2022年8月26日(金曜日)
11時07分~11時25分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
グループ補助金
まず、本日の閣議におきまして、本年3月16日に発生をいたしました福島県沖の地震の被災事業者に対するグループ補助金の増額のために約81億円の予備費の閣議決定をいたしました。今後も被災された事業者の方々、また地域の復興に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
冒頭私からは以上です。
質疑応答
原発政策
Q:お伺いさせていただきます。
先日GX実行会議の関連で2点伺わせてください。
GX実行会議で総理から原発の新増設、リプレイスについて踏み込んだ発言があったかと思われます。原発の積極活用には国民の理解が不可欠だということですが、福島第一原発の事故から10年以上たった今その議論は二分されております。大臣はどのような取組が今後必要と考えるか、まず見解をお聞かせください。
また、昨年10月に改定した現在のエネルギー基本計画では可能な限り原発依存度を低減との記述があり、それと矛盾するとの指摘もありますが、今後その修正や見直しの必要性があるとお考えか、以上2点お伺いさせてください。
A:まず、岸田総理からの御指示についてでありますけれども、御案内のとおりエネルギーの供給をめぐる内外の情勢変化、国民生活や産業基盤となるエネルギーでありますこの安定供給に万全を期していくと、これを万全なものとしていくということは極めて重要な課題であります。将来にわたって我が国のエネルギーの安定供給を万全のものとするため再構築をしていく、そのために原子力も含めてあらゆる選択肢を確保していくことが重要になっております。こうしたエネルギー政策上の課題とその解決に向けた取組の方向性については、正に国民の皆様に理解を得ながらしっかりと丁寧に説明をしていく、その必要があるというふうに考えております。
今後経済産業省の審議会におきまして検討を進めていくことになりますが、開かれた形で専門家の御意見も伺いながら検討を進めていくと同時に、国民の皆様にも理解を深めていただけるよう、できる限り丁寧に分かりやすい形で進めていきたいと、説明もしていきたいというふうに考えております。総合エネルギー調査会、審議会は完全にフルオープンで行われておりますので、今後もそのような形で開かれた形で国民の皆さんにも理解を深めていただけるように進めていきたいというふうに考えております。
それから、エネルギー基本計画との関係でありますけれども、エネルギー基本計画においては、可能な限り原発依存度を低減するという記述がございます。これは徹底した省エネ、それから再エネの最大限導入を進めていく中で、震災前は原子力比率が約3割であったわけですけれども、その状態から可能な限り原発依存度を低減させて、2030年には原発の比率を20から22%を目指すというふうに記載がされているところであります。ちなみに今は3.9%、約4%ということでありますが、徹底した省エネ、再エネの最大限導入を進めていく中で、20から22を目指すという趣旨であります。
今回原子力について、あらゆる選択肢を排除せず次世代の革新炉の開発、建設を検討するということにしたのは、こうした記述と何ら矛盾するものではないというふうに認識をしておりますので、何か変更しなければならないと、見直しが必要であるということは考えておりません。
Q:よろしくお願いします。
原発の関係でお伺いします。
新増設というか、次世代原子炉の開発・建設、運転期間の延長といった検討については、これまでの原子力政策からの転換点というふうにお考えでしょうか。
A:先般のGX実行会議で総理から御指示があったところですけれども、総理からの御指示は、正にGXを進めていく上で不可欠な再エネ、原子力などの脱炭素エネルギー、これを将来にわたる選択肢として強化するためのあらゆる方策について検討し、年末に具体的な結論を出すようにという指示があったところであります。これまでも安全性を大前提としてエネルギーの安定供給、経済効率性、それから環境への適合の同時達成を目指すいわゆるSプラス3E、この大原則に基づいて対応してきたわけですけれども、今後もこの大原則の重要性は変わりませんし、その下で総理の御指示をしっかりと受け止め、エネルギー政策を推進していきたいというふうに考えております。大原則の下で進めていくということであります。
Q:特に転換したというふうなお考えはないということでよろしいでしょうか。
A:将来にわたる選択肢を強化をしていくためのあらゆる方策について、検討を開始をするということでありますので、その検討も今申し上げたようにSプラス3Eの大原則の下で進めてまいりますので、何か大きな総理からの御指示で何か変更を今の時点で何かするというものではなく、大原則の下であらゆる選択肢を追求すると、強化をしていくということで検討を始めるということです。
Q:先ほど大臣からもお話がありました経済産業省内の専門部会では、次世代革新炉について技術ロードマップが既に示されています。中には2030年半ばにも革新軽水炉を運転するといった工程案が公表されたわけですけれども、今回のGX実行会議での中での議論は、この省内の議論を踏まえた上で進めていくという理解でよろしいのでしょうか。
A:御指摘の技術ロードマップでありますけれども、これは産官学の関係者がまさに次世代革新炉の研究、開発を行っていく上での目標時期として審議会で議論を行ってきたものであります。実際の運転開始時期を示したものではないということであります。その上で今後の次世代革新炉の開発、建設についてはこうした研究開発の観点からの議論も参考にしながら検討は進めていきたいというふうに考えております。
Q:再稼働や新増設に関する地元の同意についてお尋ねします。
地元の同意というのは、自治体と事業者が結んだ安全協定に基づくもので、法的に求められるものではないのではないかと思っていますが、エネルギー危機が叫ばれる中であっても、今後も地元の同意なく再稼働や新増設をすることはないという理解でよろしいでしょうか。
A:震災以降提唱しておりました原子力発電所を再稼働させていくに際しては、原子力規制委員会が新規制基準に適合するということを認めた場合には、もちろん安全性確保が大前提でありますので、この新基準に適合すると認めた場合にはその判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の方針でありますので、その方針に変わりはありません。
サハリン2
Q:ちょっと話題は変わりますけれども、サハリン2ですが、三菱商事と三井物産がロシアが新設した新会社に参画する方針を決めたということですけれども、サハリン2の権益維持とLNGの安定供給に向けて政府として商社2社とどう連携していくか、また支援していくのか、伺えないでしょうか。
また、ロシア政府から通知があって、3日以内に株式取得を認めるか判断しますけれどで、ロシア側が承認するかどうかこれをどう見ているか、見通しについて2点伺えないでしょうか。
A:三井物産と三菱商事が正式に同意の意向を固めたということは承知をしております。今後申請期限の9月4日までに両社からロシア政府に対して新会社への参画同意の申請を行って、その後ロシア政府が参画の可否を判断するというふうに承知をしております。おっしゃるとおりであります。
引き続き状況をよく注視しながら、正に両社とも密接に意思疎通を図りながら、官民一体となって、我が国へのLNGの安定供給に万全を期していきたいというふうに考えております。以上です。
Q:サハリン2の関係です。
今後商社とロシア側とで条件面での交渉というものが予想されますけれども、商社を支援するために日本政府からロシア政府に対して働きかけるといった、そういった対応は考えていますでしょうか。
A:ロシアとの関係においては、当然必要なやり取りは行ってきておりますし、必要なことはやらなければいけないと思っておりますが、外交上のやり取りでもありますので、これ以上のことは控えたいと思います。
いずれにしても民間企業2社、両社と緊密に意思疎通を図りながら、政府としてもLNGの安定供給に万全を期していきたいというふうに考えております。
GX担当大臣としての抱負
Q:大臣、37年前、石油計画課だったと思うのですけれども、それから大臣で帰ってこられて、それで今回GXという最も難しいテーマの担当大臣になったと、このことの受け止めと、いわゆるある種の男子の本懐ではないですけれども、これをやりたかったという担当大臣の非常に難しいと思うのですけれども、GX担当大臣としてどんなふうに今お考えなのか、それを伺います。
A:37年前に資源エネルギー庁の石油部計画課というところ、今資源・燃料部の総括課に1年生で入りまして、約3年石油部におりました。ちょうど特石法の制定から、あるいは流通の規制緩和の方向が始まりかけた頃でありまして、ある意味大きなエネルギー安定供給の大目標、大前提と併せて効率化をしていく、競争を促していくという自由化の流れとその最初の頃でありまして、様々な経験を積ませていただきました。海外の中東からの石油の確保などの仕事もやらせてもらったりしました。当時から日本は資源、エネルギーの乏しい国だということで、エネルギーの安定供給を最重要課題として取り組まなければならないということで、最初にいろいろ学んだその経験もぜひ今回も生かしていきたいと思っています。
同時に地球環境の仕事も経済産業省でやらせてもらいまして、92年のブラジル・リオでの地球環境サミットにも当時は手伝いで行ったわけですけれども、当時の各国のやり取りなども見させていただきまして、正に気候変動への対応の最初の頃の対応を語らせていただいた、そうした経験も生かしていきたいと思っております。
正に時代が大きく変化をする中でエネルギー、電力の安定供給、そして併せて気候変動への対応という2つのことを両立していかなければいけないと、大変難しいGX担当大臣という任務をいただきましたので、私のこれまでの経験とか、海外との議連なども通じて様々な人間関係もありますので、そうしたものも生かしながら、何としても日本の将来に最も重要なエネルギーの安定供給、電力の安定供給、総理からも御指示をいただきましたので、しっかりと検討し、確かなものにしていきたいというふうに考えております。
原発政策
Q:ありがとうございます。
次世代軽水炉、次世代原発についてお伺いしたいんですけども、今回、新設の検討、それから廃炉しないとされた次世代炉のことなんですけれども、ワーキンググループの資料から察するに、革新軽水炉と呼ばれるEPRからAP1000なんかがあって、その後に小型モジュール炉や高温ガス炉、それから高速炉というふうになっていくと思いますけれども、国際的には、革新軽水炉、一番最初に検討されている革新軽水炉は、次世代というカテゴリーに入らないというようなことも聞きますし、原子力規制委員長もそのように御発言されていたんですけれども、この建設を検討するとされた、この次世代原発の定義について教えていただきたいのと、また、その意味で、この次世代とされる原発、以前のものは、いまだに新増設の想定はされていないんでしょうか。
A:まず、次世代革新炉でありますけれども、御指摘のように革新軽水炉、それからいわゆるSMRと呼ばれる小型モジュール炉、それから高速炉、高温ガス炉などですね、様々な炉型の研究開発が進んでおります。先ほども御質問あった、そのロードマップで研究開発の目標みたいなものも議論されてきたところでありますので、当然今後の検討に当たっては、そうした炉型についての研究開発の状況とか、それからサプライチェーンにおける製造能力とか、そういった様々な要素を勘案しながら議論を進めていくことになります。
いわゆる革新軽水炉について言えば、半地下型にしてあったり、それから万が一、炉心が溶融したときに冷却するコアキャッチャーと言われるものが整備をされていたり、あるいは、放射性ガスが分離、貯留する機能があったり、そうした機能を加えてるということも研究開発の中で公表されておりますので、そういったことも勘案しながら対応していくということになります。
以前のというか、今の原発についてはですね、正に原子力規制委員会が安全性の基準をしっかりと審査をされてますので、その原子力規制委員会の判断を尊重して対応していきたいというふうに考えております。
Q:次世代以前のものは、新増設はいまだに想定されてないんですか。
A:今後どういうふうするかについては、正にこれから検討を始めるわけですので、総理から御指示があったのは、正に新型、次世代型の革新炉の開発、建設などということになってますけれども、今後、安定供給、エネルギーの安定供給を確かなものとしていくために、あらゆる選択肢を確保していく、強化をしていく、そのために年末に向けて結論を得られるように、検討を進めたいというふうに考えております。
サハリン2
Q:1点だけお願いします。
三井物産と三菱商事がですね、既にロシア側に通知したかどうかについては大臣、聞かれてますでしょうか。
A:これは民間企業の手続でありますので、申請が完了したか否かについては、お答えは差し控えたいというふうに思います。いずれにしても、密接に意思疎通を図っておりますし、今後も図っていきたいと思います。
最終更新日:2023年4月11日