2025年7月15日(火曜日)
10時58分~11時12分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
長崎県及び福井県への出張
おはようございます。初めに私から2点申し上げさせていただきます。1点目ですが、諸般の事情が許せば、7月16日に長崎、そして、翌17日に福井県に出張をいたします。長崎では、三菱重工業関連の船舶や航空機エンジン部品などの製造拠点を視察する予定です。造船・航空機ともに、経済安全保障の観点から、国内の製造基盤強化や他国への輸出を含めたグローバルな連携が求められる分野であり、今後の政策の参考にしたいと考えております。福井県では、関西電力美浜発電所を視察し、安全対策の実施状況などを確認させていただきます。また、杉本知事と面談し、原子力発電所の安全対策や使用済燃料対策などについて意見交換を行う予定であります。
「GENIAC」プロジェクト
そして、2つ目でありますが、生成AIの基盤モデル開発を支援する「GENIAC」プロジェクトについて、3月から第3期の公募を行っていましたが、今般、24件を採択することを決定しました。本日、経済産業省のホームページにて公表いたします。今回採択した案件には、これまでも支援を実施している自動運転や創薬の分野に加え、新たに、製造機械の制御プログラムの生成や医療現場、建築現場などの分野で活用できる基盤モデルの開発が含まれています。経済産業省としては、本プロジェクトの採択案件にスピード感を持って社会実装され、経済活動や国民生活の変革につながるように、支援に取り組んでまいります。詳細は事務方にお尋ねいただきたいと思います。
以上であります。
質疑応答
長期金利の上昇
Q:1点目ですが、長期金利が今日、およそ18年ぶりの水準まで上昇しました。金利の上昇は企業にとっては返済負担が増えたりとか、設備投資を抑制したりするという側面もある一方で、業種などによっては金利収入が増えるという面もあるかと思います。いろんな側面ありますけれども、企業への影響をどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
A:長期金利は経済・財政の状況や海外、市場の動向等、様々な要因によって変動をします。ですから、そういう意味でコメントは差し控えたいと思いますけれども、経済産業省としては、官民挙げて2040年度に200兆円、国内投資の目標の達成など、積極的な産業政策に取り組んできているところでもあり、金利上昇による企業の資金調達や設備投資に及ぼす影響につきましては、しっかりと注視をしていきたいと考えています。
大阪・関西万博
Q:2点目です。大阪・関西万博は、今月13日で開催期間の半分を終えて、折り返し地点を迎えました。現状の評価と、併せて課題感などあればお願いします。
A:おっしゃられるとおり、7月13日、日曜日ですけれども、開幕から3か月となりました。会期の折り返しを迎えたところです。大変多くの皆さんに御来場いただいていることに関しては感謝を、この場を借りて申し上げたいと思いますし、私もジャパンデーで出張した際に、幾つかのパビリオンを訪れさせていただきました。いずれも魅力にあふれる趣向を凝らした展示であると感じたところです。今後も暑熱対策を始めとして、引き続き、日々直面する課題を改善していきたいと考えています。7月11日から水上ショーも再開され、そしてまた、花火をはじめ、夏休みならではのイベントの開催など更なるサービス向上に努め、多くの方々に最大限楽しんでいただけることで、来場者数の増加につながると考えているところであります。収支の見通しにつきましては、現時点で予断をもったコメントは差し控えますが、引き続き、販売面と支出面の双方を適切に管理をしながら、収支均衡に向け努力をしてまいります。
長期的な電源確保
Q:私からは長期的な電源確保の観点について伺えたらと思っています。電力広域的運営推進機関の電力需要予測で、2050年に原子力と火力の再稼働やリプレースが順調であっても電力需要が多ければ電源が不足する可能性が示されました。その中でどう脱炭素電源を確保していかれるでしょうか。特に、データセンターの需要に対応するにはベースロードで脱炭素電源である原子力の有用性を主張する意見もありますが、原子力発電所についてはどうお考えでしょうか。
A:7月9日に、電力広域的運営推進機関が公表した報告書によれば、今おっしゃられたようなデータセンターの新増設などによって、2040年や2050年に向けて、電力需要は増加する見通しが示されているところであります。また、この報告書に限らず、省エネ技術の進展を踏まえたとしても、電力需要の増加を見通す専門機関の分析は他にも複数あると承知しているところであります。こうした見通しを踏まえて、第7次のエネルギー基本計画におきましては、電力需要の増加に対応しながら、低いエネルギー自給率や火力発電への高い依存といった課題を克服するため、脱炭素の電源の確保が必要であって、再エネと原子力をともに最大限活用するということが重要としているところであります。
原子力発電の最大限の活用につきましては、原子力規制委員会の安全審査を経た炉の着実な再稼働、そして、安全性の確保を大前提に、定期検査の効率化などによる設備利用率の向上、そして、次世代革新炉の開発・設置などの取組を進めていくとともに、核燃料サイクルの確立に向けた取組、最終処分の実現に向けた理解・活動などについても、引き続き、国が前面に立って着実に前に進めていくことが必要だと考えているところです。
データセンターへの対応や規制
Q:2点目なんですけれども、その電力需要の主要因であるデータセンターについて伺います。昨今、住民の反対運動が印西市等であるかと思います。また、データ管理を担うという側面から、経済安保的な観点から規制の必要性を指摘する声もあります。こうしたデータセンターへの対応や規制についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
A:私も印西市、前に視察したことありますけれども、データセンターの整備に当たっては、地域との共生、これが大前提であると考えていますし、設置を進める事業者において、地域住民に丁寧な説明の機会を設けるなど、適切な対応を進めていくことが重要だと考えます。データセンターの整備促進に向けた「ワット・ビット連携官民懇談会」においても、この方針をお示ししており、経済産業省として、引き続き業界に働きかけてまいりたいと考えています。また、データセンターの管理等については、骨太の方針で、「重要なデータ保有者や保存・処理先に対する規律の確保」について検討を行うとされており、関係省庁と連携して検討を進めていきたいと考えています。
JSファンダリの破産手続開始決定
Q:パワー半導体の受託生産を手がけるJSファンダリが、昨日14日、破産手続の開始決定を受けました。JSファンダリには、日本政策投資銀行などが出資するファンドが設立を支援するなどしており、国内半導体産業という面でも期待が寄せられていた中での破産となりました。武藤大臣の受け止めがございましたら伺えますでしょうか。
A:本件についての報道は承知しているところであります。個別企業の経営に関する内容でありますから、経済産業大臣としてのコメントは差し控えたいと考えていますが、その上で、半導体というものはDX、GX、また、経済安保の観点からも重要な物資であります。経済産業省としては、引き続き、その産業の発展に向けて取り組んでいきたいと考えているところです。
ラピダスによるカスタマーイベント
Q:半導体関連で私の方から1点、ラピダス社が18日に千歳で次世代半導体の試作の進捗について説明するイベント及び記者会見を予定しております。経済産業省として、ラピダス社の開発の進捗をどう捉えていらっしゃるのか、また、今後何を期待されるのか、今後の政府支援の方向性を含めてお聞かせいただけますか。
A:ラピダスは、本年4月から千歳パイロットラインの立ち上げを開始しているところです。今後、歩留りの改善など、量産技術の高度化が進むことを期待しています。カスタマーイベントには、将来ラピダスで半導体製造を行う可能性がある設計事業者も出席されると聞いております。この機に、顧客候補との連携が更に深まることを期待しています。
経済産業省といたしましては、4月に成立しました法律の施行に向けて、現在、金融支援の対象となる事業者の選定基準など詳細設計について、有識者の意見も踏まえつつ具体化を進めているところであります。国会審議などでも説明してきましたけれども、ラピダスの取組の進捗について、外部有識者による審査を踏まえながら、必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えているところです。
米国とカナダによる自動車関税政策
Q:関税の関係で1点お伺いさせてください。アメリカとカナダが互いに自動車関税を発動する中で、日産、マツダが相次いで、アメリカの工場でカナダ向けの車の生産を停止しています。実際に、生産停止など影響も出てきているということで、改めてこういった現状への受け止めと支援等の在り方についてお聞かせください。
A:御指摘の米国とカナダを含めて、米国の関税措置をめぐる各国の動向につきまして、グローバルにつながるサプライチェーンにも影響をもたらすものであり、今後とも注視が必要と考えているところです。経済産業省としては、自動車を含めた国内産業への影響というものを把握すべく、これまで米国関税に関する対策本部、直近でいうと6月26日ですけれども、計5回開催しておりまして、引き続き、国内産業・雇用への実態把握を行ってまいります。追加的な支援策等につきましては、これらの影響を見極めて、必要な対応を躊躇なく行えるよう万全を期してまいりたいと考えているところです。
Q:今の質問にも絡んでというか、お答えの内容にちょっとかぶる部分があるんですけれども、やはりそういう自動車メーカーの動きによって生産停止とかサプライチェーンの見直しとかが進みますと、自動車の国内の部品メーカーにも悪影響が及ぶおそれがあって、一部で受注量が減ったという顕在化している動き、話も聞こえまして、こういうとりわけ部品メーカーの中でも中小零細の下請企業へ、アメリカとかに生産拠点を持たないような、そうした下請企業への御対応、現状認識においてどうお考えになっているか話を伺えればと思います。
A:先ほどの質問とも一部絡むところもあろうかと思います。対策本部、これ5回、今までやってまいりまして、全国の状況を伺っているところでもあります。その中で、従来は、「関税、うちは対象になるんですか?」というような御質問が多い中で、最近は、やはり資金繰りに対応する考え方に質問とかそういうものも増えてきているのもこれ現実であります。
おっしゃられるように、サプライチェーンという形でいうと、非常に米国の今の状況が影響してきますので、先ほど申したとおり、このような影響を見極めながら必要な対策はしっかり、躊躇なく行っていかなきゃいけないと思います。今後とも、引き続き、こういう万全を期していきたいということで、お答えさせていただきたいと考えています。
以上
最終更新日:2025年7月15日