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飲食関連産業の動向(FBI 2022年上期);第2四半期上昇に転じたフード・ビジネス・インデックス、「飲食店,飲食サービス」は緩やかに回復へ

    フード・ビジネス・インデックス(Food Business Index、以下FBIという。)とは、生活に身近な飲食料品に関連する食料品工業、食料品流通業、「飲食店,飲食サービス業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標です。 今回は、2022年上期分の数値をまとめた「飲食関連産業の動向(FBI 2022年上期)」スライド資料より抜粋してFBIの動きをご紹介します。

    図表01

    2022年上期フード・ビジネス・インデックスの動き

    下のグラフは、FBIの四半期毎の推移を表したものです。2022年上期、第1四半期は前期比マイナス3.0%と大きく低下したものの、第2四半期は前期比2.2%と上昇しました。

    前年2021年の動きを振り返ってみると、第3四半期まで緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が続いたことから低下が続いていました。第4四半期はこれらの解除により、指数値93.6と急上昇しましたが、2022年に入り再び新型コロナウイルス感染症が拡大したことから、第1四半期は低下に転じ、指数値90.8となりました。3月下旬には行動制限が解除となり、続く第2四半期は上昇、第1四半期の低下分をカバーするまでには至らないものの指数値92.8となりました。

    図表02

    FBIを構成する3業種をみると、食料品流通業は、第1四半期に前期比マイナス3.0%と4期ぶりに低下しましたが、第2四半期は上昇に転じました。「飲食店,飲食サービス業」も同様に第1四半期に前期比マイナス5.2%と低下しましたが、第2四半期は前期比14.4%と急上昇しました。

    食料品工業は、2019年頃より上昇と低下を繰り返していましたが、2022年上期は2期連続の低下となりました。

    図表03

    FBIの伸び率に対する3業種の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比マイナス3.0%に対し、最も影響が大きかったのは食料品流通業で、マイナス1.5%ポイントと低下に寄与しました。第2四半期は、FBIの前期比2.2%に対し、「飲食店,飲食サービス業」が3.3%ポイントと大幅な上昇寄与となりました。

    図表04

    第1四半期は食料品流通業の低下の影響大

    次に、2022年第1四半期のFBI低下に最も大きく影響した食料品流通業の内訳の動きをみていきます。

    飲食料品卸売業は、2018年第4四半期頃より上下動しながらも低下傾向で推移しています。2022年に入り、第1四半期に前期比マイナス0.6%と小幅ながら低下、第2四半期は前期比2.2%と上昇しました。

    各種商品小売業(飲食関連)は、2020年第2四半期に急低下し、その後は一定程度回復がみられるものの、長期的には低下傾向がうかがえます。2022年に入り、第1四半期に前期比マイナス5.7%と大きく低下したものの、第2四半期には上昇に転じました。

    他方、飲食料品小売業は、感染症拡大の影響が出始めた2020年第1四半期以降、指数値100を超える高水準で推移していましたが、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が全面解除となった2021年第4四半期に低下に転じました。2022年に入り第1四半期も連続低下、第2四半期は横ばいとなりました。これは、外出自粛等による内食需要の高まりが落ち着きつつあることが背景にあるのかもしれません。

    図表05

    食料品流通業の伸び率に対する、内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比マイナス3.0%に対し、最も影響が大きかったのは飲食料品小売業で、マイナス2.6%ポイントと低下に寄与しました。飲食料品小売業の動向が、2022年第1四半期のFBIの動きに大きく影響したことがうかがえます。

    図表06

    低調が続く「飲食店,飲食サービス業」は第2四半期大幅に上昇、緩やかに回復へ

    続いて、第2四半期のFBI上昇に最も大きく影響した「飲食店,飲食サービス業」の内訳の動きをみていきます。

    「食堂,レストラン,専門店」、喫茶店、「パブレストラン,居酒屋」の3業態は、2022年に入り再び感染症拡大の影響で第1四半期は大幅に低下したものの、行動制限の解除により第2四半期は揃って上昇に転じました。なかでも「食堂,レストラン,専門店」は、指数値84.7とコロナ禍で最低水準となった2020年第2四半期以降で最も高い水準となりました。また、2020年以降の推移をみると、感染症拡大時の落ち込み幅が少しずつ小さくなっており、感染症拡大前の水準までは届いていないものの、回復途上にあることがうかがえます。

    一方で、「パブレストラン,居酒屋」は、第2四半期上昇に転じたものの低い水準に留まっており、低調が続いています。

    飲食サービス業(持ち帰りや配達飲食サービス業)は、2021年第4四半期からわずかながら上昇が続いており、ファーストフード店は、第1四半期は上昇しましたが、第2四半期は5期ぶりの低下となり一服感がみられました。

    図表07

    「飲食店,飲食サービス業」の伸び率に対する、内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、第2四半期の前期比14.4%に対し、最も影響が大きかったのは「食堂,レストラン,専門店」で、10.3%ポイントと上昇に寄与しました。「食堂,レストラン,専門店」の動向が、2022年第2四半期のFBIの動きに大きく影響したことがうかがえます。

    図表08

    2022年上期のFBIの動きは、食料品流通業、「飲食店,飲食サービス業」の低下・上昇が大きく影響しました。第2四半期には行動制限の解除により外出機会が増加し、業態によって差があるものの低調が続いている「飲食店,飲食サービス業」に回復傾向がみられました。しかしながら、原材料価格の高騰や人手不足、感染症拡大の影響が長期化する中で生活習慣の変化など、フード・ビジネスを取り巻く厳しい環境が続くことが予想されます。引き続き動向を注視し、またご紹介していきたいと考えます。

    この他にも、今回ご紹介しきれなかったフード・ビジネスの動きについて「飲食関連産業の動向(FBI 2022年上期)」スライド資料に掲載していますので、是非御覧下さい。

    ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2022年上期)」のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20221024minikeizai.html

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