法を独自に考案した。

明覚寺本堂内鏝絵
(上:製作中 下:完成)

円満寺五重塔
(欄間に四季を表す鏝絵を制作)

藤井 禎夫氏
(有)フジイ瓦工業

屋根工として国指定登録有形文化財や市指定文化財の保存修理工事に多数携わっている。

複雑な屋根形状における瓦の納まりを原寸図で表し、精度を高めることで、雨水の流れ、耐震性などの機能を向上させるなど卓越した技能を有する。

平成13年度第20回技能グランプリで優秀な成績を収めたほか、技能検定委員として後進の育成に尽力しており、平成24年には東京都職業能力開発協会より感謝状を受けている。

登録有形文化財
金剛院伽藍

国指定特別史跡
新居関所大御門

松浦 実雄氏
松浦鉄筋工業

雪国の路面に敷設される消雪用ブロックを製造するための鉄筋かごを開発したほか、無散水融雪装置の細ものパイプの曲げ加工方法を独自に考案するなど鉄筋工事において加工・組立方法の改善に努め、施工の効率化に貢献した。優れた技術が評価され、平成12年に福井県知事より優秀建設現場施工者として表彰を受けた。

特別講習の講師を務めるなど後進の育成にも力を注いでいる。

無散水融雪装置(曲げ加工部)

山本 政博氏
山一錺工所

彫金、鍛金、象嵌の高度な伝統金工技能を建築板金に活用し、金沢城復元工事という著名な工事をはじめ、武道館・体育館、和風住宅などで卓越した技能を発揮している。

金沢城復元工事の施工マニュアルの改訂において、現代的技術を導入し施工の合理化を図り、北陸三県責任施工マニュアルの改訂においては、環境配慮の観点から新工法を導入し、施工方法の高度化とその定着、普及を図った。

金沢城橋爪門(銅板張り唐破風の懸魚、六葉)

新谷 琢磨氏
ジャパン マリンユナイテッド(株)

造船技能の中で難度が高い船舶の歪取りに卓越した技能を持つ達人。特に熱に弱いアルミ材料において、ハンマーで叩く従来の方法に代わり、ガスバーナーと水を用いた加熱冷却による高精度歪取り技術を独自に確立し、加工精度及び作業能率の向上に大きく貢献している。 45年以上に渡り、商船、護衛艦、巡視船艇など300隻以上の船舶を手掛ける。

また、社内外を問わず、若手技能者の指導・育成にも熱心に取り組み、業界の技術向上にも大きく貢献している。

歪取り

技能伝承

亀井 剛氏
亀井綜絖(株)

国内外を問わず多くの織物文化財に携わり、織物の組織の解析により当時の織法を研究するとともに、特殊な織組織や糸が高密度で極めて細かい場合でも、製織が可能なように機織り装置を工夫し、様々な文化財の修復、復元に対応出来る技能を有している。

当時の織法が解明されていない作品においても現代の織技術を用いての再現を行うことで、織物業界全体の技術発展に寄与している。

伊藤 啓一氏
(株)豊田自動織機

ガソリンおよびディーゼルエンジン組立作業に永年従事し、特に各部品を締め付ける際は、専用ツールに頼らず手工具だけで指定された範囲に正確に組付けることができ、また、 エンジンのテストに際しては、聴覚、視覚、触覚により異常を検出し、原因究明から修理指示まで的確に対応できる。このような卓越した技能によりエンジンの品質を支えてきた。

山田 操氏
山田和裁

和裁師として長年従事し、特に羽織の縫込み(ぬいこみ)落としの技法は、普通の絎け(くけ)目より何倍も細かい。縦縫い及び袖の縫込みを細く仕上げ、裾の始末を裏に返す布で見事な模様を形付けて絎け(くけ)る。高度な技法を要する曲線で模様を表すのは、まさに卓越した技能である。

※絎け(くけ)‥‥布を裏側に袋になるように折り、その中に針を通して表布に目立たないように縫いつける技法。

中村 初代氏
Yuki Nakamura ROYAL DRESS

適度な運動量を考慮した着心地の良い洋服を作るため、服装解剖学の研究を基にして独自に進めた研究による仮縫いを「立体補正」と名付け体形別の膨大なデータを分析し、数値を算出することで着心地の良い服作りを実現した。

服装解剖学の研究による着心地のよい服作りを実現し、日本の洋服文化の振興に貢献している。

島瀬 竜次氏
(株)きんでん

第43回技能五輪国際大会(ブラジル大会)の情報ネットワーク施工職種において金メダルを受賞。

本職種は、インターネットなどのネットワークシステムのインフラ整備において必要な技能であり、LANケーブルや光ファイバーケーブルの配線の正確さや早さなどを競う職種。

小原 基央氏 沓名 佑太氏 中島 陽平氏
(株)デンソー

第43回技能五輪国際大会(ブラジル大会)の製造チームチャレンジ職種において金メダルを受賞。

本職種は、機械部品の加工・組み付けを行うとともに、制御機器や装置を動作させるプログラムを製作する、総合的なものづくりを競う職種3人のチームで参加。

清水 拓磨氏
トヨタ自動車(株)

第43回技能五輪国際大会(ブラジル大会)の自動車板金職種において金メダルを受賞。

本職種は、カスタムカーや試作車の製作、損傷車の修理などにおいて必要な技能であり、変形・破損させた自動車の車体を用い、外板部分はハンマーなどによりたたき出し、損傷した部分は溶接などにより、精度良く復元する技能を競う職種。

今多 和歩氏
トヨタ自動車(株)

第43回技能五輪国際大会(ブラジル大会)の電子機器組立て職種において金メダルを受賞。

本職種は、大半の工業製品に組み込まれ、製品を制御している電子機器の回路設計、プログラミング、組立、修理、測定を行い電子機器の開発に必要な技能を競う職種。

伊東 直輝氏 長谷川 準氏
(株)デンソー

第43回技能五輪国際大会(ブラジル大会)の移動式ロボット職種において金メダルを受賞。

本職種は、2人1組で自動走行ロボットの設計、設計したロボットのプレゼンテーション、組立て、制御プログラムの組み込み技能を競う職種。

島倉 二千六氏
(有)アトリエ雲 代表

昭和31年に映画の美術背景を担当して以来、60年の長きにわたり、映画製作の現場で背景画の描き手として活躍を続けており、特に「雲」の描き手としては、斯界においては第一人者として高い評価を受けている。一方で、昭和57年には、アトリエを立ち上げて、その技を継ぐ弟子達を育成するとともに、スーパーリアリズムから抽象に至るまで背景表現を広げ、更に劇場や博物館等でも活躍を続けて現在に至る。

平成17年度文化庁映画賞映画功労部門被表彰者。

山城 ハツ氏
重要無形文化財「久米島紬」保持団体 代表代理

昭和10年頃より、母の指導のもと、久米島紬の製作に従事して技の錬磨に努め、その伝統的な染織技法を高度に体得した。久米島紬の卓越した技術者として優れた作品を製作し、公募展等に発表して高い評価を得るとともに、とりわけ養蚕・製糸技術の第一人者として、後継者の養成・指導に積極的に参画し、重要無形文化財「久米島紬」の保存・伝承に貢献して現在に至る。

平成25年度文化庁長官表彰被表彰者。

福島県立郡山北工業高等学校コンピュータ部
ROBO Production Project Team

MEMS(微小電気機械システム)デバイスを使ったシステムなどのアイディアを競う第5回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト世界大会において、大学生を含む10か国23チームの中で高校生チーム初となる1位を獲得。

「マイクロ・ナノテクノロジーの防災・減災への応用等」 というテーマのもと、東日本大震災の教訓を生かし、3種類のMEMSデバイスとタブレットを搭載し、家族の安全を守る多機能型ホームセキュリティロボット「Pro ROBO」を開発製作した。

佐々木 渉氏 他3名
高知工業高等専門学校

「全国高等専門学校第25回プログラミングコンテスト(課題部門)」において、最も優れた作品に贈られる文部科学大臣表彰を受賞。

本作品は、課題部門の「防災・減災対策と復興支援」の課題に対して、津波避難タワーに避難してきた人が、携帯情報端末で確実に安否情報の通信が可能となる全国で普及可能な新しい防災システムの開発を行ったもの。津波避難タワーでの安否確認の実証実験のために、スマートフォンアプリ「つながっタワー」が開発され、実用性が極めて高く完成度が高いことが評価され、受賞に至った。

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