2021年4月30日(金曜日)
10時18分~10時38分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
J-LODLive補助金
初めに私から1点申し上げます。
これまでJ-LODLive補助金において、中止した公演の再開支援や中止した場合に発生してしまう会場費などのキャンセル料に対する支援を行ってまいりました。しかしながら、イベント開催制限措置の長期化、さらには今回の緊急事態宣言に伴う無観客化の要請によって、多くのイベント関係事業者の体力が失われていると認識をしております。
こうした状況を踏まえて、公演を中止した場合にその公演で発生するキャンセル料のみならず、公演の主催者における人件費や事務所経費などの固定費のうち公演の開催に関連する費用も新たに補助対象とするなど、支援策を拡充することといたしました。引き続きイベント関連事業者が置かれた状況や要望を丁寧に把握しながらきめ細かく対応し、事業の継続を支えてまいりたいと考えております。
詳細につきましては、事務方にお問合せをいただければと思っております。
以上です。
質疑応答
再生可能エネルギー
Q:よろしくお願いいたします。
今度の大型連休中に、太陽光や風力の出力制御を実施する可能性があると北海道電力ネットワークが20日に公表しました。再生可能エネルギーの本格的な出力制御が実施されれば九州電力で行われて以来になります。
大臣は昨年7月に、送電網の優先給電ルールを見直して再エネを優先的に流せるように改善すると表明されましたけれども、なぜいまだに再生可能エネルギーの出力制御が必要になってしまうのかということと、あと出力制御をする場合は一般送配電事業者による事業者への補償が必要だというような声もありますけれども、なぜ日本では補償がされないのかということのお考えをお願いします。
A:今回の再エネの出力制御は、供給が需要を上回ると見込まれるときに、電力システム全体の安定供給を支えるべく需給バランスを保つために行うものです。これは地域内の火力の出力をまず制御をします。そして、地域間連系線を通じて余った電力を他地域へ送ってもなお供給が需要を上回る場合に出力制御をするものであり、再エネの出力制御が起きるということは、それだけ再エネの普及が進んできているあかしでもあります。
再エネの出力制御は、これまでは太陽光の導入が進んでいた九州のみで3年前から実施されてきました。他方北海道や東北でも太陽光と風力の導入が進んで、例えば北海道においては再エネの導入量が250万キロワットに対して、1年で最も電力需要が小さい5月の大型連休中は需要量を再エネだけで上回る状況になってきているということでもあります。一方で再エネの出力変動に備えて調整力等を維持するため、火力である一定程度の発電をすることから、天候次第では需給バランスを保つために出力制御が行われる可能性が生じているということであります。
ただし、こうした対応は電力需要が小さい時期に限られ、発生したとしても2021年度は1事業者当たり年間数回程度にとどまる見込みであり、事業上の影響は限定的であると考えております。
なお、今回の出力制御は地域全体で供給が需要を上回る場合に需給バランスを保つために行われるものであり、地域全体での需給はバランスしておりますけれども、個々の送電線の需要に空きがない場合には、その送電線を利用する発電所を対象に局所的に行われる出力制御とは異なるものであります。
個々の送電線の容量制約による出力制御はこれまでも行われたことはありませんけれども、今年1月以降一定の容量制約を前提に基幹送電線への再エネの接続をしやすくしております。これは記者がおっしゃったノンファーム型接続ということであります。
今後は個々の送電線の容量制約による出力制御も行われる可能性があることから、基幹送電線の利用ルールを現在の先着優先から再エネ優先に見直すこととしております。
また、FIT電源は接続時に出力制御等の補償を求めないことを前提に国民負担で高額買取りを行う契約を結んできております。こうしたFIT電源に対して、出力制御時に補償することは欧州においても行われていないことが一般的であり、妥当ではないと考えております。
先ほどおっしゃった再エネを送電線に通すというのはノンファーム接続というもので、ある一定の条件がついた上で、そういう接続をしていいですよということで関東や東北でも始まって、また北海道でも始まっているということであります。
今回は全体の供給量が需要量を上回ってしまうという中で、ある一定の火力をやっていないと調整力としていざというときに、変動したときに対応ができなくなるということですから、どの地域においてもある一定の火力というものはバックアップできるような体制にしておくというのが今のシステムの中では通常ということで、そういう中での今回の出力制御の可能性ということでの前もってのお知らせであると承知しております。
J-LODLive補助金
Q:大臣、冒頭発言に関する質問なのですけれども、ゴールデンウイークということで、かなりイベントであるとか中止を余儀なくされる事態が増えると思いますが、これは補助金とかは最大幾らとか、今回新たに決めたことというのは何かあるのでしょうか。
A:これは今までも2,500万円を上限にキャンセル料等の支援をしてきました。それだけではなくて、先ほど言ったように例えばそれを主催する企業、アーティストと契約したり、会場を契約したりする企業の体力も落ちてきているということで、今まではキャンセル料を中心にやってきましたけれども、今回は企業に発生する人件費、また固定経費についてもそれの対象にしようということで、詳細については連休明けぐらいに発表になると思いますけれども、そういうことで企業側との、そういう産業側との話合いもしているところであります。Q:対象がかなり広がったという認識でいいのでしょうか。
A:対象というか、結局今まではキャンセル料だけだったけれども、企業側の固定経費も含めて考えますよと、それをどのぐらいにするかというのは、今詳細を詰めているところということで御理解いただきたいと思います。原子力政策
Q:今週火曜日の杉本福井県知事との会談で、梶山大臣が原子力に関して、将来にわたって原子力を持続的に活用していきますと御発言されました。一方、現在のエネルギー基本計画で原発依存度を可能な限り低減するという方針から比べますと、ちょっと矛盾するのではないかという気もするのですが、いかがお考えでしょうか。
また、現在議論が進んでいるエネルギー基本計画の改定でこういった原発の位置付けを見直す可能性はありますでしょうか。
A:カーボンニュートラルは簡単なことではないということは、毎回申し上げているとおりであります。日本の総力を挙げて取組が必要であり、そのために再生可能エネルギーはもちろん安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用していくということ、水素、アンモニアなど新たな選択肢も追求するというのが政府の基本的な考え方であります。将来にわたって原子力を持続的に活用していくことは、こうした趣旨で申し上げたものであります。このため必要な限りにおいて原子力を活用していくということですけれども、一方でカーボンニュートラルの実現へ徹底した省エネ、再エネの最大限導入も進めてまいります。したがって、こうした取組と可能な限り原発依存度を低減するとの方針は必ずしも矛盾するものではないと思っております。
というのは、エネルギーミックスの中で比率、依存度を下げていくということになりますから、再エネが増えればそういうことになっていくということでもありますし、新たなプレイヤーである水素やアンモニアというものも出てくるわけでして、そういったものも含めて最大限の努力をしていくということであります。
エネルギー基本計画(※)につきましては、現在見直しに向けて議論を行っているところでありまして、方向付けをした議論はしておりません。いろいろな議論を出してもらって、最終的にまとめていくということになると思いますので、議論を深めて結論を出してまいりたいと思っております。
RCEP
Q:一昨日、RCEPが国会で議論されたかと思うのですけれども、米中対立が続く中で、日本の経済安全保障とのバランスが問われているかと思うのですが、改めて日本でのRCEPの意義といったところを伺います。
A:今月16日の日米首脳共同声明では、半導体を含む機微なサプライチェーンについて連携して取り組むことが確認をされました。特定の国を念頭に置いたものではないということでありますけれども、経済安全保障を確保しつつ、日米両国が引き続き世界経済を主導すべく協力を進めていくという趣旨であります。また、一昨日締結の承認を頂いたRCEPの協定は、中国を含む参加各国の関税撤廃、また削減により、日本国内に製造基盤を残して相手国に輸出する選択肢を取りやすくしているということであります。
知的財産や投資等に係る共通のルールが構築をされ、地域全体で事業環境が整備をされるということであります。サプライチェーンの強靱化、効率化に資するものであり、特定の国への依存度を高めるものではありません。
これまでも貿易のルールとしてしっかり知財を守っていきましょうと、そして機微なものというか、サプライチェーン、いざというときに日本に入ってくるようにしましょうという経済安全保障等につきましては、これまでもどこも同じような扱いの中で日本として考えてきたところであります。
今後の日米間の協力、RCEP協定の早期発効と各国による着実な履行、さらにはサプライチェーン補助金等を通じてサプライチェーンの強靱化、効率化にしっかり取り組んでまいりたいと思いますし、データの流通などに関するルールが中国とは初めて結ぶような形になりますので、そういったものをしっかり履行していただく、また機微なルールについて、知財に関してもしっかりと共通のルールとして履行していただく。我が国は経済安全保障というものをしっかりと考えていくということで、ほかの通商協定と何ら異なることはないと思っております。
放射性廃棄物最終処分場
Q:最終処分場で今文献調査中の話合いが行われている寿都町で、補助金20億円の使い道について、風力発電の設備増強等に使う方針ということで、これに対してまず大臣は御存じかということと、そもそもこういった使われ方が正しいのかどうかという御見解をお聞きします。
A:いろいろな交付金に関して、寿都町とのやり取りをしていると承知をしております。原子力や再生可能エネルギーなど、エネルギー政策に関して寿都町の町長も大変造詣が深いということで、こういったものに使いたいという意向もあると思っております。文献調査を伴う交付金の使途については、町には様々なお考えがそういうことからあると思いますけれども、現時点で風力発電の設備増強に電源立地地域対策交付金を活用する計画にはなってないと承知をしております。いろいろな議論はありますよ、あるけれども、そういう決定には至ってないと思っております。
経済産業省としては、交付金をはじめとした様々な支援施策を通じて寿都町の将来のまちづくりにしっかりと貢献できるように、引き続き町のニーズをよくお伺いしながら相談に乗ってまいりたいと思っております。現時点では決まったものはないということです。
Q:決まってはいないものの要は風力発電にそもそも使ってもよいものなのか。A:これは例えば系統につなぐとなると、FITで全体で支援をしていこうということでの了解を取っているということですから、FITに対してこれは寿都町に限らず、ほかの地域、そして経済産業省の交付金に限らず、ほかの省庁のものも含めて設置に関して使うことは、現時点では余り望ましくないということで財務省等のルールがあるということですよね。
温室効果ガス削減目標
Q:二、三日前に決まったゼロエミッションの2030年中間目標で、46から50%高めに向けている。経産省、梶山大臣の判断は大変英断だったと思いますけれども、ただ、トランジションを、エネルギー産業のトランジションを考えた場合に、やっぱり構造改革をエネルギー産業はやってかなきゃいかん。そのための政策誘導といいますか、考え方ね。それをどうする、どういう対応をされていくのか、それが1点と。
それと、もう一つは内訳、菅総理は最大限の積み上げをしたという、その結果がああいう数字になったということですけれども、その辺の内訳についての具体的な対外的な対応といいますか、その辺も伺えれば。その2点です。
A:エネルギーが変わっていくということは、その移行期間というものが当然あるわけで、一足飛びにヨーロッパのように全部変えていこうという地域もあれば、やはり今あるものをどう生かしていくか、そして技術開発をしていくか、それを活用しながら、最終的に2050年のゴールに行こうかというトランジションの考え方があると思います。ヨーロッパはまた分類していく中で、その中の一つにトランジションという手法があると思っております。それらについては、ルール決めも含めて、しっかりと今、例えばアジアの国々も自国にある資源をどう活用していくか、そして一気にそういったものができない中で、2050年に向けて宣言している国もありますけれども、どういう工程でそれらを実現していくためのことをやっていくか、ルールづくりというのは同じような環境にある国においてはやっぱりしっかりと力を合わせてやっていく必要があると思っております。
あともう一つは、積み上げということでありますけれども、エネルギーミックスを基礎として確実性の高い対策というものを緻密に積み上げてきたわけではないんですね。今回はね。緻密に積み上げてきたわけじゃない。ただ、議論はしております。ずっと議論はしておりまして、例えば2030年の省エネの見通しを従来の5,030万キロリットルから5,800万キロリットルの深掘りをやっていくということ。再エネの最大拡大に向けて、環境アセス要件緩和などの政策強化の結果、2,900億キロワットアワー、電源構成の3割前後程度を示して、更なる政策対応により、どの程度の導入拡大が見込めるかということも含めて、ある程度の数値は官邸に伝えております。
本来ですとCOP26に向けて、この数値を積み上げた精緻なものも含めて発表して、そして国連にも提出をするという運びになりますけれども、今回は異例の運びだったと思いますけれども、日米の首脳会談があり、G7がありという中で、このある程度のものを発表していこうということになった。アメリカにおいても50から52%ということで、ここもなかなかやっぱり確実なものではないと思っておりますけれども、私どもは総理が言った46%、そして、併せて50%の高みを目指すという中で、今、精緻な詰めをしているところだということで御理解をいただきたいと思います。
高浜原発
Q:福井県知事が再稼働に同意した原発のうち、高浜1・2号機についてテロ対策施設の完成が6月に間に合わないということで、一部報道で再稼働を当面見送るというような報道が出ていますけれども、それについて受け止めはいかがでしょうか。
A:スケジュールにつきましては、事業者がしっかりと地域と話し合うことであって、まだまだ事業者の思惑というのは出てきておりませんので、それが出たら、またこちらなりの考え方をお示しすることになると思います。以上
最終更新日:2021年5月10日