2022年8月5日(金曜日)
10時28分~10時38分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
ビジネスと人権
おはようございます。私から1点申し上げます。
国際的に人権尊重を企業に求める動きが加速する中、企業のサプライチェーンにおける人権尊重、いわゆる人権デューデリジェンスについて、経済産業省で検討会を立ち上げ、業種横断的なガイドラインづくりに取り組んでまいりました。このたびガイドラインの案を取りまとめましたので、本日内閣官房に設置された関係府省庁会議に報告をいたします。
国際スタンダードにのっとった、かつ企業にとって分かりやすいガイドラインとなるよう議論を進めてきました。今後パブリックコメントで幅広いステークホルダーの御意見を頂きつつ仕上げていきたいと思います。企業にガイドラインの活用を促し、リスクの低減、企業価値の向上を実現することで、我が国の国際競争力強化につなげていきたいと考えています。
ガイドラインの内容やスケジュールなどについては、後ほど事務方からもっと詳しい説明をさせますので、どうぞ聞いてください。
私からは以上です。
質疑応答
サハリン2
Q:まず、1点目がサハリン2に関してです。
先日もぶら下がりに大臣に応じていただきましたが、ロシア政府が公表した政令について、その後改めて精査、分析された上での受け止めをお聞かせください。また、今後の対応について関係者との協議など、その進捗状況も併せてお聞かせください。
まず、それが1点目です。
A:サハリン2につきましては、日本の電力やガスの安定供給の観点からも重要なプロジェクトであることを繰り返し国民の皆さんにもお伝えをしてきました。
今朝ほど三井物産の堀社長と面談をしまして、新たに設立されるロシア法人への参画同意について前向きに御検討いただきたい旨、私自身からお伝えをしました。三菱商事にも事務方から同様の趣旨は伝えており、私自身も近々面会をする予定です。
他方でロシア政府の決定の詳細については引き続き確認中でありまして、その内容や今後の具体的な対応については予断を持ってコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。日本の企業の権益を守り、LNGの安定供給が守られるように、官民で一体となって対応してまいりたいと思います。
LNG
Q:エネルギー関連でもう一点お聞かせください。
オーストラリアの独立行政機関の競争・消費者委員会が国内供給逼迫回避でLNGの輸出規制を政府に勧告し、オーストラリア政府が対応を検討する状況になっています。
日本はオーストラリアにもLNGの増産を要請しており、サハリン2の不透明感が強まる中、こうした動きをどう見ているかお聞かせください。また、オーストラリア政府との情報共有など、今後対応をどう進めるかもお聞かせください。
以上です。
A:豪州の競争・消費者委員会がLNGの輸出規制につながる豪州国内供給メカニズム制度の発動を政府に勧告したことは承知をしております。今後豪州政府において利害関係者との協議の機会を設け、発動の是非や発動した際の具体的な方法を検討していくと承知しています。
他方豪州のキング資源大臣は、豪州が資源とエネルギーの安定的かつ信頼できる輸出国であることを再認識してもらうため、主要貿易相手国と話合いを続けていくと述べておりまして、先日クアッドで私、シドニーを訪問したときにも、日本へのLNG供給に影響が出ないように働きかけをしてまいりました。引き続き我が国のエネルギーの安定供給に支障を来すことがないように、オーストラリア側にしっかりと働きかけをしてまいりたいと思います。
サハリン2
Q:サハリン2について、今、大臣から三菱商事とも近々面会されるとお話があったと思うのですけれども、もし具体的な日程ですとか面会相手が決まっていましたら教えていただいてもよろしいでしょうか。
A:今日物産の堀さんにおいでいただくのに、本当は一緒に話をしようかなと思ったのですが、急だったし、先方の都合もあったので、近々調整をしてということで、まだ具体的な日程は決まっていません。
Q:ロシアの政令では、新会社を5日までに設立するとなっていますけれども、現時点で政府として設立は確認されているのでしょうか。
また、今朝方閣議後、大臣は総理と個別に面会されていますけれども、サハリン2に関してどのような御説明をされたのか、伺えないでしょうか。
A:まず、法人の設置については我々としては詳しい日時や内容についてはまだ報告を受けていません。それが出来上がって、1か月以内に意思表示というこのタイムスケジュールだけ伝わってきているところでありまして、設立の有無についてはちょっと確認ができていません。
それから、今朝総理ともこのサハリン2の基本方針については再度確認をして、今私が申し上げたように、日本政府としてはこれは大事な供給拠点でありますので、しっかり継続的に維持をしていくということの確認をさせていただきました。
Q:日本の商社2社が出資する上でのロシア側の条件というのは何か情報は入ってきているのでしょうか。また、出資を継続する上で何か日本側から新たに資金を追加的にロシア側に渡すとか提供すると、それは日本政府としては容認できないことなのでしょうか、お願いします。
A:まず、現段階で詳しい参画条件についてはまだ確認が取れていません。ただ、事前の様々なやり取りの中では、現状要するに法人格を変えて、そこに言うならば分かりやすく言うと引っ越しをするという形でありますので、追加の何らかの財政的負担が生じるとか、新たな増資を求めるような話というのは、今の段階では承知をしていません。
民間の2社につきましては、様々なリスクを考えながらも日本政府の要請に応じて前向きな検討をしていただいておりますので、想定を超えるような負担や、あるいは厳しい条件が出てきたときというのは、これはまた一緒に考えなければならないと思いますが、基本的には今の段階ではまだ予断を持ってコメントをする段階ではないと思っています。
ALPS処理水
Q:よろしくお願いします。
別件ですが、福島第一原発の処理水の海洋放出についてお伺いできればと思います。
一昨日3日に福島県知事と地元町長が大臣に要望に来られました。知事からは新たな風評被害への懸念も出ており、県民や国民の理解が十分ではないとの指摘がありましたけれども、この点大臣も同様にまだ理解は広がっていない、深まっていないと感じておられるのかどうか、この点御見解、御認識をお伺いできればと思います。政府としては情報発信に一層力を入れるとおっしゃっておりましたけれども、具体的に何か新しい取組を検討していれば教えていただけますでしょうか、よろしくお願いします。
A:一昨日福島県の内堀知事、大熊町の吉田町長、双葉町の伊澤町長から、県民及び国民の理解が十分に得られているとは言えない状況であり、正確な情報発信や万全な風評対策について、国が前面に立って責任を持って取り組むべきとの御要望を頂きました。この件については重く受け止めています。
ALPS処理水の処分に関しては漁業者、卸・小売業者、消費者など、幅広い方々に御理解を頂くことが重要と考えており、これまでも説明会ですとか様々な機会を通じて県民、国民の皆さんに御説明してきましたが、まだ十分ではないという御指摘は真摯に受け止めて、引き続きこういった丁寧な説明会を続けていきたいと思います。より一層力を入れて、国内外の多くの方々に対して科学的根拠に基づいた情報をお届けしたいと考えており、効果的な情報発信の方法についても検討を重ねて、具体化したものから実施していきたいと思っています。
いろいろ考えていますが、どういうものが一番皆さんに分かりやすいのか、あるいは年代層ですとか業種別、関心事項が異なりますので、そういったところにきちんとフォーカスを当てた発信ができるようなことを今準備しています。
私来週も福島に行きますし、再来週も福島に行く予定でございますので、現地の皆さんとも直接お会いしながら、信頼関係をしっかり高めて、情報発信については様々なツールを使って、より分かりやすい説明ができるように準備を急いでいきたいと思います。
以上
最終更新日:2023年4月11日