2022年6月3日(金曜日)
9時44分~10時00分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
原子力災害対策本部・復興推進会議
私から1点申し上げます。
本日原子力災害対策本部と復興推進会議の合同会合におきまして、福島県葛尾村の特定復興再生拠点区域について、6月12日の午前8時に避難指示を解除することを決定をしました。今回の決定は長時間帰還が困難であるとされた帰還困難区域において、初めて住民の帰還を可能とするものです。避難指示解除はゴールではなくスタートです。今後ともふるさとに戻りたいと考えている方々が安心して帰還できる環境整備に関係省庁とも連携し、取り組んでまいりたいと思います。
詳細は後ほど事務方からブリーフをさせていただきます。
質疑応答
島根原発
Q:島根原発2号機の再稼働について丸山知事が同意を表明しまして、来年度にも再稼働する見通しとなりました。エネルギー供給が制約される中で、今回の知事の判断をどのように受け止めていらっしゃるか、お聞かせください。
A:昨日丸山島根県知事が県議会において、中国電力島根原子力発電所2号機の再稼働について理解する旨を表明したと承知しております。現下のエネルギー供給の制約やエネルギー価格の行動などの情勢を踏まえると、原子力をはじめエネルギー安全保障及び脱炭素効果の高い電源の最大限の活用など、エネルギー安定供給確保に万全を期していくことが必要です。こうした状況の中で島根原発2号機の再稼働に当たり地元の理解を得られたことは、大変重要であると考えております。
今後とも中国電力においては、原子力規制委員会による今後の工事計画認可や使用前検査などの法令上の手続について、安全確保を最優先に対応してもらいたいと思います。
Q:よろしくお願いします。
島根原発2号機再稼働の地元同意に関連してお伺いします。
今後島根県の丸山知事から、正式に島根原発再稼働に同意ということで報告を受けると思うのですが、その日程や場所がもしある程度固まっていればお願いします。また、何らかのもう連絡を受けているのかどうかも併せてお願いいたします。
A:丸山知事から再稼働の判断に関するお電話は、今のところ頂いておりません。丸山知事が昨年9月に行った国からの理解要請に対する回答をすること、今後政府に対して要請を行うことについて発言されたことは承知をしておりますので、いずれかの時期に島根県側から日時の相談があるのではないかなと思いますので、あればしっかりお伺いしたいなと思っています。
Q:関連してなのですが、先ほど中国電力島根原発2号機に関しては、まだ工事計画認可と保安規定の審査がありまして、また中国電力は過去に不祥事も相次いでいることもあり、安全確保には厳しい目が向けられていると思います。改めて中国電力の再稼働に向けて、安全確保に対して心がけてほしいことがあればお願いします。
また、原発30キロ圏には46万人の人がいて、広域避難計画の実効性に不安を訴える住民もいるのですが、今後避難計画の実効性を高めるために何が必要か、お考えも併せてお願いいたします。
A:原子力の利用に当たっては、安全確保が大前提です。中国電力には原子力規制委員会の監視の下、安全対策にしっかり取り組んでもらいたいと改めて思います。
また、島根県地域の避難計画については、政府の原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認し、昨年9月に原子力防災会議において了承(※)をされました。原子力災害への備えにこれで完璧ということはございませんので、政府としては引き続き避難計画の改善、充実に向けて効率的な避難経路の策定や訓練の実施も含め、自治体と協力して継続的に取り組んでまいりたいと思いますし、机上で作った計画でありますから、実際に車や人が動くということになると、想定をしなかった様々な障害がきっと出てくると思うので、そういったものも是非平時からよく現場で自治体との連携を取ってもらいたいなということを改めてお願いしたいなと思います。
泊原発
Q:泊原発の関係でお伺いします。
札幌地裁は先日なのですけれども、泊原発の運転を止めることを命じる判決を出しました。津波対策などの不備が指摘されてのことだと思いますが、所管大臣として今回の受け止めと今後の対応について改めてお伺いします。
A:御指摘の判決が出されたことは承知をしております。本件は民事訴訟でありまして、国は本件の訴訟の当事者ではございませんので、コメントは差し控えたいと思います。
電力需給
Q:新設する方針の需給逼迫注意報についてお伺いします。あと1か月でいつこの注意報が出てもおかしくない状況になると思うのですが、注意報が出た際に我々の節電レベルとしてどういう行動を取ればいいのかということと注意報を作った狙いについて、改めてお願いします。
A:電力需給逼迫時には、これまでも翌日の予備率の見通しが厳しく、3%を下回る場合には需給逼迫警報を発令することとしておりまして、3月21日に初めて発令をしました。
今回警報の発令に至らない水準でもその可能性を事前に幅広く周知する観点から、需給逼迫注意報を発令することにしました。これは3月のときにも皆さんにもいろいろ御報告しましたけれども、決定が計画の午後6時を過ぎてしまって発令をしましたので、その翌日の対応にいろいろな不備がございました。電力会社側もできるならば発令したくないということで、最後までぎりぎり準備してくれたことはよく分かるのですけれども、逆にもう少し手前から、こういう状態ですよということを地域の住民、国民に知らせるということも必要なのではないかということで、3%に下回らなくても5%を切った段階で手前で一回注意報を出しておこうということで、新たに作らせていただきました。
今年の夏の電力需給は予断を許さない状況にありまして、電源の公募などによって電力供給の確保に全力で取り組んでおりますが、供給力に限りがある中では、国民の皆様にも日頃からできる限りの節電をお願いしたいと思います。
需給逼迫警報が発令した場合には、熱中症などに注意しつつ、最大限の節電の徹底をお願いすることとなりますが、需給逼迫注意報であってもできることを是非実施してもらいたいなと思っています。需給逼迫警報でこういったことを協力してくださいということは既にメニューとして出していますけれども、注意報は手前だからもう少し緩くていいのかというと、できれば同じことを取り組んでもらえば有り難いなと思っております。
原発政策
Q:よろしくお願いします。
エネルギー政策の関係で、先日の経済財政諮問会議で示された骨太の方針の原案で、原子力について最大限活用という表現が入っていて、可能な限り依存度を低減という表現自体は入っていません。依存度低減は昨年の骨太の方針に記載されていましたが、そこで何らかの変化があったのか、大臣の所感をお願いします。
A:昨年10月に閣議決定したエネルギー基本計画において、原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減するとの方針を示しており、その方針には何ら変わりはございません。
今回骨太の方針では当面の難局を乗り越えるための経済運営の方針が示されておりますが、ロシアによるウクライナ侵略や電力供給の逼迫といった状況を踏まえて、再エネ、原子力などのエネルギー安全保障及び脱炭素の効果の高い電源を最大限活用するとの方針を示したものであります。引き続きエネルギー安全保障を確保した上で、2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラルという野心的な目標の実現に向けて、脱炭素化の取組を進めてまいりたいと思います。
Q:最大限活用と依存度低減は相反するようにも見えるのですけれども、その辺りは如何でしょうか。
A:安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減するという政府の方針には変わりはありません。その上でロシアによるウクライナ侵略や電力供給の逼迫といった状況を踏まえて、再エネ、原子力などのエネルギー安全保障及び脱炭素の効果の高い電源を最大限活用するとの方針を示したものです。
あらゆる選択肢を追求する中で、原子力の活用をしていくという趣旨でありまして、原子力などのエネルギー安全保障及び脱炭素の効果の高い電源を最大限活用すると申し上げたものであり、可能な限り原発依存度を低減する方針とは何ら矛盾するものではないと思います。
東芝
Q:個別案件に近くて非常に恐縮なのですけれども、東芝が昨日非公開化を含む戦略を受付し、選択肢の提案を10件受け付けたというふうに発表しました。多数の外資系金融ファンドが提案を提出したということも伝えられています。東芝は改正外為法で事前審査の対象となるコア業種に指定されていますけれども、こうしたコア業種企業を外資系ファンドが100%支配下に置くのはそもそも可能だと考えられているのか、懸念などはないのか、また政府としてはJICやJIPなど、日の丸ファンドとコンソーシアムを組むのが望ましいのか、安全保障上の観点からも大臣の所感をお伺いしたいと思います。
A:昨日東芝から同社のパートナー候補となり得る潜在的な投資家やスポンサーから株式の非公開化や上場維持を前提とした資本業務提携に関する提案が提出されたことについて、公表があったことは承知をしております。
個別企業の経営に関わる内容であり、コメントすることは差し控えたいと思いますが、これまでもお答えをしてきたとおり、東芝は原子力や半導体など、国家の安全保障にも関わる重要技術を保有する企業であると認識しており、関係する事業が維持、発展していくことが重要であります。このような観点から今後の動向を注視してまいりたいと思います。
なお、一般論で申し上げれば、原子力発電や半導体など、国の安全等に係る事業を実施する日本企業に対し、外国投資家が一定以上の投資を行う際には原則として外為法に基づく事前届出が求められます。その上で国の安全を損なうおそれがないかなどの観点から厳格に審査することとなります。
OPECプラス
Q:別件でOPECプラスの会合が開かれました。原油の増産を拡大することで合意されました。原油高が続く中、日本はほぼ全量を輸入に頼っていますが、この結果に対する受け止めろと今後への期待の部分をお願いいたします。
A:昨日開催されたOPECプラス閣僚会合では、来月は日量64.8万バレルを増産することで合意されたと承知をしております。本合意はこれまでの増産ペースを上回るものであり歓迎したいと思います。
これは先日のG7気候・エネルギー・環境大臣会合など、消費国との連帯した産油国に対しての働きかけや就任以来個別に各国とのバイの会談を続けて増産要請をしてまいりました。そういったものが一定程度実った結果になったのではないかと思っていまして、まずはちょっとほっとしています。
しかしながら、国際的なエネルギー市場の動向や日本経済に及ぼす影響を緊張感を持って注視をしていかなければならないと思いますし、原油市場安定化のためにIEAや主要消費国と連携を強化しつつ、産油国に対する増産の働きかけを引き続きお願いをしていきたいなと思っております。
持続化給付金
Q:持続化給付金の詐欺で国税庁の職員が逮捕される案件が起きて、さらには家族ぐるみで10億円詐取するという事件も相次いで起きて関心が高まっています。所管する官庁としてこの事件発覚の受け止めを一言お願いいたします。
A:まず、報道については承知をしておりますが、捜査中の時点であるため私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、不正受給に対しては徹底して対応して今までもきましたけれども、これからもしっかりやっていきたいと思います。
あのとき国会では与野党を超えて、とにかく手続よりもコロナで困っている皆さんを助けるのが先だということで、かなり簡素化をし、スピードを求められた結果、よくお役所がやるぎりぎりいつまで見るのだというぐらい厳しい審査ではなくて、どちらかというと外形的な条件が整っていればまずは現金を出して差し上げようという、そういうマインドだったと思うのですが、それを悪用した、しかも仕組みを知っている、あるいはそういうことに携わらなくてはならない国家公務員が犯罪に関与していたとすると、それは極めて残念なことでありますし、あってはならないことだと思います。
持続化給付金は新型コロナの影響を受けている事業者の事業継続を支えることを目的にしたものでありまして、高い倫理意識が求められる国家公務員がこの制度を悪用し、不正に受給した疑いがあることは誠に遺憾だと思っています。
誤って受給した場合については、新聞広告やSNSなどを通じて、積極的な返還を呼びかけるとともに、不正の疑いがある案件に対しては事後的な調査を行うなど、今後とも不正受給には厳正に対処してまいりたいと思いますので、軽い気持ちでそういった話に乗って、自ら後ろめたい思いが分かっていらっしゃる方がいらっしゃったら、これは直ちに返還をしてもらいたいと思いますし、経済産業省としては国民の貴重な税金ですから、これは捜査機関とも連携しながら徹底して返還を求めていく、その決意に変わりありません。
※実際の発言は「承認」でしたが事実関係に即して上記のとおり修正しました。
以上
最終更新日:2023年4月11日