2025年7月29日(火曜日)
10時16分~10時29分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
なし質疑応答
米国による関税政策への対応
Q:日米関税交渉の合意について、改めてとなりますが、まず1点、大臣の受け止めを伺わせてください。
A:今回の日米間の合意ですけれども、守るべきものを守った上で、日米両国の国益に一致する形で合意されたものと考えております。例えば、経済3団体、あるいはまた、自動車業界など個別業界からも合意に達したことを評価するコメントが出されていると承知しています。今後重要なのは、日米双方が合意の実施に努めることで、米国に対しては、8月1日、金曜日の期限も念頭に、速やかに関税引下げに必要な大統領への発出等に必要な措置を取るよう、強く求めているところであります。また、国内産業の影響でありますけれども、自動車のように米国向けの輸出額が既に減少し始めている産業も存在しています。加えて、今般の合意を受けて、今後影響が顕在化してくる産業が出てくる可能性もあります。先週ですけれども、7月25日に開催をいたしました省内の第6回の対策本部で、私から事務方に対して、引き続き、プッシュ型で影響把握をすることを指示したところであります。今後も国内産業や雇用に与える影響を見極め、追加的な対応が必要であれば、躊躇なく行ってまいります。
Q:2点目ですが、今、発言の中にもありましたように、引下げの発動時期についてですが、赤澤大臣は相互関税は8月1日、自動車関税はできるだけ早くと言っていますが、実際にはその発動時期は決まっていません。ちょっと改めて、これも改めてになってしまいますが、武藤大臣、これについてどのように受け止めていますか。
A:赤澤大臣がそういう形で、経産省の事務方も含めて、そういう対応で8月1日を目指して、できるだけ早く引き下げていただくように、今も調整をしているところと承知しています。
Q:それを受けてどうでしょうか。
A:いや、それは徹底的にやるしかないということで考えています。
Q:その上で、ベッセント長官は、日本が合意を守らないと関税を戻すような旨の発言をしています。総理は進捗管理を評価していくとしていますが、関税の引下げの発動いかんについて、この進捗動向との関係性いかんについて、どのように大臣は考えていますでしょうか。
A:四半期に1回※ということで、確か報道でも承知しているところであります。米国側の対応につきましては、私からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、日米間の双方の協議の中で、これまでも8回という回を重ねてこられましたので、その進捗はしっかりできるものと、今は私は考えているところです。
Q:最後に、関税の引下げに合意した一方で、いまだに高い関税が残っています。先ほどの発言にもありましたけれども、躊躇なく支援を行うと、かねてから何度もおっしゃっていますが、最初の会合以来、特段新たな支援は見受けられません。支援の在り方についてどう考えていますか。
A:資金繰りの質問が増えてきたり、それから、今回15%という話になって、いよいよ、うちの関係しているものがどのぐらいの関税になるんでしょうかとか、まだ、そういう問いもあります。ただ、おっしゃられるように、資金繰りがちょっと困ってきたというような人も、事前のいわゆる危険管理という、リスク管理からの対応かもしれませんけれども御意見が出てきて、御質問が来ているのは事実ですから、そういう形の中で、状況を見ながら、しっかり対応していかなきゃいけないというのが現状だと思います。
※ 実際の発言は「半年に1回」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。
相互関税による各産業への影響
Q:今の米国関税交渉に関して1点教えていただきたいのが、相互関税の部分なんですけれども、今回、一律15%という形で固まりました。これを品目別で見たとき、当然税率が15%まで上がるという品目もあれば、従来それより高い関税が既に課せられていることから据置きとなる品目もあるかと思います。これを踏まえると、国内産業への影響というのもまだら模様というか品目ごとにそれぞれあると思いますけれども、大臣が特に相互関税の部分で影響が大きいと、国内産業に対して影響が大きいと考えられる品目があれば、具体的に教えていただければと思います。
A:特にどのというところもあるんでしょうけれども、今年4月以降、各産業に、お話をしたように、各産業への影響をプッシュ型で情報収集してきております。10%の相互関税が追加的に課された分野についても様々な声を把握させていただいているところでもあります。例えばですが、建設機械では、サプライチェーンを含め価格転嫁が可能か心配する声だとか、あるいは、食品関係では、将来的な値上げによる消費者離れを懸念する声ですとか、こういう声が聞かれてきているところであります。今回合意した関税率に伴う影響については、相互関税10%の時点で声が上がっていた業種も含めて、改めて、産業ごとの情報収集をきめ細かく行っていきたいと考えています。これも、8月1日以降もそうなんですけれども、こうした現場の実態というものを踏まえつつ、追加的な対応が必要であれば、先ほど申したとおり、躊躇なく考えていきたいと考えております。
石破総理続投による政策推進への影響
Q:先日の参院選で与党の議席が過半数を割り込みましたが、石破総理は続投の意向を示していらっしゃいます。自民党内で退陣要求が出ている中では経産省の施策を進める上でも与野党それぞれの調整に影響が出る可能性があると思います。経産省としてのトランプ関税の影響を受ける企業への支援など課題が山積みかと思いますが、総理続投による政策の推進への影響についてどう見ていらっしゃるか、お願いします。
A:米国による関税措置への対応に限らず、今おっしゃったような、物価高への対応、そして、継続的な賃上げや国内投資を促すための施策、これは、経済産業省としては必要な政策をしっかり前に進めていかなくてはいけないと考えているところであります。こうした政策を実現していくためにも、国会もいよいよ始まりますけれども、野党の皆さん方も含めて、より一層丁寧な説明を行いながら、御理解を得られるように対応していく必要があると考えているところです。
アラスカLNGプロジェクト
Q:アラスカのLNGプロジェクトの関係でお伺いいたします。日米の関税交渉の合意の中では、このプロジェクトについては検討するというような内容が書かれていたかと思います。ホワイトハウスの公表資料にもいわゆる新たな契約を模索するというような内容が盛り込まれていたかと思います。この件について政府としては今後、スケジュールだったり、どういう枠組みでこれを検討されていくのか、この辺について教えていただけたらと思います。
A:今回、LNGというものが、また表面に出てきたのは報道の中で承知しているところです。トランプ大統領の発言についてコメントは控えますけれども、競争力の高いLNGが地理的に近接するアラスカから供給されることは、供給源の多角化に関して貢献するものと認識しているところです。このため、アラスカのLNGのプロジェクトにつきましては、オフテイクの実現に向けて、経済性や生産開始時期の見通し、また、協力の在り方など、日米双方の利益につながるように、米国関係者との間で緊密な協議を継続しているところであります。経済産業省としては、引き続き、LNGの安定供給確保に必要な取組を進捗させていきたいと考えているところです。
玄海原子力発電所におけるドローンとみられる飛行体の侵入
Q:九州電力玄海原発にドローンと見られる光る飛行体が侵入したことにつきまして、大臣の受け止めをまず伺いたいのと、これまで原発はテロを想定して様々な対応策が講じられてきたかと思いますが、今回ドローンと見られる飛行体の侵入を許したことで、現状の不備と申しますか、ある種、限界も浮き彫りになったかと思います。今後の対応策についても教えてください。
A:今回の事案については、現時点で何らかの飛来物が発見されていないということだと承知しています。また、三つの光の特定にも至っていないと承知していまして、九州電力においては、引き続き、原子力規制庁や県警の指導の下で、発電所の警備に万全を期してもらいたいと考えています。原子力発電所の警備に関しては、これまでも、原子力規制委員会や警察、防衛省、事業者等を含めた関係機関の連絡会議を通じて、警備連携の強化を図っているところであります。引き続き、あらゆる形で強化を図っていきたいと考えているところです。
米国による関税政策における米国とEUの合意
Q:米欧合意について、アメリカとEUの合意についてお聞きします。アメリカ側がファクトシートを発表して、その中で、自動車関税だけではなくて半導体、医薬品についても15%の関税にするというふうに発表しております。こちら日本側の日米合意については、他国に劣後しない形でというふうに合意内容を言及されていますけれども、こちら米欧合意の、米EUの合意の内容がそのまま15%では、日本にも今後適用されるという理解でよろしいでしょうか。
A:米国と第三国との協議について、逐次コメントをすることは控えたいと考えています。また、日本やEUが米国との間で合意に達したことで、米国との関税をめぐる不確実性が一定程度低下しながら、我が国経済ですとか世界経済を下押しするリスクの低下につながるものと考えております。劣後されるかどうかということですけれども、この辺につきましても、今後、もうちょっと私も聞いていかなきゃいけない話だと思っていますけれども、そのとおりだと考えています。
米国による関税政策における日米間の合意の発動時期
Q:あともう一点、相互関税のアメリカが通告していた期限が8月1日に迫っていますけれども、今回の日米合意を受けて、もともと25%と通告されていましたけど、15%になるということは、日本政府としても確認というか、25%にならないというのは、15%になるみたいな措置をアメリカが取られるという点は確認されていたりとか、そういうふうになるというふうに何かそういうものが確認とかであるんでしょうか。
事務方:冒頭、武藤大臣が御発言の中でありましたとおり、米側に大統領令を早く出してくれということをお願いしているところでございますので、その措置を通じて、しっかり、今御指摘にあったような25から15%ですよねというところを確認していきたいと、伝えたいと思います。
A:引き続き、今も強く求めているというところだと思います。
Q:ありがとうございます。
以上
最終更新日:2025年7月29日