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萩生田経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2022年1月7日(金曜日)
10時35分~10時47分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

東南アジア出張

 新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 冒頭私から1点申し上げます。
 1月9日から14日まで、ASEAN(アセアン)との経済関係深化に向け、インドネシア、シンガポール及びタイに出張いたします。
 コロナウイルスの感染拡大の中で、サプライチェーンを通じた日本とASEAN(アセアン)との強いつながりが明らかになりました。また、ASEAN(アセアン)は経済成長センターとして世界的にも注目されています。
 特に本年、今回訪問するインドネシアはG20、シンガポールはCPTPP、タイはAPECの議長国となります。こうしたASEAN(アセアン)諸国への出張は、経済産業大臣として約2年ぶりであり、各国からも今回の訪問を期待されています。今回の出張ではサプライチェーンの強靱化、社会課題の解決につながるイノベーションの創出、エネルギートランジションの加速化など、将来に向けた日本とASEAN(アセアン)のさらなる成長につながる経済分野での新たな協力の方向性を打ち出すとともに、2国間の経済関係の深化を目指します。
 なお、引き続きコロナの感染拡大が続く中での出張でもあり、相手国の協力も得て、防疫措置には万全を期してまいりたいと思います。
 私からは以上です。

質疑応答

原子力政策

Q:原子力政策に関して伺います。
 昨日発表されたSMRや高速炉に関する日米協力の具体的な内容についてお聞かせください。
 それから、日本国内においてSMRや高速炉を実用化し新たに建設するのかどうか、また高速炉を用いた核燃料サイクルは断念しないのかどうか、それぞれについて政府のお考えをお聞かせください。

A:昨日の会談では幅広いクリーンエネルギー分野でのイノベーション、社会実装に向けた協力等について意見交換を行う中で、SMRや高速炉などの国際連携による実証に日本政府として取り組む方針を伝え、米国側からも歓迎の意向が示されたところです。
 加えて福島第一原発のALPS処理水の海洋放出について、決定を支持するとの発言があり、今後も情報発信において協力していくことを確認をしました。また、SMRや高速炉については、昨年10月に閣議決定したエネルギー基本計画に基づき国際連携や民間の創意工夫を活用して、研究開発や技術実証を推進をしてまいります。ただし、現時点において国内で新規建設をしていくことは想定をしておりません。
 核燃料サイクルについては、高レベル放射性廃棄物の減容化、また有害度低減や資源の有効利用等の効果をより高める高速炉開発を含め、引き続きこれらを推進してまいりたいと思います。

洋上風力発電

Q:よろしくお願いします。
 風力発電について、先月の24日に入札結果が公表されました。そこで三菱商事がかなり安値で3件全て落札したことになりますけれども、発電コストやこれをめぐるビジネスへの影響、あとほかの事業者が参入意欲を失うのではないか懸念されますが、大臣の所見を伺えますでしょうか。

A:昨年末に経済産業省及び国土交通省において、再エネ海域利用法に基づく初めての大規模な洋上風力発電を手がける事業者を公募に参加した複数事業者の中から決定をしました。これにより合計約1.7ギガワットのプロジェクトが具体化することは、エネルギーミックス達成に向けた大きな一歩と言えると思います。
 洋上風力発電の導入促進に当たっては、国民負担を抑制しつつ地域との共生と事業の確実な実施が必要と認識しております。今回の結果はそれらを反映した評価方法に基づき第三者委員会の審査を踏まえ厳正に選定されたものであり、選定事業者には着実な事業の実施を期待をしたいと思います。
 第三者委員会において今回選定された事業者の提出した事業計画の内容について、資金調達内容やそのリスク分析、あるいは対応について、今後精査して、かなり低価格という御指摘があったのですけれども、欧州なんかに比べるとまだ高いんですね。それと、これは電気料の金額だけの入札ではなくて、地元の評価ですとか信頼性だとか安定性だとかという総合評価の合作点で第三者委員会が決めていますので、必ずしも売値が安いというだけで落札ができるという仕組みではございません。
 ただ、私個人的にはいろいろな仕組みを見てみたかったなという気持ちがありますので、他のプロジェクトの人たちにも今後参加しやすいような仕組みというのは、是非今回の結果を踏まえていろいろ検討してみようかなと思っているところです。

電力需給

Q:よろしくお願いします。
 電力需要についてお伺いします。
 先日東京電力が他電力から電力融通を受けました。経済産業省の見通しでは、今年2月が逼迫の時期であるという見通しなのですけれども、早くも厳しい電力需給だと思うのですけれども、その受け止めと今後の需給の見通しについて見解等あればお願いいたします。

A:この冬の電力需給の見通しは全国的に厳しく、とりわけ東京電力管内は2月のみならず年末からかなり厳しい状況が続いておりますし、そのことを前提で様々な対応をしてきたつもりです。追加的な対策を講じて、ようやく安定供給に必要な供給力をぎりぎり確保したところです。
 昨日の電力需要は大雪によりまして例年にも増して高い水準となりまして、このような状況の中、東京電力管内の火力発電所の増出力運転や追加公募により調達した電源の稼働に加えて、電力広域機関からの指示に基づく地域間での機動的な電力融通を行い安定供給を確保しました。昨日97%まで東京電力は行ったということですから、どこか1か所でも不具合が起きれば本当に停電が起きてしまうという状況だったと思います。
 引き続き電力供給状況を注視するとともに、電力広域機関や電力会社と連携しながら、安定供給の確保に万全を期してまいりたいと思います。

デジタル日本改造

Q:昨日産業構造審議会の部会でデジタル日本改造ロードマップを策定するとの大臣から発言がありましたけれども、今後政府全体でロードマップを作るという方向だと思うのですが、経済産業省として具体的に昨日の委員の御意見や現状の課題などを踏まえてどのように進めていくか、大臣のお考えを教えてください。

A:昨日の審議会ではデータ連携基盤の整備やデジタルインフラの整備、エネルギーや交通、物流インフラのデジタル化などの道筋や支援の枠組みについて、技術の進展も踏まえながら、デジタル日本改造ロードマップとして政府全体で作成していくことを提案をさせていただきました。
 有識者の委員の皆様からは、本当に多岐にわたってなるほどという指摘を数多く頂きまして、その中で大きな方向性についてはおおむね了解を頂いたと認識していますが、併せてデータセンターなどについて、単なる箱物の整備とならないようにすべきだという意見ですとか、あるいは人材育成やイノベーションが重要だといった意見もございました。
 取り分けデジタル日本改造という大きな提言をしたのですけれども、道険しくて、やらなければならないことがたくさんある上に、率直に申し上げて経済産業省だけの問題ではないですから、これはオールジャパンで取り組まなければなりませんし、それから単年度の予算でぽちぽち前に進むというのではなくて、他国と比較してデジタル化が大いに遅れた反省に立って、一気にきちんとした整備をしていかないとならないのだと思います。
 だから、うちではなくてデジタル庁とかがもっと大きな絵を描いてくれるのかなという気もあったのですけれども、今のところそういう動きもないものですから、正に現場を抱えている我々として、しっかり識者の皆さんの意見を聞きながら、関係省庁と連携しつつデジタル日本改造ロードマップの検討を進めていきたいと思います。
 それで、これは経済産業省だけでつくることではないので、デジタル田園都市国家構想会議ですとか、新しい資本主義実現会議などに我々の会議の成果というのを提案をして、政府全体の取組にしっかりつなげていきたいなと思っております。

原子力政策

Q:アメリカへの高速炉の開発協力のことでお伺いしたいのですが、高速炉については日本では事故が相次いで、ある意味いわくが付いていると思うのですけれども、この技術の開発の協力をする日本政府としての狙いというのは何なのでしょうか。

A:エネルギー基本計画にも示しているとおり、2050年のカーボンニュートラルという大きな目標に向かっていくとすれば、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求し、同時に将来に向けた研究開発や人材育成を進めていくことが必要だというふうに考えております。
 日本の場合は「常陽」ですとか「もんじゅ」で培った知見、これを御指摘は要するに成功していないではないかということも含めてなのですけれども、技術的なものについては非常に世界的にも評価をされた仕組み、システムでありますので、こういったもので米国において日本の技術というのを貢献していく可能性というのは十分あるのではないかというふうに思っていまして、今後高速炉に関して日米協力をしっかり進めていきたいなと思っています。
 私は、新任のときにも申し上げましたけれども、例えば原子力人材の育成ですとか、それから新しいイノベーション、技術の開発、研究ですとか、これは文科大臣時代に皆さんの税金を使わせていただいて取り組んできたことでありますので、決して世界と比較して劣っているとは思っていません。したがって、この技術は常にどういう使い方をするかというのはまた大きな話合いをしなければならないと思いますけれども、いずれにしましても目の前にある技術はしっかり磨いていくとこをこれからも続けていきたいなと思っています。

Q:原発絡みですけれども、年明けにEUの欧州委員会が原発が温暖化対策に役立つエネルギーと位置づけるということの方針を発表して、正式決定を近くしたいという話がありますけれども、この点の受け止めと日本のエネルギー政策に影響があるかどうか、教えてください。

A:欧州委員会がEUタクソノミーにおける原子力の取扱方針を加盟国などに提示したというのは、報道で承知しています。御指摘の方針は、EUの加盟国間で正に議論中のものであるというふうに承知しておりますので、部外者である私がこの場でコメントするのは差し控えたいと思うのですが、我が国では昨年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画に基づいて、原子力発電所の安全最優先の再稼働や安全性の向上に向けた研究開発や人材育成に取り組んでいくこととしておりまして、こういった方針には変更はありません。

以上

最終更新日:2022年1月21日