2021年4月27日(火曜日)
9時36分~9時48分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
ALPS処理水
初めに、私から1点申し上げます。
今月15日、内堀福島県知事と面談した際に、漁業者の皆様に寄り添い迅速かつ適切な賠償の実現に向けて取り組むための特別チームを省内に立ち上げると申し上げたところですが、その準備が整い、本日、資源エネルギー庁に処理水損害対応支援室を設置をいたしました。
ALPS処理水の処分に関する基本方針に示したとおり、風評対策を最大限に講じてもなお風評被害の発生が確認された場合には、セーフティーネットとしての賠償を確実に機能させる必要があります。
室長には、これまでALPS処理水に関する対応に当たってきた松永明を当て、東京と福島に駐在する職員、総勢23名の体制といたします。
このチームは、漁業者をはじめ風評影響に対する強い懸念を示す方もいる中で、ALPS処理水の海洋放出を決定したこと、また東京電力によるこれまでの賠償について様々な御指摘があることを踏まえて、東京電力への指導にとどまらず、国として賠償方針に関する丁寧な説明や支援、東京電力への働きかけを行い、風評影響を懸念される皆様に寄り添い、迅速かつ適切な賠償の実現に向けて取り組んでまいります。
詳細につきましては、事務方にお問合せをいただきたいと思います。
私からは以上です。
質疑応答
高浜、美浜原発再稼働
Q:福井県内にある40年超の原発の再稼働に向けた動きに関して質問があります。地元の県議会は前向きな姿勢を示しておりますが、それに関しての受け止めと、本日、県知事とテレビ会談がございますが、その時にどういったことを伝えたいかお伺いします。
A:関西電力高浜発電所1、2号機及び美浜発電所3号機の再稼働に向けては、福井県議会を含めて県内で御議論をいただく中で、国に対しても様々な要望が寄せられていたものと承知をしております。
こうした点について、私自身の思いを直接、杉本知事にお伝えするべく日程を調整した結果、本日18時よりウェブでの面談を行うこととなりました。
面談でお話しする内容につきましては、まずは杉本知事にお伝えするものでありまして、この場でコメントすることは差し控えたいと思います。
Q:先ほどの質問に関連してなんですけれども、運転開始から40年を超える原発の立地県に対して、1基当たり最大25億円交付金を拡充するというお話を福井県側にお伝えしていると思いますが、原発の長期運転を支援するような形になると思うんですが、交付金の拡充の件について、大臣のお考えをお聞かせください。
A:エネルギー基本計画にもあるとおり、政府としては、再稼働などの原発を取り巻く環境変化が立地地域に与える影響の緩和に対応することとしており、これまでも再稼働に対して交付金を措置をしてきたところであります。
運転延長による40年超運転は、我が国においてこれまで例がないものであり、立地地域に対して通常の再稼働等とは異なる対応が必要であります。
このため40年超運転という新たな稼働状況の変化が立地地域に与える影響を踏まえて、予算の範囲内で1発電所当たり最大25億円の交付金を措置する方向であります。
なお、福井県からは交付金の拡充について要請をいただいており、その方針につきましては、お伝えをしているところであります。
政府としては、立地地域が抱える様々な課題に真摯に向き合い、しっかりと対応していくということでありまして、従来も再稼働のときには、こういった交付金を出してきたということでありますけれども、40年超では初めてということになりますけれども、同額程度のものを出していくということであります。
Q:通常の再稼働と異なる対応というのは、具体的にどういうイメージなのでしょうか。A:合意形成とかそういったところで、やはり懸念を持たれる方もおいでになるでしょう。そして、安全というものをしっかりと確認した上で説明をしていくということも、地元の自治体としても必要になると思います。そういった場の設定も含めて、対応というものが必要になるということだと思っております。
Q:今の質問にも関連するんですけれども、40年超の稼働ということで、やはり地元の人が一番気にするのは安全面だと思うんですけれども、十分安全面を確保した上で40年超の稼働は可能だと大臣はお考えでしょうか。
A:これは規制委員会による検査をされるわけで、40年超ということを考慮に入れるわけではなくて、本当に安全かどうかという点では再稼働でも同じ、定期検査でも同じということになります。
そういった中で安全を確認をするということで、安全を確認されたのであれば、私どもは、その上で住民の了解を取りながら再稼働していくというのが政府の方針だということでありますので、そういった形で対応させていただきたいと思っています。
Q:具体的な海外の事例とかも、もちろん御存じだと思うんですけれども、改めて知らない人も多いと思うので、ちょっと簡単に説明していただくことは可能ですか。
A:海外の事例は、もっと長くやっているところもあるということでして、あと運転中の検査という点もあります。
そういったことも含めて、検査の在り方であるとか、1回に限らず2回であったりとか、年限も超えている例もあるということで、そういったものも含めた上で検査の体制も組んでおりますし、そういった形で規制委員会が安全という確認をしていただければ、それは40年超としては安全というよりも、原子炉として安全だと。そのプラントとして安全だという中で、こういう取組をしていくということであります。
緊急事態宣言に伴う対策
Q:よろしくお願いします。
三度目となる緊急事態宣言が出されました。中小企業や百貨店など、休業要請による負担増なども考えられますが、企業への呼び掛けや支援について、お考えをお聞かせください。
A:緊急事態宣言は、感染拡大の主な起点となっている飲食の場面における対策に加えて、特にまた人流の抑制、人の流れの抑制につながる強い措置を実施するものであります。テレワーク等の出勤回避は、その一つの重要な対策でもあります。
経済産業省としては、これまでも出勤者数の7割削減を目指すように経済界に呼び掛けてきたところであります。今回テレワークに加えて、大型連休中の休暇取得の促進などについて、改めて所管の約900の経済団体を通じて、企業に周知、呼び掛けを行ってまいりました。
昨日には、総理と西村大臣からも経団連など経済3団体に対して協力要請を行っており、引き続き政府一体となって働き掛けをしてまいりたいと思います。
また、今般の休業要請に応じたところには、しっかりと対策も考えているということであります。
ただ、なかなかやっぱり人の流れというのは止まらない部分もありますけれども、できる限りそういった起点となるところ、集中するようなところについて休業の要請を行って、さらに企業に対しては、普通はその連休中、工場なんかの場合には長く休みを取ったりするわけでありますけれども、他の業種、製造業以外のところにもそういった働き掛けをしていくということだと思っております。
高浜、美浜原発再稼働
Q:2点あるんですけど、まず1点目が40年超の原発について、再稼働の前に大臣として安全性を確認するために、コロナ禍もありますけれども、直接視察とかに行く御予定はありますか。
A:コロナ禍の中で視察をしたいと思っておりましたけれども、今は移動をできるだけ自粛するようにという中で、このコロナ禍の緊急事態宣言が明ければ、すぐにでも参りたいと思っております。ALPS処理水
Q:あと一つ、冒頭発言にあった損害対応支援室についてなんですけれども、これをもう少し具体的に、どういう御活動をなさるかというのを少し教えていただきたい。
A:これからまた地元の団体等とも話合いをしていくところなんですけども、これまでの東電の賠償でですね、当事者間のやり取りであったら立証責任を求められたりする場合がある。そういったものを統計等の資料を使ってできるのか、できないのか。さらにまた、杓子定規な賠償の基準ではなくて、しっかりと起こっているものに対して、その賠償を東電も親身になって聞いてもらえるかどうかということも含めて、被害者側に立った上で対応をしていく。そして、東電にも指導をしていくということで、円滑な形で風評被害が起きた場合の賠償というものを行えるようにしてまいりたいと思いますし、これ以外にもいろんな声があるでしょうから、そういった声も聞き取るという形で、今後の対策も含めてそういったチームを作ることによって様々な意見を聞いてまいりたいと思っています。
Q:それはいつまでとかいう区切りはあるんでしょうか。
A:それはずっと続けてということになりますね。これは例えば約2年後に放出を始めるということがあります。その手前からもう風評被害が起こる可能性があるかもしれません。
当然、放出を始めたときには了解の基準の範囲内であっても、風評というのは人の気持ちの問題でもありますから、そういったものが起こる可能性がある。そういったものに対して、適切に機動的に対応をしていくということであります。
デジタル広告規制
Q:先ほど、政府のデジタル市場競争会議の中で、デジタル広告に関する規制の方針が示されました。
デジタルプラットフォームの透明性、公正性向上法も用いて規制しているところですけれども、所管は梶山経産大臣でございまして、改めまして梶山大臣のデジタル広告市場に対する問題意識と、どういう姿勢、方針で規制にあたっていかれるかお聞かせください。
A:法律を制定をして、そして様々な議論も、その法律を議論する中での様々な意見もありましたし、その後のデジタル業界の日進月歩する技術の中で課題も出てきたと思っております。
デジタル広告は、中小企業による販路拡大や良質なコンテンツの提供に寄与するなど、我が国の産業や国民生活にとって極めて重要なものであるとは思っております。
一方で、大規模なプラットフォーム事業者がルールやシステムを突然勝手に変更するというようなことも懸念も課題として指摘をされているところであります。
経済産業省としては、本日の最終報告を踏まえて、デジタルプラットフォーム取引透明化法について、規律対象の拡大に向けた法制的な検討を進めてまいりたいと思っております。
また、デジタル広告市場の健全な発展に向けて、継続的に産業界と対話をしながら、イノベーションと規律のバランスを取っていくことが肝要であると思っております。
関係省庁とも連携しながら取り組んでまいりたいと思いますし、今日の最終意見の中でもですね、公取にもしっかりと対応してほしいという話もありました。そして、私どもは自主規制も含めてしっかり産業界と連携をしていくという中で健全な市場の発達というものを図っていきたいと思っております。
以上
最終更新日:2021年5月6日