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武藤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2025年1月24日(金曜日)
11時11分~11時20分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

M&A支援機関登録制度における登録取消し

私から1点申し上げます。
国の「M&A支援機関登録制度」に登録されているM&Aの仲介事業者、「株式会社M&A DX」について、同社が仲介した買手が資金力に疑義があり、仲介するには不適切な事業者であることを認識しながら、売手にこの買手を紹介し、M&Aを成立させた事実が確認されたところです。
この行為については、法律の専門家等からなる第三者委員会に諮ったところ、「中小M&Aガイドライン」において求められる、いわゆる善管注意義務に反するとの見解が示されました。このため、本日付で同社の登録を取り消すことにいたします。
また、これとは別の仲介事業者でありますけれども、売手に対して、買手に関する適切な情報提供を行わないままM&Aを支援した案件があり、この仲介事業者に対し注意喚起とともに適切な対策の検討実施を指示しました。
中小企業の皆様にとって、M&Aは事業承継や成長のための重要な手段であり、安心して取り組むことができる環境整備が大変重要であります。
今回、「M&A支援機関登録制度」において初めて取消しを実施することとなりました。
今後も「中小M&Aガイドライン」の違反が確認をされた場合には、登録取消しも含めた対応を検討し、規律の浸透に努めてまいります。
詳細については事務方からブリーフィングを後ほど行いますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。

質疑応答

春闘

Q:幹事社から2点お伺いいたします。
1点目が今年の春闘についてです。今週22日、経団連と連合のトップ会談が行われまして、今年の春闘が事実上スタートしました。歴史的な物価高になる中で、一昨年から続く高水準の賃上げを実現するには、中小企業の賃上げが広がるかどうかが焦点になっていると思いますが、賃上げに向けてどのような議論を期待されているのか、また、政府として今後の取組を改めて伺わせてください。

A:御承知のとおり、昨年の春季労使交渉において賃上げ率は5%を超えて、33年ぶりの高水準でありました。
今後、物価高に負けない持続的な賃上げを定着させる、昨年の勢いで大幅な賃上げを行って、その流れが中小企業や地方にも行き渡ることが大変重要であると承知しています。  
このため、昨年11月に実施されました政労使の意見交換会において、石破総理から、労使の代表の皆様に対して、賃上げの協力を要請したところであります。
経団連及び連合におきましても、昨年までの賃上げの勢いを定着させ、中小企業にまで賃上げが波及することが重要であるとの考えを示されていると承知しています。是非、こうした方向で、労使における真摯な議論が今後引き続き行われることを期待していきたいと思います。
経済産業省といたしましても、賃上げを進めやすい環境を整備するため、昨年取りまとめた経済対策ですとか補正予算において、取引適正化の推進、生産性向上・省力化投資への支援、そして、成長分野への国内投資などに取り組むことにしております。
今後、予算の執行などを通じて、具体的な動きを後押ししてまいりたいと思います。

トランプ大統領による関税強化の方針

Q:2点目なのですが、米国の関税強化の影響についてお伺いします。
トランプ米国大統領が就任初日にカナダとメキシコへの25%関税の検討を打ち出されましたけれども、翌21日にも中国やEUへの追加関税を課したいと、続々と関税強化が打ち出されている状況であります。こうした関税措置に対しては、大臣は今週の前回の閣議後会見でも「日本企業への影響を十分に精査していく」と御回答されていました。
現状でメキシコ、カナダ、こちらに現地工場をアメリカ向けの輸出基地として整備している日本の自動車メーカー、そのサプライチェーンも影響あると思うのですけれども、こうした影響についてどう御覧になられているかというのをお願いします。

A:繰り返しになりますけれども、前回の会見のときでも、今後明らかになる様々な関税に関する措置の具体的な内容ですとか我が国への影響、これは十分に精査していかなくてはいけないということは申し上げたとおりです。今後も適切に対応してまいります。
その上で、カナダ・メキシコでは自動車メーカーをはじめとして、私の地元の会社もメキシコに進出をしておりますし、日系企業がサプライチェーンを構築している。こういう特に関連する日系企業への影響、これをよく見極めていかなければいけないと思います。
また、カナダ・メキシコ政府の動向も私も一緒に動向をよく注意していきながら、対策を考えていかなければいけないと思っています。

M&A支援機関登録制度における登録取消し

Q:冒頭発言に関連してお伺いします。仲介会社の登録取消しという措置に踏み切りましたが、中小企業庁としてはどのような証拠物を確認し、善管注意義務に違反していると判断したのでしょうか。
また、今回の場合、DX社と他の仲介会社が買手に関する情報を共有していればトラブルを防げた可能性もあると思われますが、改めて注意喚起など業界団体や個別に求めることがあればコメントをお願いいたします。

A:どのような証拠物を確認等、いわゆる調査の詳細につきましては、個別案件に関わってくるので、回答を差し控えなければいけないと思います。
一般的な話で言えば、売手や登録機関への聴取等によりまして、事実関係を確認の上、第三者委員会の意見を踏まえて、対応を決定しているところであります。
もう一つの業界内の情報共有全般に関しましては、昨年8月の「中小M&Aガイドライン」、この改訂の際に、広くM&Aの支援を行う事業者の業界に対し、不適切な買手に関わる情報共有の仕組みの構築を促したところです。併せて、こうした事業者に対して、当該仕組みへの参加の有無を、仲介する売手に説明することを義務づけたところでありまして、業界団体において、当該仕組みの運用も開始されており、幅広い事業者の参画を期待しているところであります。
今回の取消しは、あくまで当該M&Aの仲介事業者が、「中小M&Aガイドライン」に反する行為を行ったことに対して実施するものであって、特定の買手に関する質問への回答は控えさせていただきます。また、「M&A DX」に関しては、今後も必要に応じて調査を行ってまいります。
詳細は、また後ほど事務方からブリーフしますので、お尋ねください。

通常国会への対応

ソフトバンクグループによる米国のAIインフラ整備への大型投資

Q:2点お伺いします。
1つは国会関連で、今日から国会ですけれども、経産省としても幾つか法案を出される予定だと思われます。なので、その中で経産省としての狙いと特に注力したいことがあれば教えてください。
もう一点がアメリカ関連で、先日ソフトバンクグループの孫正義さんがAIインフラの大型投資案件を発表されるなどございました。現状でもアメリカはAI関連の研究で世界をリードしていると思いますけれども、今回の動きを受けて、よりアメリカ一強の構造が加速するような印象もあるのですけれども、日本政府としての何か受け止めがあれば教えてください。

A:通常国会が今日から開会いたします。
当初予算について、経済産業省関係では地域の波及効果も大変大きい、また、継続的な賃上げ実現に欠かせないGXとか半導体分野の国内投資の支援策が入っております。年度内成立に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
また、経済産業省の関係で4本の法案を国会に提出することを検討しております。
それぞれの法案は、次世代半導体の量産体制設備の支援、また、排出量取引制度の具体化、そして、早期の事業再生のための制度の創設、下請取引の適正化の徹底等を目的としております。
以上4つなのですけれども、いずれも日本の今の経済が直面する喫緊の課題に対応するための法案でもあり、会期内の成立に向けて全力で取り組んでまいります。
少数与党であるという我々の立場、ここもよく十分に踏まえて、予算も法案も野党の御協力なくして成立はあり得ませんので、各党の皆さんにも御理解をいただけるよう分かりやすく丁寧な説明を心掛けるとともに、各党の意見にもよく耳を傾けて成案に結びつけていきたいと思っております。
それから、ソフトバンクの件ですけれども、民間の個社の案件について政府としてコメントすることは控えさせていただきますが、日本企業が関わる投資案件が米国政府に歓迎されるということは、日米経済関係の更なる深化・発展につながるものと受け止めております。
政府としても、国益に資する形で日米経済関係を深化・発展させていくために、新政権と緊密に意思疎通を図っていかなくてはいけないと思っております。

※ 実際の発言は「GX法案」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

日本銀行の金融政策決定会合

Q:今日、日銀が金融政策決定会合で追加の利上げを議論するという考えを示していまして、金利が上がる世界というのが日本も本格的に到来すると言われていますけれども、日本経済への影響とか中小企業が特にどのように構えていくべきかというところを大臣の御所感を教えてください。

A:それは金利の問題なので、私が直接コメントする立場にはないかもしれませんが、中小企業の立場から言えば非常に微妙な問題なので、私どもとしても経済政策の中で、一環として注視をしていく課題だと思っています。
金利が上がって、商売への影響というのは各界それぞれでしょうから、現場の声をよく聞き取りながら対策を取っていくということになるのだろうと思います。
以上、よろしくお願いいたします。

以上

最終更新日:2025年1月24日