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萩生田経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2022年6月10日(金曜日)
9時22分~9時39分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

対ロシア制裁措置

 おはようございます。
 私から最初に1点ございます。
 今回のロシアによるウクライナ侵略に対し、我が国が国際社会と連携し、ロシア等に対する強い制裁措置を実施しております。6月7日の閣議了解を踏まえ、ロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出禁止を措置するため、本日輸出貿易管理令の改正について閣議決定を行い、本日付で公布、6月17日に施行いたします。
 これによりまして貨物自動車、ダンプカー、ブルドーザー、その他の機械類等についてロシア向けの輸出が6月17日より禁止されることになります。
 詳細については追って事務方から説明をさせます。
 今後もウクライナをめぐる情勢を注視しつつ、G7を始めとする国際社会と連携し、厳しい制裁措置を講じてまいりたいと思います。
 以上です。

質疑応答

WTO閣僚会議

Q:よろしくお願いします。
 12日から開かれるWTO閣僚会議について2点お聞かせください。
 4年半ぶりの開催ということで、この間国際経済秩序が変わってきましたが、今回の会合に対する期待をお聞かせください。
 それと、もう一つ中でも経済産業省としては上級委員会の機能回復を重視していますが、どのような姿勢で協議に臨まれるか、お聞かせください。

A:今月12日から第12回のWTO閣僚会議が開催され、残念ながら私は会期末なので、事情が許せば私の代理として細田経済副大臣が出席をする予定です。4年半ぶりの閣僚会議であり、パンデミックへの対応、食料安全保障、紛争解決機能を始めとするWTO改革などについて議論が行われる予定と承知しております。これらのグローバルな課題に対するWTOの意義や貢献をしっかり示す合意が得られることを期待しております。
 特に紛争解決機能はWTOの最も重要な機能の一つであり、その早期の機能回復に向けた議論の本格化に向けて、全加盟国の閣僚のコミットメントを得ることを目指したいと思います。交渉の結果についてはまだ予断できませんが、閣僚宣言の発出に向けて日本としてもしっかり貢献をしたいと思っています。

電力需給

Q:よろしくお願いします。
 改めてなのですけれども、電力需給についてお伺いいたします。
 現状大臣が受け止められている危機感と、そして国民に対してどういった行動変容、対応を求めていきたいかというところを改めてお伺いいたします。

A:今年の夏は東北、東京、中部の三つのエリアで予備率が3.1%とぎりぎりの状態にありまして、冬は東京から九州までの七つのエリアで安定供給に必要な予備率が確保できず、特に東京エリアは予備率がマイナスと非常に厳しい状況です。こうした中で想定を超える電力需要の増加や燃料調達のリスクが高まっていることを踏まえ、6月7日に2022年度の電力需給に関する総合対策を決定しました。
 政府としては、まず追加の供給力の確保に向けた取組をしっかり行っていきたいと思いますが、その上で国民の皆様には御家庭や業種ごとの事情があることを踏まえ、この夏は一律の節電の数値目標は定めませんが、できる限りの節電、省エネに御協力いただきたいと思っています。
 具体的には室内温度を28度にする、使用していない部屋や廊下の照明を消す、冷蔵庫に物を詰め込み過ぎないなど、できる限り節電に御協力をお願いしたいと思っています。

Q:危機感としては如何でしょうか、火力を始めとしてなかなか。

A:例えば夏の3.1%は現状の火力発電所が予定どおり稼働したことを前提の数字でありますので、万が一何らかのトラブルが生じて1か所、2か所発電ができないような状況になりますと本当に厳しい状況になると思っていますので、そういう意味では今の段階から各電力事業者に対して、安全確認を徹底していただくことや、できるだけエリアを越えた融通ができるような仕組みについても取組を進めているのですが、正直申し上げてかなり厳しい状況で発電供給をしている上に、このロシアによるウクライナの情勢があって、燃料の調達などにも不透明な部分が出てきていますので、そういう意味では最大限の危機感を持って今取組を進めているところです。

Q:よろしくお願いいたします。
 IPEFと経済版2プラス2についてお伺いいたします。
 先日USTRは明日パリでIPEFの会合を開くというふうになっています。日本はどういった形で参加するのかということと、あとどういった議論がされるかということを教えてください。
 あと経済版2プラス2を来月29日にワシントンで開催するという報道がありますが、現在の検討状況を教えていただけますでしょうか。

A:米国が先月立上げを発表したインド太平洋経済枠組み(IPEF)でございますが、将来の交渉に向けた議論を進めていくことになっていたところ、明日パリでIPEF貿易分野に関する非公式の閣僚級会合が開催される予定となりました。議論の内容は非公表とされておりますが、日本からは経済産業省の広瀬経済産業審議官と三宅外務大臣政務官が出席をする予定です。参加国がお互いに知恵を出し合って、IPEFを有意義な枠組みにつくり上げていけるように、日本としても積極的に貢献をしてまいりたいと思っております。
 また、先月の日米首脳共同声明では、両国の外務、経済の閣僚級による日米経済政策協議委員会、いわゆる経済版の2プラス2を今月、7月に開催するとの両首脳の意思が表明されました。開催時期や場所などの詳細については現在日米間で調整であるため、お答えを差し控えたいと思いますけれども、経済版2プラス2においてはサプライチェーン強靱化を含む経済安全保障の確保やインド太平洋地域におけるルールに基づく経済秩序の強化等の分野で首脳間で確認された方針を踏まえながら、日米協力の強化に向けて議論してまいりたいと思っています。

GX経済移行債

Q:萩生田大臣、政府が先日閣議決定した骨太の方針等にはグリーントランスフォーメーション経済移行債、日本国の成長のエンジンにしようと10年で200兆円の発行が盛り込まれていました。しかし、中身は良いのですけれども、名称が片仮名で長くて、それにグリーントランスフォーメーションとか何とか、国民には何のことかちんぷんかんぷんです。
 今はまだ仮称なので、今後名称変更はお考えになるのでしょうか、環境省の山口壯大臣も記者会見で二度にわたって脱炭素国債への名称変更を提唱しています。参院選も控え、政治家としての判断も踏まえ、萩生田光一さん、名称変更は如何でしょうか。

A:GX経済移行債という名称は仮称として岸田総理が発言したものでありまして、今年の夏に新たに設置されるGX実行会議において、今後具体的なスキームなどを議論していく中でその詳細についても固まっていくものと考えております。
 この分野に限らず最近行政用語でやたら横文字が多いという御指摘を頂いておりまして、私も違和感を感じることもありますので、できるだけ国民の皆さんにアピールしなければならない内容は分かりやすく発信していくことが大事だと思っていますので、御指摘を踏まえていろいろ議論してみたいなと思っています。

GXリーグ

Q:GXつながりなのですけれども、本日GXリーグの発足式がこの後開催される予定ですけれども、今後の枠組み、更に詳細を詰めるに当たってどのように検討を進めていかれようとしているのか、またGXリーグの中で排出量取引がありますけれども、飽くまでこれは自主的なものということで、実効性にも課題もあるかと思うのですけれども、このあたりの大臣の課題の認識と実効性を高めるためにどのように対策に取り組む考えか、教えてください。

A:GXリーグは来年度からの本格稼働に向けて、本日キックオフイベントを開催いたします。このイベントには経済界、金融界、関係省庁も出席し官民連携して取組を進めてまいります。
GXリーグでは排出量取引の取組も進めます。既に幅広い業種から日本全体のCO2排出量の4割以上を占める440社の賛同を得ておりまして、本年度中に試行を開始し、来年度から排出量取引の開始を目指します。
 また、既に野心的な2030年の削減目標を公表している企業も多く参加しておりまして、企業自らの自主的な取組を促進する枠組みではありますが、参加する各社には目標の進捗状況などを資本市場に開示することを条件としてまいりたいと思っています。こうした市場の規律づけにより実効的な企業の排出削減を促してまいりたいと思います。
 440社は第1次募集ということで、これからも追加の募集をしていきたいと思いますし、おっしゃるように何か強制的なルールでスタートするわけではないのですが、このリーグの中でそれぞれの企業がそれぞれの企業の目標を示すことで、目標を出してない企業が刺激を受けて、我が社もこういう目標でやろうということをだんだん皆さん動きを加速していただけるのではないかと思っています。
 それで来年度以降の本格的な実施につなげていきたいと思うので、まずキックオフなので、最初からこういう条件をクリアできない企業は入れませんとか、そういうネガティブリストではなくて、志ある企業の皆さんには是非この輪に入っていただいて、そして皆さんでルール作りも話し合っていただく中で、企業によってスピードですとか業種によっての取組の仕組みですとか、速く走れる企業もあれば少し仕込みをしないと移行ができない企業もあるので、それを外から見て、ただ単に数字やスピードだけで評価するというのは私は如何かなと思っていますので、まずマインドを共有してもらうということが大事ではないかと思っていますので、政府としては透明性を高く運用することによって、実効性のある仕組みに成長させていきたいと思っています。

スポーツの産業化

Q:先日話題になったスポーツベッティングについて関連して伺いたいと思います。  先日の会見ではベッティングの実現化の動きはないですよということを明確にしていただいたかと思うのですけれども、スポーツの産業化そのものについてのお考えを改めて伺いたいなと思います。よろしくお願いいたします。

A:経済産業省がという主語だったので、経済産業省の内部として直ちに実行に移行するという段階は全くないですよということをお話ししたのですけれども、そのときに申し上げたのは、スポーツの産業化というのはこれからも幅広に考えていくべきだと私は思っています。
 2016年の成長戦略において、新たな有望成長市場の一つとしてスポーツの成長産業化が掲げられました。2025年度までにスポーツ市場規模を15兆円に拡大するとの目標が設定されております。これを受けて、経済産業省はスポーツ庁とともに競技場や体育館を魅力的で収益性のある施設に転換するスタジアムアリーナ改革を始めとしたスポーツの成長産業化に向けた様々な取組を進めてきたところです。
 先日国会でも国立競技場の稼働率が悪いという御指摘を頂いたのですけれども、無理もないのは、さんざん議論して、そして最初の計画を見直して、結局全天候型ではなくなりましたよね。そのためにあのエリアが都市計画法上の風致地区に当たっているために、大きな音を出すコンサートなどの年間制約が掛かっているのですね。ちなみに風致地区というのは、ちょっと実態と合ってないと思っていまして、ちなみに永田町、国会周辺も風致地区なのですけれども、結構夜中までうるさかったりしますよね。
 ですから、そういう意味では時代に合ってない法律なのかなという気もするのですが、さはさりながら、それを前提に造った国立競技場で、残念ながら本当は空いている日にどんどんコンサートなどをやるとこれは収益率も上がるのですけれども、それがかないません。
 したがって、秩父宮ラグビー場は全天候型のアリーナにしていこうということで、今最終的な計画が進んでおりまして、こういった今まではスポーツ施設というのは単体といいますか、スポーツを目的に造ったのだからスポーツをすることだけしか使わないという、こういう発想だったのですけれども、これからはアリーナ化、スタジアム化をすることによって他の業種にも貸し出したり、例えば全天候ですと展示会などにも使うことができますので、こういうことは積極的に仕掛けていきたいなと思っています。
 新型コロナの影響で我が国のスポーツ業界は大きな打撃を受けた一方で、欧米のスポーツ業界の中にはDXによる新たなサービスを展開することで、コロナ禍においても新たな成長を遂げているスポーツリーグやスポーツクラブがございます。引き続きこうした世界の潮流を十分に踏まえた上で、我が国のスポーツ成長産業化をしっかり進めていきたいなと思っています。

原油、電気・ガス料金の高騰

Q:よろしくお願いします。
 ガソリン価格についてお伺いします。
 8週間ぶりに値上げをしまして、補助金は満額超えの状況が続いています。原油価格は下落の兆しが見えませんけれども、中長期的にどのような対応が必要とお考えでしょうか。
 また、電気・ガス料金についても高い状況が続いていますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

A:まず、エネルギー価格高騰による国民生活や経済活動の影響を最小化するため、4月に取りまとめた原油価格・物価高騰等総合緊急対策、これを着実に実施していきたいと思っています。具体的には激変緩和措置に加えて、セーフティネット貸付の利下げなどによる中小企業の資金繰りの支援ですとか、それから1兆円の地方創生臨時交付金を活用した家庭や事業者に対する地方公共団体による電気・ガス料金の負担軽減を国としても後押しするなど、政府全体できめ細かく対応してまいりたいと思っています。
 この地方創生は地方自治体の判断に任せるのですけれども、目的はこういうことでやってもらいたいということで例示を示しておりますので、例えば学校給食費の削減ですとか、それから電気、ガスで非常に生活にお困りの世帯に対しての支援策ですとか、こういうことに使えることになっているということを改めて経済産業省としてもしっかりメニューを示していきたいと思っています。
 また、電気自動車の購入補助を最大40万円から85万円に増額をしております。照明設備など、中小企業が少額でも省エネ投資できるように省エネ補助金要件の緩和などを実施して、需要面でのエネルギー構造転換も同時に促進してまいりたいと思います。また、産油国等に対しての増産の働きかけは引き続き行っていきたいと思っています。

 

以上

最終更新日:2023年4月11日