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萩生田経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2022年3月11日(金)
8:39~8:52
於:本館10階記者会見室

 

冒頭発言

東日本大震災

おはようございます。
私から3点申し上げます。
1点目ですが、本日で東日本大震災から11年目を迎えます。改めて亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策と福島の復興は経済産業省の最重要課題であります。福島第一原発の廃炉は世界に前例のない困難な取組ですが、2041年から51年の廃止措置終了を目指して、国も前面に立って安全かつ着実に進めてまいります。
併せて、ALPS処理水の処分については、IAEAのレビューも受けながら、安全性を広く周知し、安心を醸成するとともに、徹底した風評対策に取り組みます。
帰還困難区域については、今年の春から始まる特定復興再生拠点の避難指示解除に向けた取組を確実に進めます。
加えて、拠点区域外の区域についても、帰還意向をお持ちの住民の方々が全て2020年代に帰還できるように取組を進めます。
さらに、被災事業者の事業・なりわいの再建、福島イノベーション・コースト構想の両輪に加え、交流人口の拡大にも取り組み、本格的な福島復興につなげてまいります。
今後とも一日も早い復興に向け、被災者の皆様に寄り添いながら全力で取り組んでまいりたいと思います。

ウクライナ情勢

2点目です。
今回のロシアによるウクライナ侵略に対し、我が国は国際社会と連携しつつ、これまで累次の閣議了解により、ロシア、ベラルーシ等に対する強い制裁措置を執る政府方針を示してまいりました。
これを受けて、本日外国為替及び外国貿易法に基づき、輸出貿易管理令の改正について閣議決定を行い、本日付で公布、18日に施行いたします。これによりまして、ロシア及びベラルーシ向け国際輸出管理レジームの対象品目の輸出等の禁止措置、両国の軍事関連団体向けの輸出の禁止措置、両国の軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品の輸出等の禁止措置、ロシア向けの石油精製用の措置等の輸出等の禁止措置、いわゆるドネツク人民共和国及びルハンスク人民共和国向けの輸出の禁止措置が実施されることとなります。
これを受けた技術的な細目については、週明けに省令、告示等を公布する予定です。併せて品目に関連する技術提供も禁止します。いずれも18日に施行予定ですが、詳細については来週事務方に説明をさせます。
今後もウクライナをめぐる情勢を注視しつつ、国際社会と連携し、この問題の解決に向け全力で取り組んでまいります。

懲戒処分

3点目です。
藤井敏彦元内閣官房国家安全保障局審議官については、処分につながる可能性のある行為を把握したとして、内閣官房から経済産業省に異動となり、大臣官房付としていました。国家安全保障局及び経済産業省において確認、調査を行ったところ、国家公務員法に違反して兼業を行うなど、継続的かつ長期にわたる複数の非違行為が確認されました。高い倫理観を持って業務に取り組むことが求められる国家公務員、取り分け幹部職員によるこのような非違行為は、国民の公務に対する信頼性を著しく失墜させるものであり言語道断です。3月9日付で藤井元審議官を停職12月の処分といたしました。
本件処分を受け、藤井元審議官から直ちに辞表が提出されたため、辞職を承認しました。
なお、同元審議官からの申出により、停職期間12か月分の給与と1年分の賞与に相当する額に加え、本来認められない兼業等を通じて得た報酬などを合わせた約3,400万円を退職金から差し引くことといたしました。
経済産業省としては、当省出身の幹部職員が当省在籍期間も含めこのような非違行為を行っていたことを重く受け止め、事務方トップである多田事務次官に対し厳重注意を行った上で、このような事態が生じないよう組織全体における服務規律の遵守徹底を指示したところであります。
私からは以上です。

質疑応答

原発再稼働

Q: よろしくお願いします。
まず、ウクライナ情勢に関連してお伺いします。
原発の再稼働に対する考え方についてお伺いします。
ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が急騰しているのですけれども、そんな中でも日本は備蓄石油の放出であるとか、LNG融通とか、発電用のエネルギーに余力がない状況なのですけれども、こうした状況を踏まえて、昨日自民党の議連の方で原発の速やかな再稼働、緊急的な再稼働を求める提言なんかがまとまったという状況です。

原発を所管する大臣として、既存原発の再稼働が進まない状況をどのように受け止めているのかというのと、もしも再稼働を進めやすくするようなお考えがあればお伺いしたいなと思います。よろしくお願いします。

A: まず、自民党の議連の皆さんが提言をまとめたことについては承知をしております。
電力の安定供給の確保の観点から、安全の確保を大前提として原子力の再稼働を着実に進めることが重要だと思っております。このため、国も前面に立って立地自治体など、関係者の理解が得られるよう、しっかりと粘り強く取り組んでいく決意です。また、産業界に対しても、事業者間の連携による安全審査への適格な対応を働き掛けてまいりたいと思います。
なお、いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が世界で最も厳しい水準の新規制基準に適合すると認められた場合のみその判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の方針に変わりはございません。

原材料価格高騰

Q: もう一点お伺いします。物価高に関してです。
先般、原油価格の高騰対策について取りまとめたところなのですけれども、今様々な原材料価格が上がっているという状況です。
昨日、総理が追加の物価対策について検討を進める方針を示したのですけれども、経済産業大臣として御認識と現時点で何か検討していることがあればお伺いしたいと思います。

A: 昨日発表された2月の企業物価指数は、エネルギー価格の上昇もあり、前年比プラス9.3%と約41年ぶりの水準であったと承知しています。原油価格の上昇が長期化すれば企業収益や家計を圧迫する懸念がございます。
原油高騰対策については、激変緩和事業の大幅拡充に加え、農業、水産業など、業界、業種ごとの支援、地方自治体を通じた灯油購入支援や暖房費支援などを重層的に実施し、まずはこれらの対策の効果を見てまいりたいと思います。その上で我が国の国民生活や経済活動への影響が最小限となるよう、何が真に効果的な対策か、政府全体で不断の検討を行ってまいりたいと思います。

核セキュリティ

Q: よろしくお願いします。

ウクライナ侵攻で原発がロシアに制圧されたかと思います。外部電源が遮断されたりとか、IAEAが一時的にモニタリングができなくなったというような事例が出たと思うのですけれども、大臣の会見の質問でもあったと思います。当時の状況とは解像度も異なってきていると思いますけれども、今後国内原発への対応をどういうふうに進めるか、伺えますでしょうか。

A: まず、ロシア軍による原子力発電所への攻撃は国際法違反であるということを明確に非難しておきたいと思います。
日本国内の原子力発電所への武力攻撃に対する対応は、原子力規制委員会が規制する発電所の設備上の対応や事業者の対応にとどまるものではなく、関係省庁、関係機関が連携して対応することとしております。
具体的には事態の状況に応じて、国民保護法等の関係法令や国民保護計画等に基づき、警報の発令や住民の避難など、措置を迅速かつ的確に執ることになります。並行して原子力発電所については、原子力規制委員会がこれら関係法令や同計画等に基づき原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずることとしています。
また、原子力発電所に限らず我が国に対しミサイル攻撃があった場合には、上層、下層両面でのミサイル迎撃による多層防衛により対処します。加えて、日頃から様々な事態を想定して、関連機関が連携をして国民保護のための訓練などを実施することで、国民の安全を守るために備えているところです。

原油価格高騰

Q: 油の関係で1点なのですけれども、昨日UAEの方がOPEC加盟国に対して増産支持というのを表明したと思うのですけれども、日本としての各産油国への足元での働き掛けというのをその現状を改めて教えてくださいというのと、OPECプラスそのものの対応への期待、これについて教えてください。2点お願いします。

A: アラブ首長国連邦の駐米大使が声明を発表したことは承知しております。
既に高水準にあった原油価格は、ロシアのウクライナ侵略などを受けて一層の上昇傾向が継続しており、企業活動や暮らしへの影響が懸念されます。
次回のOPECプラス閣僚会合は今月の31日の開催と承知していますが、現下の価格高騰も踏まえ、国際原油市場の安定に向けた議論がなされることを期待をしております。
我が国におきましては、UAEを始めとする産油国に対して累次の働き掛けを続けてまいりました。また、現在も続けておりますけれども、また、先日のIEAでの閣僚会合などを踏まえて、そういった同志国と連帯して産油国に対しての働き掛けがやや実った結果ではないかというふうに歓迎したいというふうに思います。
昨日のG7臨時エネルギー大臣会合でも、原油市場の安定に向けてG7で協調して産油国、産ガス国へ供給能力の拡大、増産を求めることに合意をしたところです。引き続き、主要な消費国やIEAと連携して、しっかり対応していきたいと思っています。

 

以上

最終更新日:2022年4月1日