2024年5月17日(金曜日)
10時35分~10時47分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
北海道出張
おはようございます。初めに私から1点お話しします。
明後日19日、北海道に出張し、ラピダス社の建設現場を視察します。ラピダス社の開発している2ナノの次世代半導体は、自動運転や生成AI等、幅広い産業におけるデジタル化や脱炭素化の実現に不可欠であり、我が国産業の未来の経済成長を左右するキーテクノロジーです。また、経済安全保障の観点からも重要な戦略物資です。今後、世界で大きく増加していく需要を我が国が取り込んでいく上でも重要であると考えています。
さらに、ラピダスプロジェクトは熊本のTSMC・JASMのように、関連産業の投資や雇用といった幅広い波及効果を生み出すことも期待できると思っています。
これまで外部有識者にも開発状況を厳しく精査していただいた上で、合計で最大9,200億円の支援を決定しています。当日は私自身の目でパイロットライン建設の現状について確認するとともに、開発状況の進捗や今後の見通しなどについて、現場の方も含めて意見交換を行う予定になっています。
私からは以上です。
質疑応答
エネルギー基本計画
Q:第7次エネルギー基本計画の改定に向けた議論が、総合資源エネルギー調査会で始まりました。今後各論点について有識者へのヒアリングを実施していくことが示されていますが、部会の会合で委員の方から、議論の在り方について若者など幅広い世代の人たちの意見も聞くように努める発言がありました。今後の議論の進め方についてどのような在り方が望ましいと大臣はお考えでしょうか。
A:次期エネルギー基本計画の策定に際しては、若者を含め、様々な立場の御意見をお伺いしながら、施策を検討していきたいと考えています。
そのため、エネルギー基本計画の策定に際しては、審議会の委員による議論に加え、パブリックコメントの実施による様々な方からの意見の取り込み、あるいは審議会の検討過程における様々な立場の団体などへのヒアリングの実施、さらには審議会と並行して、ホームページで常時広く意見を受け付ける「意見箱」の設置などを行ってまいります。
また、審議会の資料や議事録は全て公開し、当日の審議会の様子もユーチューブで誰もが全て見ることができるようにするなど、議論の透明性を確保していきたいと思っています。
加えて、我が国の置かれている厳しいエネルギー状況などについて、ホームページを通じた様々なテーマを解説した記事を定期的に配信したり、エネルギー問題の理解を深める動画の配信なども行っていきたいと思っていますので、それらを通じて国民の皆様に我が国を取り巻くエネルギー情勢の分かりやすい発信に努めていきたいと思います。
このように様々な手段を活用しながら、若い方を含めまして、様々な立場の方の意見を政策に反映できればと考えています。
エネルギー基本計画
Q:今の質問に関連してなんですが、エネルギー基本計画のキックオフの会合で大臣が、今、日本のエネルギー政策における戦後最大の難所にあるという問題意識を表明されました。戦後のエネルギー情勢を振り返ると、70年代のオイルショックを機に資源エネルギー庁が設立されて、安定供給を含めた政策に取り組んできたと理解しています。
戦後最大の難所とは、当時をも上回る状況というふうに理解できますが、改めて今置かれた状況の厳しさについて、どういった問題意識があるのかお聞かせください。
A:私は、大学を出て当時通産省に入りまして、最初に配属されたのが資源エネルギー庁の総務課でして、以後40年ぐらいたつのですが、直接、間接にエネルギー政策を見てきたという経験をしてきています。
オイルショックの話がありましたが、私はそのときと質の違う難しい問題を抱えていると思っています。今月15日の審議会において、戦後最大の難所にあるとの強い危機感を持っているという表現をしました。まず、2050年のカーボンニュートラル実現に向けての道筋がまだ具体的に描けていません。そういう状況の中で、今後、電力需要が増大する可能性が出てきているわけですが、それがどの程度のものになるか、なかなかそれも読みにくいと考えています。
さらには、様々な技術開発を行っていますが、その進展度合いを読むこともなかなか容易ではないという状況にあります。一方でしっかりと脱炭素電源を安定供給できないと国際競争力にも影響が出るといった視界不良の中で、リードタイムの長いエネルギー政策の船を出していかなくてはならないという点で、過去にはない難しさがあるのではないかという趣旨で、こういった表現をさせていただきました。
このような強い危機感を持って次期エネルギー基本計画の策定に向けて取り組んでいきたいと思っています。
エネルギー基本計画
Q:私も関連してエネ基についてなんですけれども、先日のGX実行会議で、岸田首相から単一の前提ありきでエネルギーミックスの数字を示す手法には限界があるという発言がありました。このたび議論が始まった次期エネ基なんですけれども、今後どのような考え方に基づいてミックスを議論していくかお聞かせください。
また、議論を進めるに当たって、今、これまでにないような危機感というお話もありましたけれども、これまでどおりS+3Eを前提とするその原則は変わらないという理解でよろしいんでしょうか、お考えをお聞かせください。
A:今月13日に開催された第11回GX実行会議において、岸田総理から、「単一の前提ありきでエネルギーミックスの数字を示す手法には限界」との発言があったと認識しています。
これは、先程私がお話ししたのと同様に、将来のエネルギー需要や技術革新に関する不確実性が高まる中、単一の前提ではないエネルギーミックスとしていくべきとのお考えだと理解しています。
新しいエネルギーミックスの在り方については、今後、審議会で具体的に検討を行っていくことになりますので、しっかりと検討していくということに尽きます。
また、S+3Eについては、エネルギー政策の要諦ですから、私はこの原則自体は変わらないと思っています。15日の審議会においても、委員から、次期計画においても、原則として堅持すべきとの御発言を複数頂いており、この原則の下で次期計画の改定に向けた議論を進めていきたいと思っています。
日産自動車下請法違反
Q:日産自動車が、公正取引委員会が下請法違反に基づく再発防止の勧告をして以降も、複数の下請業者に対して一方的に減額や買いたたきを迫っているということが取材で分かりました。その報道を受けまして、今週、自民党の中小企業調査会でも、また経済同友会の新浪代表幹事も、この日産の対応を厳しく非難しています。中小企業の賃上げでありましたり価格転嫁を強く要請している経済産業省としてどのように見ているのか、大臣のお考えをお聞かせください。
A:まず、報道はもちろん承知しています。日産自動車に対しては、これまで公正取引委員会の勧告を踏まえてしっかり対応するよう指示しています。今回の報道内容については、至急、事実関係を調査し、報告するよう求めています。
仮に、この代金減額を含め下請法の違反行為の是正を勧告されたにもかかわらず、違反行為が是正されていないとの事実関係があるのであれば、法令遵守の観点のみならず、経済界を挙げて進めている価格転嫁に水を差すものであり、極めて遺憾です。
いずれにせよ、繰り返しになりますが、日産自動車に対しては、至急に事実関係を確認して報告するよう求めておりますので、その報告内容を踏まえて対応を検討したいと思っています。
高レベル放射性廃棄物最終処分場
Q:佐賀県玄海町の文献調査に関しまして、町から提出された要望の受け止めと今後調査が開始されるまでのスケジュールについてお聞かせください。
A:昨日になりますが、玄海町から当省の担当部署へ、文献調査実施の申入れを受諾する文書を郵送したとの電話連絡がありましたが、現時点はまだ文書が到着していないとのことですから、その内容や今後のスケジュールに関するお答えは、今この瞬間は難しいと思います。
その上で一般論として申し上げれば、例えば風評被害対策については、処分地選定に向けた調査期間中に放射性廃棄物は一切持ち込まないことや、文献調査を開始しても地域の環境に物理的な影響を及ぼすことはないこと、最終処分事業の安全確保に関する考え方などについて、正確な情報提供が重要だと思っていますので、地域の声にしっかりと向き合いながら、丁寧にコミュニケーションを重ねながら理解を深めていただけるよう、必要な情報提供等に取り組んでいきたいと思っています。
また、文献調査の開始に向け、原子力発電環境整備機構(NUMO)などの関係機関とともに、調査が適切に実施できるよう丁寧に準備を進めていきたいと思っていますが、いつまでにどうというのは、まだ今の時点では申し上げられません。
※実際の発言は「文献調査実施の受入れ」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。
以上
最終更新日:2024年5月17日