2025年5月30日(金曜日)
9時56分~10時06分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
なし質疑応答
日米関税交渉への対応
Q:まず、日米関税交渉についてです。赤澤大臣、今日4回目の閣僚交渉に臨む予定となっておりまして、今後、OECD閣僚会議での交渉も模索する考えを示されています。経産大臣として、今の交渉の進捗状況をどのように見ていらっしゃるのか、また、米の国際貿易裁の関税差止命令とその後の控訴裁の停止の動きの受け止めも併せて伺えたらと思います。
A:赤澤大臣が4度目の日米協議のために渡米をされたと承知をしているところです。日米双方にとって、これもいつも申し上げますけれども、利益となる合意の実現に向けて議論が進展することを期待しておるところです。
また、御指摘の判決等も承知しているところです。引き続き、本件に関する米国の動向を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと思っております。
Q:関税交渉に関してもう一点だけ、交渉をめぐって政府が米企業製の半導体数十億ドル分を購入する案を提示しているとの一部報道がありました。事実関係を伺いたいのと、また、もし、日米の合意内容に含まれた場合、ラピダスを含む国内半導体産業への影響についての見解も併せてお願いします。
A:御指摘の報道については承知をしているところですけれども、日米協議における議論の詳細については、申し訳ありませんけれども、外交上のやり取りでありますから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
また、ラピダスの量産開始に当たって、2027年度ですけれども、これは経済産業委員会でも御質問を受けましたが、世界全体で供給量を大きく超える最先端の半導体の需要が存在するものと見込んでいるところでありまして、半導体を日本が購入するか否かにかかわらず、ラピダスプロジェクトの影響はないと考えているところであります。
日本製鉄によるUSスチールの買収
Q:日本製鉄によるUSスチールの買収計画についてなのですけれども、トランプ大統領は両者のパートナーシップを認めると言いつつ米国が支配するとも発信されています。黄金株を米国政府側に渡すという案も出ておりますけれども、大臣として、どのように事態を御覧になっているのか、どのような決着を期待しているのかというところをお聞かせください。
あと関連して、一連の経緯では日本企業が政治的な思惑に振り回されるような形になっておりますけれども、今後の日本企業による対米投資に影響が出かねないのかどうか、そのあたりお考えがあればお聞かせください。
A:御指摘の報道は承知しているところであります。これまでの説明でも、繰り返しになってしまいますけれども、個別企業の経営に関する事柄ですからコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしましても具体的な投資計画については民間の関係者において検討・調整が進められていくものと考えており、政府としては必要に応じ関係者間の意思疎通の促進に努めてまいりたいと思います。
また、対米投資がどうなるかという話ですけれども、そういう意味では、我々も今まで日本の産業の方々も大きく貢献をして、いろいろな形で投資を進めてこられています。御承知のとおり自動車にしてもそうですし、様々なことがこの関税問題で、今ある意味で、大変それぞれの皆さん、懸念感を持っているのもこれも事実だと思います。
我々としては、今回、また赤澤大臣に行っていただいて、そしてアメリカとの交渉がそれぞれ共生できるような形、ウィン・ウィンによくなるという言い方をしていますが、そのような交渉ができるように、そして民間の企業の方々には予見性というものが大事ですから、そのような中で進展していくことを望んでいるところであります。
アラスカ・サステナブル・エネルギー・カンファレンス
Q:6月上旬に、アメリカのアラスカ州でエネルギー関連の会議が予定されていると伺っております。こちらでは、アラスカLNGプロジェクトも話題に上るのかなと思うのですが、経済産業省としてどなたか会議に参加される予定はあるのか、現在、アラスカLNGプロジェクトについて、経済産業省としてどのようにお考えか教えてください。
A:御指摘の現地会議、アラスカ・サステナブル・エネルギー・カンファレンスへの対応についての御質問ですけれども、経済産業省からは、松尾経済産業審議官が出席する予定であります。
このアラスカLNGのプロジェクトにつきましては、パイプラインの建設動向などの詳細に関して、米国政府や企業の関係者との事務的なやりとりを進めてきています。今回の会議においても有意義な議論が行われるものと期待をしているところでありまして、現状としては、このような形でコメントさせていただきたいと思います。
日産自動車による蓄電池の安定供給確保計画の認定取消し
Q:日産自動車は5月9日、経済産業省より認定を受けていました蓄電池の安定供給確保計画の申請を取り下げました。これに対する受け止めを教えてください。
また、経産省は蓄電池産業戦略において、遅くとも2030年までに年間150ギガワットアワーの蓄電池製造能力を国内に確立させることを目標に掲げています。日産自動車による当該申請の取消しがこの目標達成にどのような影響を及ぼすとお考えか併せて教えてください。
A:御指摘のとおり、本件は、日産自動車が業績回復の検討を進める中で計画を断念されて、政府としても認定を取り消したものであります。
同社の経営判断に対してのコメントは控えさせていただきますが、日産の計画が断念となっても、100ギガワットアワー以上の国内製造能力を確立する計画が、現在も確実に進捗しているところであります。
引き続き、「2030年までに150ギガワットアワー」の目標に向けて、全力で取り組んでまいりたいと思っています。
福島第一原子力発電所2号機から試験的に取り出した燃料デブリの分析結果
Q:昨日、東京電力福島第一原発2号機から試験的に取り出した燃料デブリの分析結果が発表されたと思うのですけれども、それに対する大臣の受け止めと研究成果の発表だけになったらいけないと思うのですけれども、どのように廃炉に使っていくかというあたりも大臣のお考えをお聞かせください。
A:今回報告されました分析の速報によれば、2回目の作業で採取された燃料デブリは、1回目と同様に核燃料由来の成分を含むこと、そして、1回目と比べると「色が明るい」ですとか、「表面に空洞がある」などの外見の特徴があることが確認されたと承知しているところです。
今年夏頃を目途に取りまとめる1回目の燃料デブリの詳細分析結果とあわせて、燃料デブリの性状や分布などに関して、一層の知見が得られるものと期待しているところです。
東京電力には、得られた知見を、燃料デブリの大規模取出しなど、今後の作業に適切に反映し、安全かつ着実な廃炉を進めていただきたいと思っているところです。
日米関税交渉への対応
Q:先ほどの幹事社さんの質問にもあったのですけれども、関税の関係でアメリカの国際貿易裁判所の差止命令についてなのですけれども、アメリカ政府はすぐに控訴しましたけれども、差止命令自体が今後の関税をディールしていく中で、日本政府にとって好転するような材料になり得るかどうかというのを大臣の見解を教えてください。
A:明確な答えが、いつもながらですけれども、日米協議に与える影響について予断を持ってお答えすることは差し控えなければいけないと思っています。
いずれにしましても、引き続き、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいきたいと思いますけれども、おっしゃるとおり、影響がしっかり出るかどうか、これは正直言って今も分からないというのが状況だと思います。できるだけ、さっきも言ったように、今日、また赤澤大臣も行っていますので、いい結果になるように、一步一步着実にアメリカとウィン・ウィンの関係になるように協議が進むことを祈っているところです。
以上
最終更新日:2025年5月30日