2025年10月28日(火曜日)
18時23分~19時05分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
韓国出張
初めに、私から2点申し上げます。1点目ですが、明日、10月29日水曜日から31日金曜日まで、APEC閣僚会議にするため、韓国に出張いたします。同会議では、アジア太平洋地域の貿易投資の活性化や持続可能な成長の実現について、議論される予定です。私からは、ルールベースの貿易秩序の強化に向けて、WTO改革やデジタル分野のルール強化、不公正な経済慣行への対応を呼びかけます。また、地域大での持続的成長に向けて、AI・デジタル技術の技術革新や活用促進に向けた協力の重要性を発信する予定です。米国への対応と併せて、こうした取組を通じ、有志国と連携した、自由貿易と法の支配の取組を進める、「ハイブリッド外交」を展開してまいります。また、この機会に複数の国・地域との会談を実施いたします。
三陸・常磐ウィークス第5弾
2点目ですが、ALPS処理水の海洋放出に関する風評対策の観点から、「三陸・常磐もの」の魅力を発信し、消費拡大を促すために、11月1日土曜から11月30日日曜まで「三陸・常磐ウィークス第5弾」を実施いたします。この期間において、1,300者以上の企業等が参加する「三陸・常磐ものネットワーク」を活用し、社食やキッチンカー等を通じて応援消費を拡大してまいります。政府としても、各省庁において率先して弁当の購入等を行うとともに、魅力発信イベントを開催いたします。私自身、この週末に、安全に放出が進んでいるALPS処理水の現場を視察しました。私も、美味しく食べて、発信することを通じて、応援消費を一層拡大していきたいと思います。詳細については、この後、事務方より説明させたいと思います。私からは以上でございます。
質疑応答
日米首脳会談における合意、日米間の投資に関する共同ファクトシート
Q:本日、高市首相とトランプ大統領の会談で関税合意とレアアースに関する文書に署名がされました。また、先ほど対米投資に関する日米共同のファクトシートも公表されました。首相間で合意したことへの受け止めに加えて、ファクトシートによると多くの日本企業が対米投資に興味を示している、関心を示しているということですけれども、その受け止めをお伺いできればと思います。また、ファクトシートの関係で今後、5,500億ドルの対米投資は、どのように案件が決まり実行されていくのかについてお伺いできればと思います。まずそれが1点目です。
A:まず、本件、ファクトシートは今般のトランプ大統領の訪日に際して発表されたもので、その中で、日米両政府は、個別の企業による具体的な関心に触れつつ、両国の企業がエネルギー、AI分野を中心にプロジェクト組成に関心を有していることを歓迎するとともに、5,500億ドルの戦略的投資に関する了解覚書の対象となる案件も含め、今後、日米両国のサプライチェーン強靱化に資する様々なビジネス上の取組が推進されることについて、強い期待を表明したものであります。なお、ファクトシートに記載されている事業規模の総額を機械的に合計すれば約4,000億ドルになるものと承知しております。MOUを内閣官房のホームページにアップしてありますが、目を通されれば、ご理解いただけるとおり、5,500億ドルの戦略的投資の対象となるプロジェクトについては、日米間の了解覚書にあるとおり、今後、協議委員会あるいは投資委員会、それを経て大統領が選定をされるといったプロセスを経て、選定されることになるという点については、全くこれまでご説明を申し上げてきたことと変化はないところでございます。
Q:日米間の合意についての受け止めがありましたらお伺いできますか。
A:合意の受け止めという意味では。
Q:レアアースと関税合意に関して、進捗していこうという文書に署名がなされたと思いますけれども、それについて。
A:分かりました。本日の会談では、トランプ大統領との間で、日本企業による対米投資のさらなる拡大について議論を行いました。また、日米両政府の間で日米の投資イニシアティブを含む、合意の着実な実施に対するコミットメント、両首脳のコミットメントを確認したところであります。両首脳は、重要鉱物・レアアースに関する枠組みに署名をいたしました。本枠組みは、鉱山・製錬プロジェクトへの支援等によって、両国の重要鉱物サプライチェーンの強靱化を図るものでございます。米国と連携して、重要鉱物の新たな供給源の形成など、具体的な取組を進めてまいりたいと考えております。半導体関税についての議論はございませんでした。今回、両首脳が署名を行い、合意の実施に取り組むことを改めて確認しており、仮に今後、米国が半導体に関税を課す際、他国に劣後しない取り扱いとなるものと考えております。この点は、自動車関税と相互関税が日本だけのための大統領令で、9月4日だったですか、措置をされたので、その点についての理解がいろいろあるのかと思いますが、基本的には分野別関税は232条に基づいて、世界中の国にこういう関税を課すという御触れを大統領令で出すという考え方なので、それが整って出るタイミングで、我が国日本については最恵国待遇、最も有利な条件が書かれた国と同じ扱いになると理解しております。
ロシア産エネルギー
Q:2点目についてですが、今回の日米首脳会談や閣僚会談の中で米国側からロシア産エネルギーの輸入停止に関連して何かやり取りがありましたでしょうか。何か要求された場合、どういった内容だったのか、また、どのように応答され、今後どのように対応するお考えか、お伺いできればと思います。
A:外交上のやり取りであり、米国側の発言の詳細についてお答えすることは控えたいと思います。本日の会談を踏まえ、日米両首脳間で、関税に関する日米間の合意を実施していくことを改めて確認する文書に署名が行われたと承知しております。我が国としては、引き続き、米側との間で合意の誠実かつ速やかな実施に努めてまいります。これにより、日米の相互利益の促進、経済安全保障の確保に向けた協力の拡大や、我が国の経済成長の促進につなげてまいりたいと考えております。米国とは、ロシア産エネルギーへの依存軽減について、日頃から様々な意思疎通を行っておりますが、今般の首脳会談における議論については外交上のやり取りであるので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
日米間の投資に関する共同ファクトシート
Q:先ほど発出されました投資に関するファクトシートに関して2点伺わせてください。今回は関心というふうになっておりますが、正式な決定や1号案件の組成はいつ頃になる見通しか、現段階で決まっていることがあれば、見通せることがあれば伺わせてください。加えて、今回単純合計で4,000億ドルというふうになっておりますが、仮にこれが実現した場合どれくらいの規模になるのか、5,500億ドルのうちどれぐらいを満たせるのかという見通しがございましたら伺わせてください。
A:まず、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、5,500億ドルの投資については、それをどのように進めるかは皆様もダウンロードなり、あるいはネットで見られるMOUに基づいて行われるという日米の合意でありまして、これは英語のものが正本ですが日本語訳も一応付けてあるのでちょっと確認をいただきたいと思います。繰り返しになりますが、協議委員会で日米が法律上あるいは戦略上の観点から検討をし、よしとなったものは米国が設営するラトニック商務長官が議長を務める投資委員会で揉まれ、そして、大統領のテーブルに並べられて、その中から大統領が選択されるという手続を経ます。それに実際どれぐらいかかるのかというのは正直、現時点において具体的に申し上げられる目途があるわけではありません。ただ、いずれにしても必要な時間、適切に費やしてしっかりとした良い案件が組成されて、繰り返しになりますけれども、日米両国の利益になるような形でプロジェクトができあがるということが望ましいし、ぜひ、そうしたいと思っているということは申し上げておきたいと思います。その上で、5,500億ドルの戦略投資のうち、どれぐらいを占めるのかということについても具体的に申し上げることはかなり難しくて、ここも我々が考えているのは、JBICの出資と融資、NEXIの融資保証、これが合計で各プロジェクトにつけていった結果、5,500億ドルまで積み上がる、それが、トランプ大統領があと3年半とされる任期のうちということをイメージしておりますけれども、それがこの4,000億ドルに上るファクトシートのプロジェクトのうち、どれだけのものが実際に案件として成立をし、そこにつくJBICの出資、融資、あるいはNEXIの融資保証がどれぐらい積み上がるのかについては、現時点で具体的に申し上げられる状況にはないということを申し上げておきたいと思います。
Q:関連で、ファクトシートの中には日本の企業約10社ほど個社名が載っていたと思います。他にも説明書きの中で日本のサプライヤーだったりとか、日本企業の参画を検討するみたいな書き方もありました。これはまだ決まっていないけれども、日本企業が参画することを期待しているということなのか、もしくはもう、既にある程度目処が立っていてということなのか。もし目処が立っているのであれば個別企業名がない企業も含めて、合計何社程度が興味を示している、関心を示しているのかというところを伺えますでしょうか。
A:まず、いろいろと皆さんと共通認識を深めていきたいと思うのですが、米国において、経済安全保障上、重要なサプライチェーンを作っていくというプロジェクトがこの5,500億ドルの投資の対象になるわけですが、それは必ずしも日本企業に限るわけではありません。例えば、外国の半導体企業、可能性があるところがどこか大体イメージがわくと思いますが、それが米国に日本でもアメリカでもない企業が半導体の工場を作る、そこに、例えば我々が半導体製造装置を日本企業が納める、東京エレクトロンでもいいですし、あるいはケーブルとかパワーモジュールとかいろいろなことがあり得ますね。そういうものを納めるというものも、これは対象になり得るわけなのです。そこが1点と、あともう一つ、共通認識を持っておきたいのは、日本の銀行がそんな80兆円も調達したら直ちに円安が起きてみたいな、こういう議論もあるけれども、これもちょっと勘違いと言ったら申し訳ないですが誤解があって、NEXIが融資保証をつけるけれども、米国の銀行がお金を貸すのでも全く問題ないわけです。融資保証についてはですね。というように、この5,500億ドルの投資というのはかなりオープンエンドというか、何か日本企業がとか日米がとかだけではなくて、第三国の企業も参加をし得るし、お金も第三国の寄付が来てもおかしくもないし、とにかくそういう意味で非常に広い。加えて、もう一つ申し上げたいのは、ただMOUに書いてあるのは、法令に従わないとか矛盾してはだめということで、JBICやNEXIの法律にはご案内のとおり、収支相償ということで大赤字出してはだめとか、日本のためにならないものは基本的に参加できないとか書いてありますので、そういう意味で、今回のことについて今、お答え申し上げれば比較的、日本企業の検討・関与というものについていえば、米側の企業は熱心に、これはどうだと言って盛り上げてきておられるものが中心な気がしますし、日本企業の具体名がもう既に入ってやっているものは、逆に日本企業はかなり前向きというか、そういう理解のもとにラトニック商務長官は力を入れて、これから英語で言うとConsiderとかExploreとかいうことをやっていくプロジェクトの種というか、そういうものになっているということだと理解しております。
レアアース分野における協力
Q:重要鉱物レアアースについて改めて伺いたかったのですけれども、日本にとってのメリットですとか意義、それからそもそも今回、日米両政府がこの分野で協力していこうと、そういった結論に至った背景について詳細に伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
A:レアアースですね。経済安全保障上重要な分野というのはいくつもあって、そこは特に限定はなくどれも大事なわけです。よく言われるような分野で言えば、半導体もありますし、それから医薬品もあるし、鉄鋼、自動車、航空機、造船、そして量子とかに加えて重要鉱物もあるということです。そのいずれについても、ある国が輸出を絞ろうとか製造を絞ろうとか思ったときに、日米両国の企業が生産に支障が出るとか、そういうものはやはり予見可能性を大きく損ないますし、何とか乗り越えていかないといけないということになります。そういう意味で、大体のサプライチェーンを作り上げておくとか、そういうことは基本的な問題意識として、今回の日米間の合意で投資イニシアティブの非常に核になる部分であるということです。そこは、レアアースでいえば、鉱物生産から、あるいは製錬とか精製といった部分とか、さらには製品を作る、そして、加工品、最終製品になる、その各プロセスでやはり、非常に世界の中で多くの割合を占めている国というのは現にあって、その国の影響を極力少なくしていくという思いが共通のものとしてあるということが背景になっていると思います。
Q:もう既にこういった具体的なところに両政府として投資していこうとか、そこまでのものというのは今のところあるのでしょうか。
A:これについては、ちょっと外交上のやり取りなので差し控えたいと思いますが、いずれにしても日米が特別なパートナーとして、経済活動ですから、どこか弱い部分があると必ずそこをつかれたり、そこで何か予想外のことが起きると影響を受けたりするので、そういう意味で、日米が協力して経済安全保障上重要な分野で、極力弱点のない、そういうサプライチェーン、これを作り上げていこうとしているということであります。
対米投資に関するトランプ大統領の反応と今後の課題
Q:対米投資の話、いろいろな日本企業が関心を示しているということが先ほどもありましたけれども、そのことについてトランプ大統領が何か満足されている様子とかありましたでしょうか。そして、今後の課題というのを赤澤大臣はどのように感じていらっしゃるか、2点お願いします。
A:まず、大統領のご発言についてはちょっと。私どもがどういう発言したかについては話しやすいのですけれども、外交上のやり取りでもあり差し控えたいと思いますが、新しい試みなわけですね。つまり、米国が200以上の国に関税をどんと課して、相手がかしこまって関税を下げるというシンプルなモデルでやろうとした、押そうとしたときに、我が国が、日本は関税下げないけど米国は撤廃してくださいという交渉を挑んだわけです。そういう意味で、針の穴を通すようなものだと申し上げましたが、その上で投資イニシアティブを提案して、米国側が意義を認め、ラトニック商務長官の言葉であれば、日本はグレートパートナーであるということまで認めていただいて、やろうとしているものは、ラトニック商務長官の言葉を借りれば、ゲームチェンジャーだということを言っていますし、ベッセント長官も日本の投資イニシアティブは、米EU、米韓の合意の雛形になったと。そういう意味で、これはオリジナルなことをやろうとしているので、なかなか今まであった相場観でものが読めるところではないのです。だから、両国が協力して乗り越えていこうということですけれど、やはり、そこには大統領が持っておられる非常に強い問題意識、米国から製造業がなくなっていってしまった、忘れ去られた人たちが大変な苦しみを味わっている、そういう状況を改善したいし、それを主に経済安全保障上、重要な分野でやり抜こうということでありますので、これは日米双方がお互い特別なパートナーとして、それを成し遂げようということで、今後全く、ある意味新しい試みなのですが、しっかり取り組んで結論を出していきたいということになります。これはそう簡単に乗り越えられない、代替サプライチェーンを見つけられない、いろいろな困難がありますので、わりと一足飛びに、短期間にありとあらゆる分野でサプライチェーンが万全なものができあがるということはないわけですから、いろいろな困難を抱えますけれども、それは協力をして乗り越えていくということだと思っています。
日米間の投資に関する共同ファクトシート
Q:今日の公開されたファクトシートなのですけれども、いろいろな項目があって、エネルギーであったり、AI、インフラストラクチャ、いろいろな項目があるのですが、ざっと見た感じですと、自動車関係の日本の投資案件はこの中に入っていないと思うのですけれど、日米関税交渉の間も、大臣は最初から日本の投資実績をアメリカのほうに強く訴えていらっしゃったと思うのですけれども、自動車はその中でも積極的に投資しているセクターでもあると思うのですけれども、今回、自動車が入っていないということに関して、どう思われるのかというところ、今後これは入っていく予定はあるのかというところをお伺いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
A:まず、自動車も経済安全保障上、当然重要な分野であります。である以上、概念的にといいますか、可能性としてこのプロジェクトに入ってくる余地があるかといえばあると思います。ただ一方で、これ今まで日米で協力してはもちろん、それぞれ単独でもなかなかやっていなかった分野の投資というのはありますよね。そういうところに力を入れてやろうという思いはもちろんあるので、自動車についていえば、これまでも日本の国が6年連続で対米投資世界一の国であり続けていますが、その中に自動車は相当なものが含まれているのですよね。なおかつ直近、いつ発表するかということはありますけれども、日本の本当に有力なメーカーがさらにまた投資をするといったようなことは十分見込まれることであります。ということなので、ちょっとお答えを整理すると、自動車が目立たないというけれども、自動車については、これまでもものすごく投資してきて、今後もその流れで、端的にいえば6年連続米国への投資が世界一だったというその勢いで、日本は自動車の分野では投資をきっと続けることになるだろうと。具体的に近々出てくるものもあるだろうということを申し上げられますが、この5,500億ドルのスキームで力を合わせてやるかどうか、こういうことについては、可能性はもちろんあるということですが、まだ何か具体的に決まったものがあるわけではない。ご質問いただいた機会に申し上げておくと、すごくこれは、やはり特別なパートナーと認め合って日米双方の利益になると思ってやることなので米側も乗り気なわけですね。ラトニック商務長官がいろいろな機会で発言されることを聞いていただければ、MOUに書いてある言葉でいえば、アメリカ側は土地、水、エネルギーを提供する用意がある、作られた製品であるオフテイクは買い取る用意がある、規制については最速で処理する用意がある。具体的には、記者会見などで、例えば、就労ビザ、ものすごく日本企業はアメリカに進出するときに今心配をされることが多いと思いますけれども、これはむしろ私の承知しているところではビザを商務省が出すというようなことをきちんとやって、この5,500億ドルの投資の中でやるものについてはラトニック商務長官の責任において、連邦政府としてできる便宜は全部図るから一緒にやろうと、こういうことなので。そういう意味でそこに乗ってくるメリットを感じてもらえば自動車産業も乗ってくる可能性があると。ただ、自動車については、過去もそういうのを乗り越えて、ものすごい実績を上げていますし、逆にいえば、他の分野で何かやろうとする企業が、この新たなゲームチェンジャーと呼ばれる5,500億ドル投資の仕組みに乗ることに大きなメリットを認めるだろうと私は思うし、ラトニック長官もそう思っているわけですけれども、自動車の分野はそれを自力でかなりやってきているということがあるので、ちょっとそういう違いはあるかなと思います。
Q:先ほどの質問と関連して、また細かい点で申し訳ないのですが、今日出された共同ファクトシートの事業規模の総額、先ほど大臣は4,000億ドルとご発言されましたが、これはMOUに書かれている5,500億ドルの出資、融資、融資保証とは、直接は金額として比べるものというか、4,000億ドルだから5,500億ドルの何パーセントだと、そういうものではないという理解でよろしいでしょうか。
A:皆さんもMOUを読んでいただいていると思いますが、MOUで決めていることというのは、プロジェクトごとにSPVというものが立ち上がります。スペシャルパーパスカンパニーと日本で言っているものですけれども、スペシャルパーパスビークルと言っていますが。そこに資金も集めるし、いろいろなことでやるわけですけれども、JBICやNEXIがお付き合いあるのはそこですね。そこに対して、出資したり融資したり融資保証ということになります。一方で、脇に日本企業が出てきてSPVと契約を結びながら必要な部品を入れたり、できた製品を買い取ったりということで、ここに書いてあるファクトシートは、まさに事業規模の総額と書いてあるのですけれども、日本企業が部品、部素材を納入して売り上げるであろうことが予想される金額のレベルであるとか、あるいは実際に投資をする金額であるとか、いろいろなものが含まれて、それで4,000億ドルなのですが、それは逆に言うと5,500億ドルと比較する対象になるような数字ではないということだと思います。今おっしゃったご理解で全く正しい、私と同じ認識でございます。さらにいえば、それがまたこれからプロジェクトとして成立するにはMOUの協議委員会、投資委員会で大統領が選択されるというプロセスを経て、初めて5,500億ドルの対象としてプロジェクトに確定するということで、だいぶ隔たりがあるということです。
Q:共同ファクトシートのエネルギーの1ポツ目、2ポツ目にある原子力についてお伺いいたします。日米での原子力発電所の建設案件について書かれていることかと思いますが、これまで日米はいろいろな原子力分野で協力をしてきて、ここは10数年ほどですね、新設をしてなかった。米国では近年、ボーグル原発ができましたけれども、そういったブランクがあると思います。日米のですね、原発の供給網に関して、どのようなウインウインの効果が想定されているのかというところをまず伺えますでしょうか。
A:はい。これは、そこに書いてありますようにですね、例えば、ウェスチングハウスであれば三菱重工業、東芝あるいはIHI等の日本企業がですね、その事業にいろんな意味で参画し、売り上げを上げていくということを想定しております。GEベルノバ日立も全く同じことでありまして、そういう意味で、少なくともプロジェクトとして5,500億ドルで成り立つのであればですね、5,500億ドルの中で、JBICやあるはNEXIの支援を受けながらですね、こういう企業が参画をしていくということになるところであります。アメリカの中で何をするかという話ですので、米国がその原発の立地についてですね、どういう政策に基づいてどういうことをされるかというのは、まさに米国ということです。我が国の中の原発の立地みたいなことについていえば、もちろん、これはもう安全の確保と地域の理解という絶対条件でありまして、そこに何か関係があるようなものであるということではありません。ただ1つ言えることは、全体としてですね、サプライチェーンの強靱化という目的には叶うという方向を、みんなが動いているということだと思います。原発を作るにしても、エネルギーを確保していくための努力でありますけど、我が国でいえば、S+3Eの世界ですが、そういうものを確保しながら、しっかりやっていくという意味でのサプライチェーンの強靱化につながるというプロジェクトであることは間違いがないと思います。
Q:関連してですね、またちょっと、個社名を挙げて恐縮ですが、東芝はかつて米国と協力して原発を作って、ちょっと頓挫してしまって、非上場化に今至ってるという現状がありますが、原発分野、米国内での建設検討するプロジェクトだと思うんですが、そこに日本企業が参加するという、このリスクをですね、どうやって軽減していきたいか、もしお考えればお願いします。
A:これはまさに日本企業がですね、自らそのリスクとかそういうものはご判断をされることになると思います。ただ、その判断をされるにあたってですね、これやっぱりMOUにあるように、連邦政府が工場を建てるなら土地は提供しますよとか、そういう類の条件提示があるわけで、そういうものも含めて、SPV全体がですね、どれぐらいの例えば利益が生じるかみたいなことを計算しながらいきますし、そこに日本企業がいろんなプラントとか部素材とかそういうものを納入して利益を上げる、売り上げが立つというところについては通常の商売でありますので、そこについていえば、経営判断をきちっとしていただくということだろうと思います。当然ながら、日米政府が協力して、合意をした上でやっていこうというビジネスですので、両政府が揃って事業のリスクというものは極力抑えるように努力いたしますし、先ほど申し上げたように、いろんな意味で、規制についてもですね、優先というか配慮がもらえるというようなことも全部含めて、それぞれ関係する部分について、各企業がリスクを判断して、実際に経営判断をされるということだと思います。改めて申し上げれば、ここに書いてある企業が必ず参画するということが決まっているわけでもありませんし、ここにない企業が今後参画を表明されるということもあり得るということだと思います。
Q:最後、同じ分野ですね。地政学リスク的な観点からちょっとお伺いしたいんですけれども、過去、十数年に関しては、ロシアと中国がかなり原発の建設を進めてきました。日米でのこの、なんですかね、原発の建設案件がこう公表された文章っていうのは、私はすごいインパクトを受けたわけですけれども、現在はその地政学、エネルギーも含めた地政学リスクの環境の中で、日米が改めて原発分野で協力していくということを打ち出した意義っていうのはどうお考えになってますでしょうか。
A:これは、だから、いろんなことを考えながらやっているわけですけど、今日、高市総理が、日米というのは世界で最も重要な同盟関係というようなおっしゃり方をされたかと思いますが、そういう、お互い認識を持つ間柄でですね、エネルギーの安定供給、まさにエネルギーのサプライチェーンの強靱化というものを同盟国できちっと作り上げるということの意義が、これまでにないぐらい大きくなっているという判断が背景にあるということだと思います。
寿都町長選挙
Q:ちょっと話題変えてしまって恐縮ですけれども、今日ですね、北海道の寿都町で町長選の投開票が行われております。寿都町では最終処分選定に向けた調査が行われています。まだ選挙結果判明しておりませんけれども、現職と新人1人が立候補していて、いずれも選定プロセスの見直しを訴えてます。こういった地元の声も踏まえて、今後、調査自治体にどう向き合っていこうと考えていらっしゃいますか。
A:はい、北海道のですね、寿都町における町長選挙の投開票が本日行われることは承知しております。ただ、選挙の内容や結果に関するコメントは差し控えたいと思います。最終処分地の選定はですね、賛否様々な声がある難しい問題ですが、地域のご理解なくして処分地選定を進めることは困難です。選定プロセスの見直しに関する意見も含めてですね、いただいている様々なご意見も参考にしながら、処分地選定を前に進めるための方策を継続的に検討してまいります。引き続き、調査自治体はじめ地域の皆様のご理解を得られるように、分かりやすい情報発信や丁寧な対話活動に取り組んでまいりたいと思います。
アラスカLNG
Q:先ほどエネルギーの安定供給というお話出ましたけれども、今回の日米会談でアラスカのLNGプロジェクトについて何らかのやり取りがあったのかどうかというのを教えてください、よろしくお願いいたします。
A:はい。競争力の高いLNGがですね、地理的に近接するアラスカから供給されること、これは供給源の多角化に貢献する意義を有するものだと考えています。米国企業などとの間でですね、プロジェクトの実施体制などの具体的な検討状況の確認を続けるとともに、経済性や生産開始時期等に関する協議を継続し、状況を考慮しながら適切な方策を講じていきたいと考えています。本プロジェクトが日米双方の利益につながるよう、日本の官民の関係者とともに、米国関係者と緊密な協議を継続してまいりたいと考えておりますが、本日、どんなやり取りがあったかについては、外交上のやり取りですので、この場では差し控えたいと考えております。
日米間の投資に関する共同ファクトシート
Q:先ほど、約4,000億ドルの事業規模で、とても大きな数字だと思うんですけれども、この投資総額、売上げは、先ほど大臣がおっしゃっていた部品ですとか素材を納入した、そういう売上げという理解でいいのか、それとも、例えば、そのエネルギーのインフラを作って、それで作った電気を売るっていう、それの売上げまで含むという理解、すみませんが、教えていただけたらと思います。
A:はい。現時点では、各プロジェクトをConciderあるいはExploreしようという意味で、積極的に、とにかくアメリカ政府も貢献しますし、日本もNEXIあるいはJBICも支援しますよということで、絶賛、手を挙げてくださる企業募集中みたいなとこあるので、厳密なものでは必ずしもちょっとないわけでありますが、売上げについていえば、まさに、例えば1ページの中にもいろいろありますけど、電力、下から2つ目、キャリアっていうことでいうと、電力インフラに不可欠な冷却装置、空調システム、冷却益配分ユニットを含む熱冷却システム及びソリューションの供給なんていうことについて、日本企業が関与して、それを例えば一手に引き受けるとなれば、最大200億ドルぐらい納入することになるのではないのというようなイメージというか意味だと私自身は理解しております。これ、大事なことは、やっぱりJBICやNEXIが関与する以上は、日本の経済にメリットですね、裨益するところがなければだめだということが、我々、法令上の制約だと思っていますので、それに見合う形で、こんな形で日本企業に売上げが立つということが期待できるのではないかというようなことを示唆をする数字になっているということだと思います。
日米間の投資に関する共同ファクトシート、日米関税合意
Q:度々の質問で大変恐縮ですが、ファクトシートについて、先ほどトランプ大統領の反応を差し控えということだったですけれども、投資イニシアティブをまとめられた赤澤大臣の受け止めがありましたらお伺いしたいです。あわせて、その関税合意ですが、赤澤大臣とトランプ大統領の間で合意なさった内容を、日米首脳間で改めて確認したという形にもなるのかなと思うんですけれども、その受け止めについても何かありましたらお伺いできますと幸いです。
A:まず1点目はですね、これ、ラトニック商務長官がかなり今回、日本の企業といろんなお話をされていると理解しています。当然ながら、実際に5,500億ドルの当初の対象になるかどうかというのはあると、MOUに乗っけてですね。全て協議委員会、答申委員会と手続を動かして決まっていることなので、そういう意味で、MOU、プロセスとはまだ全く何の関わりもないものでありますが、ただ、そのプロセスに乗せる、いわば候補とかね、種というか、そういうものを日米両政府、力を合わせてやろうとしてるので、この指止まれって言い方がいいかあれですけど、絶賛ふるってご参加くださいという呼びかけに対して、多くの企業が名乗りを上げてですね、関心を示してくださり、ということについては、大変期待の持てる、ありがたいことだなと感じています。全く手が上がらずにですねっていうと、これ、我々からすれば、プロジェクトをしっかり積み上げて、日米両国の利益になる、そういう取組をしていきたいと思っています。そういう意味で、もちろん今回、5,500億ドルの投資イニシアティブとの関係はまだ生じていない、このファクトシートに出てくる各取組でありますけど、今後、それがですね、MOUに則って、しっかりとした審査を受けた上で、大統領が選ばれて、我々は、資金面でもですね、投資をしながら最終的に大きな果実を生むようなものに育ってくれることを大いに期待したいと思います。あともう一つ何でしたか。
Q:日米合意に、関税合意に関して首脳どうしで改めて確認されたのか。
A:そこはですね、やっぱり私ども、文書は何も変わってなくて、7月22日に内容について疑いのない合意ができたと思っておりまして、それに基づいて9月4日には大統領令も出ている。今回の首脳間の合意もですね、7月22日あるいは9月4日の大統領令、共同声明、了解覚書ですね、その3つも念頭に置きながら、合意をしっかり実施していく、確固たるコミットメントを両首脳にしたということなので、何かしら今回改めて合意したことがあるということではなくてですね、これまでに、7月22日、9月4日、7月にできた合意を9月4日に一部実施をしたわけでありますけど、そういうものを、改めてきちっとやっていくということを首脳間で確認をしたということだと思います。
最終更新日:2025年10月29日