2023年4月25日(火曜日)
9時36分~9時48分
於:本館10階記者会見室前
冒頭発言
避難指示解除
おはようございます。私から冒頭2点申し上げます。まず1点目、本日、原子力災害対策本部会議を持ち回りで開催いたしました。福島県飯舘村の特定復興再生拠点区域及び拠点区域外の公園用地につきまして、5月1日に避難指示を解除することを決定いたしました。今回の解除によりまして、特定復興再生拠点区域のほとんどが解除されることになり、また、住民の居住を想定しない産業用地や公園利用等の特定目的で土地を活用する、いわゆる土地活用スキームにより、初めて拠点区域外の解除が行われることになります。
もうこれまでも申し上げていますとおり、避難指示解除はゴールではなく、復興に向けた言わば新たなスタートであります。引き続き、安心して帰還できる環境整備に取り組んでいきたいと考えております。
私もタイミングを見て視察も考えたいと思っています。詳細は後ほど事務方から説明をいたします。
先端半導体
2点目、次世代半導体製造拠点を目指すラピダス社の2023年度の計画を承認し、2,600億円の追加支援を決定したことを公表したいと思います。今回、承認した計画におきましては、ラピダス社の今年度の取組として、製造拠点建設に向けた基礎工事を進めるとともに、IBMやアイメックとの技術開発を本格化する予定となっております。なお、次世代半導体の関係では、産総研や理研、国立大学などで構成されます研究開発組織LSTCが先日、技術ロードマップを策定しており、さらに本日、次世代半導体の設計に関する人材育成プログラム案を公表いたします。
ラピダス社は、先日、製造拠点を北海道千歳市に設立することを発表いたしました。地元自治体なども立地推進体制の整備などの取組を順調に進めております。北海道で人材育成も進めていこうという取組が進んでおります。経産省としては、引き続きこれらをはじめとする国内外の関係機関と連携し、次世代半導体プロジェクトを推進していきたいと思います。
今後もですね、何年間かにわたってかなりの投資になると思いますが、外部、有識者による事業の進捗状況の確認、あるいは国際的な技術動向、市場動向、様々進捗を見ながら今後も必要な支援を行っていきたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
韓国輸出管理
Q: 1問伺います。韓国政府がですね、24日に輸出手続を簡略化する優遇国に日本を復帰させると発表しました。これについての受け止めとですね、あと、この関係で言うと、今日まで局長協議開かれていますけども、いわゆるホワイト国復帰の見通しについてはいかがでしょうか。
あと、最後、今回のこうした協議を含めてですね、日韓通商関係のあるべき姿について、大臣の見解があれば教えてください。
以上です。
A: まず、韓国産業通商資源部が24日に韓国輸出管理制度における日本の扱いを、いわゆるホワイト国と言われていますけど、優遇対象国復帰させるための告示改正を行ったと承知しております。日本としては、従前から国際的な枠組みに基づきます輸出管理を、これはもう適切に実施してきておりますので、韓国側がこれを認めですね、従来の措置につき適切に見直すということについては歓迎をしたいと思っています。我が国としてはですね、今御指摘ありましたように、昨日、本日と韓国側が来日しておりまして政策対話を行っております。その政策対話を通じて、韓国のまさに通常兵器キャッチオールの運用状況など3品目、これまで課題だった3品目以外の幅広い分野における韓国側の輸出管理制度、運用状況について、更にその実効性をしっかりと確認をしていきたいと思っております。
政令上で二百数十品目あります、そのうちの特に機微なものについてですね、特に厳正に審査、確認をしていきたいと思っております。その中で韓国側の今後の姿勢を慎重に見極めてですね、結論ありきではなく、日本として輸出管理の観点から責任ある判断を行っていきたいと考えております。
日韓関係全体については、首脳会談などを通じて改善の方向に向かっておりますけれども、当然、対北朝鮮の対応など連携をしなきゃいけない部分は数多くあると思います。他方で私の関係で言いますと、韓国の日本産食品の輸入規制、あるいはALPS処理水の海洋放出についての韓国側の見解というか対応など懸念もありますので、これは両国で精力的に解決に向けて取り組む必要があると思っております。日韓の協力についてはこうした懸案事項の解決と並行する形で是非進めなければならないと思っております。
先端半導体
Q: 大臣から御説明いただいた、冒頭御説明いただいたラピダスについてですけれども、今回2,600億円の補助金を出すということで、前回に足して3,300億円になりますけども、これは大きな財政支援になります。一方で、ただラピダス、27年の量産化に向けて投資額が5兆円と見込んでいますけども、今後も政府としてラピダス社に対して大きな額の財政支援を講じていく必要があるとお考えでしょうか。もう一つ関連で、アメリカの半導体製造大手のグローバルファウンドリーズがIBMに対して知的財産や営業秘密をですね、ラピダスなど取引先に違法に共有したということで、賠償金と営業秘密の使用差止めを求める訴訟を米国で起こしております。この訴訟によるラピダスとIBMとの共同の研究開発について、次世代半導体の量産化に向けた研究開発に対して影響があるかどうか、その辺どう見ていらっしゃいますでしょうか。
A: まず、ラピダス社の今後については、まさに日米欧の半導体協力の象徴とも言うべきプロジェクトでありますし、これからの時代、まさにAI、5G、あるいはポスト5G、そして自動運転や様々な分野で最先端の半導体が戦略的に不可欠な技術となってまいります。それを日米欧で協力して進めていこうというプロジェクトでありますので、私どもとして総力を挙げてしっかりと支援していきたいと思っております。既に700億円と今回の2,600億円、そして今後も、先ほども少し触れましたけれども、技術の進捗状況とか外部の有識者による確認をしながら、国際的な動向も踏まえて、更に必要な支援をしっかりと行っていきたいという考えであります。それから、グローバルファウンドリーズがIBMを訴えているということで、報道は承知しておりますし、過去何度かそういうことがあったようでありまして、今回初めてではないと聞いております。
個々の企業間の訴訟でありますのでコメントは控えたいと思いますが、いずれにしましても、今申し上げたように、最先端、今の世代の製造基盤を確立すべく、ラピダス社は日米欧で連携して取り組んでいくということでございますので、時間も限られております。スピード感を持って取り組んでいく、そして我々としても、しっかりと支援をしていくという中で、そうした観点から、本件についても注視していきたいと考えております。
CPTPP
Q: TPPに関連してお伺いしたいんですけれども、ウクライナの現地報道によると、ウクライナがTPPの加盟申請を検討しているということになっております。大臣としては、このウクライナがTPPという枠組みに加盟申請するということに興味を持っているということについて、通商所管の大臣としてどう思うかということと、仮にウクライナがTPPに加盟申請した場合、TPPの加盟国の中には、ロシア・ウクライナ問題に対して中立的な立場を取る国もあると思います。こうした政治的な立場の違いが、加盟における加盟交渉に何らか影響するのか、そういった点も教えてください。
A: まず、ウクライナがCPTPPに関心を持って加入申請を検討しているという報道は承知しております。一般論で言えば、私も担当大臣をしておりましたし、今、通商の貿易担当の大臣として、自由で公正なルールに基づく貿易、投資の秩序、21世紀にふさわしい秩序を作っていこうと、このことに賛同する国々が、いわゆるハイスタンダードなルール、そしてマーケットアクセス、こうしたものを満たす形で加入を求め、加入していくということは、私は基本的には歓迎したいと思っております。ただ、現時点でウクライナから、協定の寄託者でありますニュージーランドに対して加入要請が通報されたとはまだ聞いておりません。本件について、政府として予断を持ってお答えすることは控えたいと思いますし、今申し上げたように、市場アクセス、ルール双方でハイスタンダード、高いレベルの基準を完全に満たす用意ができているかについては、そういう希望する国々、地域、まずはしっかりと見極める必要があると認識しております。そして、何か加入条項に、太平洋地域になければいけないとかということはありませんので、加入の申請はできるんだと思います。
それからもう一点、関係することで申し上げると、ウクライナはEUに対して加盟申請を提出済みであります。仮にEUへの加盟が実現すれば、域外に対する統一的な通商政策をEUが実施するということになりますので、EUの中の一つの国がCPTPPに入ることはできないということになります。この辺り動向を見ながら、そしてさらには、これも一般論ですけれども、戦略的な視点あるいは国民の理解なども踏まえながら、こうした新規加入に関心を示すエコノミーの動向は注視していきたいと考えております。
最終更新日:2023年4月25日