2025年10月21日(火曜日)
10時16分~10時26分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
在任期間を振り返って
昨年10月の就任以来、「政策を前に進める」ことを意識しながら、1年間、様々な課題に対応してまいりました。
「賃上げと投資が牽引する成長型経済」の実現、これに向けて、DX分野で国内投資を進めるため、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」の構築ですとか、情促法の改正、中小・小規模企業の賃上げ原資を確保するため、下請法・下請振興法の改正など価格転嫁・取引適正化の徹底に取り組んでまいりました。
今後電力需要が増大する中で、現実的なエネルギー政策を進めつつ、野心的な脱炭素目標や経済成長との両立を図るため、第7次エネルギー基本計画において、再エネも原子力も最大限活用との方針を打ち出すとともに、GX2040ビジョンの策定、GX推進法の改正を通じて、地方創生※や産業競争力強化につなげる道筋を示しました。
米国の関税措置への対応におきましては、産業界への説明や対話、これは私自身も含めて経済産業省全体で約7,000回を実施したところです。省内対策本部も7回開催し、相談窓口の設置ですとか中小企業の資金繰り、事業強化に向けた支援を実施してまいりました。
大阪・関西万博は、様々な課題やトラブルも、直面いたしましたけれども、多くの方々の御協力をいただきながら、おかげさまで、関係者を含め累計で約2,900万人の方々に御来場いただくなど、大きな成功を収めることができました。
福島には、大臣として3回、副大臣時代もございますが、通算すれば35回訪問させていただいたところです。常に現場に寄り添い、廃炉、帰還困難区域の避難指示解除、またなりわい・産業の再生といった課題に対応してまいりました。
経産省の多くの職員とともに、本質的な課題にリアルに向き合って挑戦してきました。多くの分野で政策を前進させることができたと思います。皆様方にもいろいろと御指導いただきましてありがとうございました。後任の大臣には、日本経済を強くするため、さらに政策を前に進めていただくことを期待しているところであります。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
※ 実際の発言は「地域創生」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。
質疑応答
柏崎刈羽原子力発電所
Q:東京電力ホールディングスが先日、柏崎刈羽原発の1号機、2号機について廃炉を検討することを表明されました。国のエネルギー政策とも密接に関わるかと思いますけれども、これについて大臣の受け止めをお聞かせください。お願いします。
A:東京電力の小早川社長が今月16日木曜日、新潟県議会において柏崎刈羽原子力発電所の安全運転に万全を期すため、1号機、2号機に関しまして、廃炉の方向で具体的に検討を進めている旨を表明されたと承知しております。東京電力の経営判断につきまして、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきますが、東京電力には、今後検討を進めるに当たり、地元関係者の皆様方に対して、丁寧な説明をお願い申し上げたいと考えています。また、2040年度の電源構成に与える影響についてでありますけれども、本件まだ検討段階ということでございますが、現時点で予断を持ったコメントは、その意味で差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても政府としては、S+3Eの原則の下、第7次エネルギー基本計画でお示しした方針に沿って、必要な脱炭素電源を確保していくことを考えております。
ロシア産エネルギーへの対応
Q:エネルギー関係で1点お伺いさせてください。米国のベッセント財務長官が15日、日本によるロシア産エネルギーの輸入停止への期待について、日米財務大臣会合で議論したと明らかにしました。日本は、LNG輸入のうち、ロシア産が9%を占め、サハリン2の権益も維持しています。日本政府としてどのようなスタンスで米国の期待に対応していくお考えでしょうか、お聞かせください。
A:ベッセント財務長官の御発言については承知しております。他国政府関係者の発言等の逐一についてコメントすることは控えさせていただきますが、ウクライナ侵略以降、日本はロシア産のエネルギーへの依存を、着実に低減しているところであります。ただ、サハリン2からのLNGは、日本のLNG輸入の約10%を占めております。そして、総発電量の約3%に相当し、日本のエネルギー安全保障上、これは極めて重要な役割を果たしているものと認識しているところです。加えて、LNGのアジア市場におきましては、当面ですけれども、需給の逼迫※が見込まれており、調達価格の高騰ですね、高騰は電気料金の上昇にもつながり得ること等を踏まえた対応が必要になります。日本として取り得る具体的な措置については、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しつつ、日本の国益にとって何が必要かを踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えているところです。
※ 実際の発言は「需要の切迫」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。
中国政府によるレアアース輸出規制
Q:中国政府が10月9日、レアアース及び関連技術の輸出規制を強化する方針を示しました。世界的なサプライチェーンへの影響が懸念されているところですが、日本経済及び日本の経済安全保障に対してどのような影響が生じているか、現時点における御認識を御教示ください。よろしくお願いします。
A:御指摘のとおり、中国政府が10月9日木曜日かな、輸出管理対象に、これまで対象外でありましたレアアースの5品目、レアアースの関連技術、リチウム電池などの追加をされ、そして、中国原産レアアースの第三国への輸出に関する規制の新設を公表したと承知しているところです。今回規制対象となったレアアース等は、我が国の幅広い産業分野で用いられる重要なものでありまして、現在、産業界と連携しながら、影響の精査を進めているところであります。今回の措置によりまして、我が国を始め、同志国のサプライチェーンに及ぼす影響、これが更に拡大することを強く懸念しているところであります。 中国側には、これまでも民生に与える影響、これを踏まえて輸出管理を適切に行うように申入れを行ってまいりました。今回の措置につきましても、関係国とも連携しながら、必要な申入れ等を引き続き行ってまいりたいと考えているところです。
米豪によるレアアース分野の合意文書への署名
Q:今のレアアースの関係でお尋ねします。トランプ大統領が20日にオーストラリアの首相と会談をし、レアアース分野の合意文書に署名したということが報道で出ております。プロジェクトの一部には日本も参加する見込みということも一部報じられておりますけれども、今の対中国という点も踏まえまして、この分野に関して日本がどのように関わっていくかというのを改めて教えてください。
A:報道は承知しているところでありますが、第三国間での個別の協力についてコメントすることは差し控えさせていただきます。一般論として、米国、豪州を含む同志国との連携をし、重要鉱物の安定供給確保に取り組むことは、極めて重要なことだと考えます。かかる観点から、例えば双日とJOGMECは、西豪州におけるガリウム生産プロジェクトへの出資参画を既に表明して、豪州政府あるいは米国政府も出資等による参画を検討しているものと承知しているところです。こういう形で、このプロジェクトに限らず、同志国と連携をしながら取り組んでまいりたいと考えているところです。
自民党と日本維新の会による連立政権
Q:もうまもなく、維新と連立した高市政権が発足ということになるわけですけれども、それに対して一言お願いします。
A:今、石破政権の立場で私ここに立たせていただいているので、連立はいわゆる党間同士でお話をされることであって、政府として今コメントすることはないと思います。ただ、一個人、一政治家としては、今後の形に安定する政治を作るという意味では期待をさせていただきたいと思っております。
皆さん、どうもお世話になりました。ありがとうございました。
最終更新日:2025年10月21日