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赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2025年10月24日(金曜日)
10時17分~10時39分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

福島県出張

初めに私から1点申し上げます。
明日、25日の土曜日、福島県への出張を予定しております。まず、東京電力福島第一原子力発電所を訪問いたします。廃炉やALPS処理水の海洋放出の進捗について直接自分の目で確認をしてきたいと考えております。続いて、大熊町の吉田町長、双葉町の伊澤町長、内堀福島県知事、西山福島県議会議長とお目にかかりたいと思っております。意見交換を通じて経済産業省の最重要課題である福島復興への決意、これを直接申し述べたいと考えてございます。私からは以上です。

質疑応答

米国による自動車関税の影響

Q:米国の自動車関税に関して伺います。4月から9月の貿易統計で、自動車の対米輸出額が前年同期比で約2割減少しました。また、11月からは中・大型トラックへの追加関税が課されるなど、自動車メーカーの業績の下振れが懸念されますが、影響を緩和する対応の方向性に関して改めてお願いいたします。

A:まず、総論ということで、自動車だけではありませんが、日米関税交渉を通じて、端的には日米関税合意、7月22日にできた合意が9月4日に大統領令が発令されて実施されました。これによって、毎年5兆円を超える関税が我が国に課されるはずであったところ、2兆円を超える削減を果たしたということになります。その結果、一定の評価はいただいているものと考えていますが、しかしながら、関税は残っているのも厳然たる事実であり、様々な影響を、適切に対応していく必要があると考えております。統計データから関税措置の影響のみを抽出することは困難でありますけれども、2025年度上半期の貿易統計では、対米輸出の総額は前年同期比で10.2%減少しており、また、自動車の対米輸出額は前年同期比で22.7%減少をしております。一方で、輸出台数の減少幅は前年同期比で2.4%にとどまっておりますので、ここから分かることは、輸出単価が減少している状況にあるということです。これらのデータと事業者からの声等を総合的に考慮すると、引き続き関税の支払いによる損失が生じている上に、今後、米国市場において値上げが進んだ場合には、米国市場が縮小する可能性も考えられるところです。こうした影響も踏まえつつ、自動車については、国内市場の活性化等のための車体課税の抜本見直し、自動車部品サプライヤーなどへの伴走支援を行う「ミカタプロジェクト」などに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。なお、御指摘の中・大型車両やその部品、バスに対する関税措置が11月から課されることとされていますが、その影響についてもしっかりと情報を収集し、分析をする、精査して適切に対応してまいりたいと考えております。

電力産業における賃上げや物価高対応を踏まえた託送料金制度の改正議論

Q:電力産業の賃上げや物価高対応に関係する制度改定議論について伺います。電力・ガス取引監視等委員会が22日に開催した審議会で、レベニューキャップ制度における労務費単価や物価の上昇の取扱いについて議論されました。現在の制度では5年間ごと規制料金を定め、その間は物価高や労務費の上昇を原価に反映できないため、電力会社は工事の計画的な実施や賃上げの対応が難しくなっており、制度改定、制度見直し議論が進んでいます。電力会社の下請けも含めた賃上げや安定供給にも大きな影響を与えるテーマと認識していますが、大臣としてのこの議論への所感ですとか受け止めですとか、議論の今後の見通しを伺えないでしょうか。

A:今、御指摘があった点は大変大きな問題の一部でありまして、我が国の経済が物価上昇モードに今入っているということです。その中でいろいろと一定の期間を決めて契約をしたもの、短期のものはまだいいのですけれども、そういうものに物価上昇を織り込む仕組みがビルトインされていないと、どこかが歪みが出るというか、倒れてしまうということがそこら中で起こっています。その中の一つの大事な問題ということで、御指摘のあった電気の託送料金に関する「レベニューキャップ制度」においては、まさに物価や労務費単価の上昇が反映されていないのが現状でございます。本年6月に閣議決定された「新資本実行計画2025」も踏まえて、電力・ガス取引監視等委員会の審議会において物価変動の反映に関する検討が行われています。足下の物価や労務費単価の上昇を適切に反映することは、電力分野の投資を促し、電力供給ネットワークの維持・強靱化につながることが期待されます。これにより、今後の電力需要を満たすために必要な送電網の着実な整備に資する効果が見込まれるため、GX、あるいはDXを進める上でも極めて重要と考えています。今後も、今申し上げた点に加えて、消費者への影響も配慮しつつ、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

Q:議論を、制度改定をいつまでに実施したいというお考えはありましたでしょうか。世の中では連合が賃上げ目標を発表したり、春闘の話題も出始めていますけれども、迅速な対応が必要というお考えはありますでしょうか。

A:私は関税交渉をやったときにも、ゆっくり急ぐということを申し上げていましたが、これは、検討すべき点があまり多くなくて、さっさと結論が出て、誰から見てもこれが一番いいというものが決まっていれば、これは直ちにやればいいことなのですけれども、そうでないことにはいろいろ理由があるわけでして、おっしゃる点は本当に重要な点で、賃上げの観点からもしっかり物価を反映したものを、制度を動かしていくことは非常に重要です。急ぎたいとは思いますが、一方で先ほど申し上げたように消費者への影響、これが出てしまうので、そこにどう配慮しつつ、関係者みんなにとってウィンウィンのそういう結末を得ていくかということについてはそれなりの検討が必要であると思っておりますので、私にとっては言い慣れた言葉でありますが、ゆっくり急ぎたいと思っております。

米国ラトニック商務長官との電話会談

Q:赤澤大臣は22日の夜にラトニック商務長官と約70分間電話会談をされました。長官から経済産業大臣就任の祝意が述べられて、日米合意の誠実かつ速やかな実施について確認をされたということですけれども、電話会談の中でトランプ大統領の来日について言及があったかどうかやラトニック長官御自身の同行の有無などについてお話があったかどうか、具体的なやり取りを可能な範囲でお伺いできますと幸いです。

A:22日夜に約70分間ラトニック商務長官と電話会談を行いました。電話会談ではラトニック商務長官より、21日、前日夜に続き私の経産大臣就任に対するお祝いの言葉を頂きました。その上で、日米間の合意を、引き続き、誠実かつ速やかに実施することについて確認をいたしましたし、合意の実施を通じて、日米同盟のさらなる強化と両国の経済安全保障の確保、経済成長の大幅な促進につなげていくことを改めて確認いたしました。1点だけ、トランプ大統領の訪日について話が出たかということについては、出ました。ただ、外交上のやり取りでありますので、これ以上の具体的な内容についてお答えすることは差し控えたいと考えます。

福島県出張

Q:福島県の訪問なのですけれども、大臣御自身は福島第一原発の視察はこれまで経験がありますでしょうか。あと今回の原発の視察で特に確認しておきたい項目などありましたらお伺いできますか。

A:私自身はこれまで1Fを訪問したことはなかったと思います。確認いたしますが、すごく昔になかったかということについてちょっと確認いたしますが、なかったと思っています。そして、どういったことにということについては、これは廃炉やALPS処理水の海洋放出の進捗とか、そういったことについては一度現場をしっかり見ておきたいという思いがありますし、あと一番大事なのは本当にいろいろな思いを持っておられるだろう現地の首長さん、知事、議長、そういった方を含めてお話を伺うということで、政権からすれば福島の復興なくして日本の復興なしということ、ある意味最優先課題として掲げてやっているわけですが、皆様の思い、これをしっかり受け止めていただいて、福島復興への決意を大いに強くして帰ってきたいと思っております。

モバイルバッテリー等のリコール

Q:モバイルバッテリーについて伺います。先日21日に経産省がモバイルバッテリー事業者のアンカー・ジャパンに対して行政指導を行われました。モバイルバッテリー販売事業者への初めての行政指導ということで、こちらについての受け止めを伺いたいです。また、最近はモバイルバッテリーの発火事故など電車の中などで相次いでいる中で、今後経産省としてどのように対応していきたいか、もし具体的に何かお考えがあれば併せて教えてください。お願いします。

A:モバイルバッテリーは、おそらく記者の皆様も必需品で持って歩いておられると思って、最近飛行機に乗ると必ず呼びかけられますよね。上の荷台に入れると発火したときに大変なことになるので、必ず目の届くところでといって、私も、だからカバンから取り出して、自分の目の見えるところに置いて乗るように努めているところです。そういう意味で、かなり社会的に問題であると認識されていることだと思いますが、アンカー・ジャパン株式会社は10月21日に約52万台のモバイルバッテリー等のリコールを開始いたしました。これらのリコール対象製品でこれまでに火災等の重大製品事故が既に41件発生をしているほか、同社では同種の製品でリコールが複数回実施をされています。こうした経緯等を踏まえて、経産省の対応をお尋ねでありましたけれども、国内販売しているリチウムイオン蓄電池の全製品を対象とした総点検の実施、製造・品質管理体制、リコールの周知・進捗の状況について、同社に報告を求めたところでございます。今後、同社からの報告内容を踏まえ、適切な対応を講じてまいりたいと考えております。

TSMC第二工場

Q:半導体分野でお伺いします。本日、熊本県でTSMCの第二工場の建設に向けて立地協定が交わされます。当初は今年の春頃に着工されると見られていたものがこの時期にずれ込んだため、地元では無事に着工を迎えて安堵の声も聞かれております。第一工場に続いて第二工場も着工となったことの大臣の受け止めをまずお願いしたいのと、また、今後第三工場、第四工場と集積を図るには日本側の需要の拡大も欠かせませんが、こうした課題に経産省としてどう取り組まれていくか、併せてお考えをお願いします。

A:TSMC熊本第二工場については、本日、熊本県菊陽町と立地協定が締結され、着工を開始すると承知しております。今後、建設が順調に進捗して、我が国の先端ロジック半導体の生産基盤強化に貢献することを期待しております。第一工場については、当初より量産開始以降に徐々に設備を導入して生産能力を増強していく計画ということで、足下で既に導入済みの設備はフル稼働しており、さらなる設備の増強も進んでいると伺っています。地域経済への波及についても、TSMCの進出以降、既に熊本県だけでなくて、九州地域で製造業全体の設備投資額がおおむね倍増するといったような大変大きい幅広い波及効果が見て取れるということであります。引き続き我が国の半導体産業の復活に向けて、関係者と連携しながらしっかりと全力傾注して取り組んでまいりたいと考えております。

海底通信ケーブルの軍事転用

Q:ちょっと話題が変わるのですが、ロシア軍がNEC製の海底通信ケーブルを軍事転用した疑いがあるというふうに報道されていますけれども、その件に関して大臣としての受け止めと経済産業省としての対応などについてお伺いできたらと思います。

A:報道については承知しておりますが、現在事務方において事実関係確認中であります。ただ、一般論として申し上げれば、輸出管理における規制対象となる品目は外為法等の関連法令によりスペックが定められておりまして、通信用の光ファイバー全てがただちに規制対象となるものではありません。そういうことも含めて事実関係を確認中と御理解をいただければと思います。

JERAによるシェールガス田の権益取得

Q:発電大手のJERAの動きについて伺います。JERAが23日、昨日、米国企業からシェールガスの開発、生産の権益を取得すると発表されました。こちらは米国とのパートナーシップの強化にもつながるということでJERAは言っているところですが、関税交渉とは直接の関係はありませんと言っていたところです。赤澤大臣は日米関税交渉を主導されたお立場からして、このようなJERAの動きをどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

A:JERAが、米国のシェールガス田の権益を取得する契約を複数の米国企業と結んだことについては、よく承知しているところでございます。個別企業の契約に関して、コメントは差し控えるということでありますけれども、一般論として申し上げれば、日本企業が米国におけるLNGの上流権益の取得を行うことは日米間のエネルギー協力の深化に貢献するものと認識しています。まちがいなく、エネルギーは経済安全保障の最重要分野の一つでありますので、日米間でそういった協力ができる、それが深化していくことは素直に評価できるものだと思います。先ほど御質問の中でも触れられたように、日米関税交渉で合意された内容と直接関係のあるものではございませんが、まちがいなく同盟国である日米の関係強化につながり、相互利益にかなうエネルギー分野における投資案件でありまして、心から歓迎をしたいと考えております。

APEC閣僚会議

Q:来週開かれるAPECについてお伺いします。こちらは、大臣はまだ御出席されるか正式に決定されてないかと思いますが、もし出席される場合には、大臣は自由貿易と法の支配のハイブリッド外交ということに既に会見で言及されていますが、どういうふうに日本政府としてお立場として訴えていきたいのか、また、APECの意義についてどのようにお考えかをお聞かせください。

A:APECについて私が出席するかどうか、まだ、具体的に決まっておりません。そういう意味で、もし出席したらという仮定の御質問にはちょっとお答えしかねるというのが答えでございます。

日米関税合意における米国への80兆円規模の投資

Q:昨日に引き続きで恐縮なのですけれども、1点伺わせてください。来週のアメリカ、トランプ大統領の来日を前に、日米で合意した日本円で80兆円規模のアメリカへの投資について、この検討状況の進捗を教えてください。

A:まず、5,500億ドルの投資ということで、日米の投資イニシアチブということで、これも日米関税合意の非常に重要な一部になっております。一部で誤解があるようですが、出資、融資、融資保証合わせて5,500億ドル上限で、トランプ大統領の任期中に米国で経済安全保障上重要な分野のサプライチェーンを作り上げるためにプロジェクトを組み立てていく、組成をするということであります。それが基本的な考え方でありますが、ということなので、当然トランプ大統領が来日されるときにそのことが話題になり得るとは思いますけれども、何か具体的な発信を首脳間でどういうことが行われるのか、全然具体的に決まっておりませんので、私から申し上げられることはありません。その5,500億ドルの投資についての進捗状況については、私の承知している限り関心を持つ日本企業も内々出てきているように伺っておりますし、しっかり案件を組成していきたいという思いでおります。ただ、繰り返しになりますが、これはまた一部の報道、一部の野党、いろいろな方たちがおっしゃっているように、米側が何か言ったらそれで言われたとおりにものが動くという仕組みではなくて、MOUは内閣官房のホームページでもアップされているので、きちっと目を一度お通しいただきたいです。正本は英語ですが、日本語訳も出ていたと思うので、ぜひ見ていただいて、その中できちっと仕組みを理解した上で今後御質問いただけるとありがたく、その中では協議委員会とか投資委員会とか、そういうものが置かれて、法令上、あるいは戦略上の観点を日米がしっかり協議を協議委員会でし、そこでよしとなったものは投資委員会で、これは米国の組織ですけど、ラトニック商務長官がトップの投資委員会で検討し、その投資委員会でよしとなったものの選択肢が大統領のテーブルに並べられ、大統領がこれとこれというふうに選ぶという形でものが動いていきますので、それが動かない限りMOUに従ってやる話ですので、結論も出ませんし、繰り返しになりますが、何か米国の言いなりで言われたことをやるのだなどという話に全くなっていないので、その辺については御理解をいただいた上で、今後皆様からの取材に真摯に対応していきたいと考えております。

福島第一原子力発電所への訪問

A:それと一つ、もう一度断言をしておきますが、1Fには行ったことはありませんということで、その点についてはそういうことで事実関係でございます。

以上

最終更新日:2025年10月24日