フード・ビジネス・インデックス(Food Business Index、以下FBIという。)とは、生活に身近な飲食料品に関連する「食料品工業」、「食料品流通業」、「飲食店,飲食サービス業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標です。
今回は、2022年分の数値をまとめた「飲食関連産業の動向(2022年)」スライド資料より抜粋してFBIの動きをご紹介します。

3年ぶりの上昇となった2022年のFBI
下のグラフは、FBIの年単位での動きを表したものです。2022年のFBIは、指数値92.2、前年比1.9%と3年ぶりの上昇となりました。FBIを構成する内訳3業種のうち「飲食店,飲食サービス業」は前年比14.2%と急上昇した一方、「食料品工業」は同マイナス0.9%と3年連続、「食料品流通業」は同マイナス2.1%と4年連続の低下となりました。

FBIの前年比1.9%に対する3業種の影響度合い(寄与度)をみると、最も影響が大きかったのが「飲食店,飲食サービス業」で3.1%ポイントの上昇寄与、対して「食料品流通業」がマイナス1.1%ポイントの低下寄与でした。2022年のFBIの上昇は「飲食店,飲食サービス業」がけん引したことが分かります。

四半期の動き、年後半は横ばい圏内で推移
年間の動きを四半期毎にみると(下グラフ、黒点線)、3月までの新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置により、第1四半期は低下し、指数値90.8と低い水準となりました。3月下旬の解除により、第2四半期は上昇となりましたが、それ以降は横ばい圏内の動きとなっています。

内訳業種別では、「飲食店,飲食サービス業」は第1四半期に低下しましたが、第2四半期は大幅に上昇し、第3、4四半期はわずかに低下しています。「食料品工業」は、2019年頃より上昇と低下を繰り返していますが、2022年は第2四半期まで連続低下、第3四半期は上昇したものの、第4四半期に入り再び低下に転じました。「食料品流通業」は第1四半期に4期ぶりに低下し、第2、3四半期にわずかに上昇しましたが、第4四半期は低下しています。
「飲食店,飲食サービス業」、第2四半期に上昇、年後半は緩やかな低下。
次に、2022年FBIに対する上昇寄与が最も大きかった「飲食店,飲食サービス業」の動きを詳しくみていきたいと思います。

「飲食店,飲食サービス業」の動きについて、まず2021年を振り返ってみると、多くの系列で第3四半期まで低下、第4四半期は緊急事態宣言等の解除などにより急上昇する動きがみられました。
2022年に入っても、第1四半期に再び行動制限が行われたことで「食堂,レストラン,専門店」、「パブレストラン,居酒屋」、「喫茶店」を中心に低下しました。第2四半期は行動制限の解除等による影響で急上昇しましたが、年後半は緩やかに低下しています。
他方、飲食サービス業(持ち帰りや配達飲食サービス業)やファーストフード店は、持ち帰りや宅配といった販売形態を持ち、感染症拡大の影響を受けづらい業態ということもあり、2022年は大きな増減はなく、緩やかな低下傾向で推移しています。
このように、2022年の動きをみると、引き続きコロナ禍の影響を受けやすい業種と受けづらい業種で、四半期の動きに違いがみられました。

続いて、2022年における「飲食店,飲食サービス業」の内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、低下・上昇への影響が最も大きかったのは、2021年と同様に「食堂,レストラン,専門店」、次いで「パブレストラン,居酒屋」でした。
具体的には、「飲食店,飲食サービス業」の前年比14.2%に対し、「食堂,レストラン,専門店」が8.8%ポイント、次いで「パブレストラン,居酒屋」が4.7%ポイントとなっており、2022年も引き続きコロナ禍の影響を受けやすい業態の寄与が大きくなっています。
2022年の動きを振り返ってみると、3月下旬に新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置が解除されたことなどにより、「飲食店,飲食サービス業」が回復したことで、フード・ビジネス全体も3年ぶりの上昇となりました。一方、「食料品工業」及び「食料品流通業」はなお低下傾向にあります。2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法における位置付けが2類相当から5類に移行しましたが、引き続きアフターコロナにおけるフード・ビジネスの動向を注視し、またご紹介していきたいと考えます。
この他にも、今回ご紹介しきれなかったフード・ビジネスの動きについて「飲食関連産業の動向(2022年)」スライド資料に掲載していますので、是非御覧ください。
- ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2022年)」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20230714minikeizai.html