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萩生田経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2022年3月1日(火曜日)
9時22分~9時35分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

エネルギーの使用の合理化等法律改正案

私から、冒頭4点ございます。

1点目は、本日、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を閣議決定いたしました。

この法案は、2021年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画の実現に向けて需要構造の転換のため、省エネ法のエネルギーの定義の見直し、非化石エネルギーへの転換や余剰再エネ電気の活用の促進、また、供給構造の転換のため、水素、アンモニア等の脱炭素燃料や脱炭素技術の利用促進や、JOGMECを通じたそれらへの支援強化、また、安定的なエネルギー供給確保のため、電源休廃止時の事後届出制から事前届出制への変更や、大型蓄電池の発電事業への位置づけなどの措置を講ずるものです。本法案の早期成立に向けて全力で取り組んでまいります。詳細については、後ほど事務方から詳しく説明をさせていただきます。

 ウクライナ情勢

2点目ですが、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為として厳しく非難します。G7を始めとする国際社会と連携し、ロシアに対して強い制裁措置を取ってまいります。

その観点から、2月26日に国際合意リスト品目の輸出等の禁止措置について閣議了解したことに加え、本日、ロシアの軍事関連団体に対する輸出等に係る禁止措置、また、ロシアの軍事能力の強化に資する汎用品の輸出等の禁止措置について閣議了解を致しました。

今後、これら禁止措置の実施に向け、関係省庁と連携し、必要な制度改正をしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 サイバー攻撃

3点目ですが、昨日、トヨタ自動車が、仕入先である小島プレス工業におけるサイバー攻撃によるシステム障害の影響により、本日、国内全14工場の稼働を停止することを公表しました。

現在、生産活動の復旧に向けて全力を挙げていると聞いており、経済産業省としては、引き続き事実関係の把握に努めてまいりたいと思います。

昨今の情勢から、サイバー攻撃事案のリスクは高まっており、DDoS攻撃やランサムウェア攻撃などによる企業への被害が発生する懸念が強まっています。こうしたサイバー攻撃への被害は、攻撃を直接受けた企業だけではなく、その取引先も含めてサプライチェーンに広く影響を及ぼす可能性があります。

経済産業省からは、先週23日、昨今の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について注意喚起を行ったところでありますが、産業界においては、改めてサイバーセキュリティ対策の強化に努めていただきたいと思います。

各企業におかれましては、不審な動きを把握した場合は、早期対処のために、速やかに経済産業省やセキュリティ関係機関に御相談いただくようにお願いをしたいと思います。

 IEA閣僚会議

最後4点目ですが、本日夜、閣僚レベルでのIEAでの会議が予定されておりまして、私が出席する予定です。石油備蓄等について、IEA関係国と緊密に連携していきたいというふうに思っておりますので、会議の内容については後ほどまた貼り出したいと思います。

私からは以上です。

 
 

質疑応答

ウクライナ情勢

Q:よろしくお願いします。

2点あります。

まず1点目、SWIFTからロシアの特定の銀行を締め出す措置を実行していますが、これによって日本経済や、また国内のエネルギー供給への影響をどのように見ていらっしゃいますでしょうか。また、これに対してどのように対処しますでしょうか。

A:まず、御指摘のSWIFT制裁については、欧米諸国からの声明への参加要請に応じて日本も取組に加わることとなりましたが、現時点で制裁対象である金融機関はまだ決まっておらず、また、米国は制裁からエネルギー取引を除外する方法について検討しているものと承知をしております。

経済産業省としては、本措置の詳細についてG7各国と緊密に情報連携するとともに、これにより生じる日本経済やエネルギー安定供給に与える影響についてしっかりと精査をしてまいりたいと思います。

特にエネルギーの安定供給については、我が国のLNGや石炭の約1割がロシアからの輸入であることも踏まえ、日本へのエネルギー供給に支障が生じないよう、欧米ともしっかりと調整を行い、必要に応じて関係国に働き掛けてまいりたいと思います。

なお、石油につきましては国家備蓄、民間備蓄合わせて約240日分の備蓄、LNGについては電力会社、ガス会社において、二、三週間程度の在庫を有しているところでありまして、今後あらゆる可能性も視野に入れつつ、事業者間の融通など、あらゆる手段を官民で実施し、エネルギーの安定確保に全力を尽くしてまいりたいと思います。

 石油製品価格高騰

Q:もう一点あります。

ウクライナ情勢を受けて原油価格の高騰が続いていますが、今週中にも発表するとしていますガソリンなどへの追加対策、今、内容についてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

A:ウクライナをめぐる事態は緊迫した状況が続いており、もともと上昇していた原油価格が更に高騰する要因となっています。エネルギー市場の高騰から国民生活や日本経済を守るために、25日に岸田総理が会見で発言されたように、激変緩和事業を大幅に拡充、強化する予定です。国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から検討を加速し、追加的な措置を速やかに講じてまいりたいというふうに思っておりまして、今週中には激変緩和措置に加え、業種別の対応策についても盛り込んだ重層的な対策を官房長官の下で取りまとめ、速やかに実行に移してまいりたいと思っています。

 ウクライナ情勢

Q:今後のロシアでの事業についてお伺いいたします。石油大手シェルが日本の商社も参画するサハリン2から撤退する方針を発表しました。このプロジェクトを今後も続けられるのでしょうか。今後のエネルギー調達に支障が生じるおそれはないのでしょうか。

また、この案件に限らず、サハリン1は経済産業省が管轄していますし、エネルギーの分野以外でも、NEXIを含めてロシアの企業を後押ししてきた経緯もあります。ロシアのウクライナ侵略を側面支援していると取られかねないのでしょうか。今後の対応も併せて受け止めをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

A:まず、今回ロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みであり、国際市場の根幹を揺るがす明白な国際法違反であり、決して看過できないという点を強調したいと思います。

ロシアに対する制裁の強化にあたっては、エネルギー安全保障の観点も含めて、G7を始めとする国際社会と連携してまいりたいと思います。JOGMECやNEXIが関わるロシアでのエネルギー関連事業についても、G7などでの議論を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

 サイバー攻撃

Q:よろしくお願いします。

トヨタ自動車の取引先のシステム障害についてお伺いしたいと思います。こちら、もうサイバー攻撃によるものということで特定されたのかどうかということと、サイバー攻撃だとしたら、その発信元についてどのように確認が進んでいるのか伺いたいと思います。

あと、ほかの日本企業の被害の有無と、経済産業省としての今後の対応についても伺いたいと思います。よろしくお願いします。

A:昨日、トヨタ自動車が仕入先である小島プレス工業におけるシステム障害の影響により、本日、国内全14工場の稼働を停止することを公表しました。既に小島プレスの方からサイバー攻撃であるというコメントを発表していると承知をしております。発信先がどこかとか内容はどういう仕組みかというのは、私の方からは控えさせていただきたいと思います。

現在、生産活動の復旧に向けて全力を挙げていると聞いており、経済産業省としては引き続き事実関係の把握に努めてまいりたいと思います。

その上で、日本企業に対するサイバー攻撃について、その有無をお答えすることは差し控えたいと思います。経済産業省としては、23日に昨今の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について注意喚起を行ったところでありまして、産業界においては、引き続きサイバーセキュリティ対策の強化に努めていただきたいと思うんですが、例えば、トヨタ本社のようなところは、かなり要塞化をしているはずなんですね。

今回は、その取引先の、言うなら中小企業からのアクセスに攻撃があったということでありまして、分かりやすく言うと、大企業の皆さんは、このセキュリティ対策、かなり時間もお金も掛けてきちんとやっているんですけれども、やっぱりそこと取引する企業からということは、非常に心配がありますので、どういう仕組みでどうしたらいいのかというようなことも含めて、経済産業省直接にも相談に乗っていますし、関連団体などでも相談窓口を作っていただいていますので、是非、不安のある企業の皆さんは、御相談をしていただきたいと思っております。

また、当然こういう時期ですから、不審なメールを開けないとか、基礎的なことを改めて社内で徹底していただくことをお願いしたいなと思っています。

LNG

Q:欧州へのLNGの追加融通についてお伺いしたいと思います。4月以降の融通について、EU側と調整しているとの一部報道がございましたが、その事実関係並びに政府としての対応方針についてお聞かせください。お願いします。

A:EUから日本政府に対して、4月以降のLNGの追加融通の打診があったという事実はございません。2月9日に私が大使とお話ししたのが最後でございまして、今般ロシアによるウクライナ侵攻や国際的な対応、追加制裁発動を検討という急激な状況変化を踏まえ、あらゆる可能性も視野に入れつつ、繰り返し申し上げますけれども、まずは国内の安定供給に万全を期したいと思いますので、4月以降、しっかり足元を見ていかなきゃいけないと思っています。

サイバー攻撃

Q:すみません。

トヨタの関連なんですけれども、23日に経済産業省がサイバー攻撃に関する注意の呼び掛けという、このときには、何らかの兆候があったから、休日なのにこういう注意喚起がというのは極めて珍しいかなと感じたんですけれども、そのとき既にある程度の兆候なりがあったのか、休日だけれども、あの注意喚起をしたというそのプロセスについてちょっともう少し教えてください。

A:どこでどういう兆候をつかんだかということをまた言うと、これまた攻撃側に対しての情報提供になってしまうので、その辺はちょっと控えたいと思うんですが、いずれにしましても、事態が急速に変わっている中で、予想される被害というものがございましたので、できるだけ早く、企業の皆さんにも啓発、啓蒙していきたいという思いで発表したという事実がございます。

以上

最終更新日:2022年3月24日