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飲食関連産業の動向(FBI 2023年);「飲食店,飲食サービス業」の上昇により、2年連続の上昇となった2023年のフード・ビジネス

    フード・ビジネス・インデックス(Food Business Index、以下FBIという。)とは、生活に身近な飲食料品に関連する「食料品工業」、「食料品流通業」、「飲食店,飲食サービス業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標です。

    今回は、2023年分の数値をまとめた「飲食関連産業の動向(2023年)」スライド資料より抜粋してFBIの動きをご紹介します。

    図表01

    2年連続の上昇となった2023年のFBI

    下のグラフは、FBIの年単位での動きを表したものです。2023年のFBIは、指数値94.0、前年比2.0%増と2年連続の上昇となりました。

    前年2022年の動きを振り返ってみると、3月下旬に新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置が解除されたことなどにより、「飲食店,飲食サービス業」が回復したことで、フード・ビジネス全体も3年ぶりの上昇となりました。

    2023年は、5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法における位置付けが2類相当から5類に移行(以下、「新型コロナの5類移行」)したこともあり、「飲食店,飲食サービス業」は前年比11.2%増と2年連続の上昇となりました。

    一方、「食料品工業」は同1.7%減と4年連続、「食料品流通業」は同0.5%減と5年連続の低下となりました。

    図表02

    FBIの前年比2.0%に対する3業種の影響度合い(寄与度)をみると、最も影響が大きかったのが「飲食店,飲食サービス業」で2.8%ポイントの上昇寄与、対して「食料品工業」が0.5%ポイントの低下寄与でした。2022年に引き続き2023年も、「飲食店,飲食サービス業」がFBIの上昇をけん引しました。

    図表03

    四半期の動き、期間を通してみると緩やかな上昇傾向で推移

    FBIの年間の動きを四半期毎にみると(下グラフ、黒点線)、各期ごとに交互に上昇、下降の動きを見せ、第4四半期には指数値94.0と低下したものの、期間を通してみると緩やかな上昇傾向で推移しました。

    図表04

    内訳業種別では、「飲食店,飲食サービス業」は、3月のマスク着用の緩和、さらに5月の新型コロナの5類移行などの要因により、第3四半期まで上昇傾向での推移を見せましたが、第4四半期は4期ぶりに低下しました。

    「食料品工業」は、2019年頃より上昇と低下を繰り返していますが、2023年も引き続き上昇と低下を交互に繰り返しつつ、緩やかな低下傾向で推移しました。

    「食料品流通業」は、小幅な上昇・低下を繰り返しながら、ほぼ横ばいで推移しましたが、第4四半期は低下となりました。

    「飲食店,飲食サービス業」、緩やかな上昇傾向を見せるも、第4四半期に一転、低下に。

    次に、2023年FBIに対する上昇寄与が最も大きかった「飲食店,飲食サービス業」の動きを詳しくみていきたいと思います。

    図表05

    「飲食店,飲食サービス業」の動きについて、まず2022年を振り返ってみると、「ファーストフード店」「飲食サービス業」は2020年後半にはコロナ禍前の水準近くまで回復していましたが、回復の遅れていた「食堂,レストラン,専門店」、「パブレストラン,居酒屋」、「喫茶店」の3系列についても回復する動きがみられはじめました。

    2023年に入り、マスク着用が個人判断とされるなど、コロナ禍前の生活に戻りつつある中、外出機会が増加したこと、さらに新型コロナの5類移行による影響により、それまでコロナ禍の影響を大きく受けていた「食堂,レストラン,専門店」、「パブレストラン,居酒屋」、「喫茶店」の3系列が前年比でみると大幅な増加となりました。

    しかし、「パブレストラン,居酒屋」について、四半期ごとの推移をみると、第1四半期は大きく上昇したものの、第2四半期以降は伸び悩む展開となっており、コロナ禍前の水準から離れた状況が続いています。これは、コロナ禍前のような大規模宴会や二次会等、遅い時間帯の需要が戻って来ていないことが要因であると考えられます。

    このように、2023年の動きをみると、業態によって、コロナ禍前の水準にまで回復するスピードに違いがみられました。

    図表06

    続いて、2023年における「飲食店,飲食サービス業」の内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、上昇への影響が最も大きかったのは、2022年と同様に「食堂,レストラン,専門店」、次いで「パブレストラン,居酒屋」でした。

    具体的には、「飲食店,飲食サービス業」の前年比11.2%上昇に対し、「食堂,レストラン,専門店」が6.3%ポイント、次いで「パブレストラン,居酒屋」が3.0%ポイントの上昇寄与となっており、2023年も引き続きコロナ禍より低調が続いていた業態の寄与が大きくなっています。

    2023年の動きを振り返ってみると、新型コロナの5類移行などにより「飲食店,飲食サービス業」が回復したことで、フード・ビジネス全体も2年連続の上昇となりました。

    しかし、「飲食店,飲食サービス業」の中でも「パブレストラン,居酒屋」の回復が遅れていることや、引き続き「食料品工業」及び「食料品流通業」は、緩やかながら低下傾向が続いております。

    新型コロナの5類移行から1年超が経過し、また2024年は訪日外国人観光客の増加によりインバウンド需要が期待できる状況になりますが、引き続き、フード・ビジネスの動向を注視し、またご紹介していきたいと考えます。

    この他にも、今回ご紹介しきれなかったフード・ビジネスの動きについて「飲食関連産業の動向(2023年)」スライド資料に掲載していますので、是非御覧ください。

    ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2023年)」のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20240719minikeizai.html

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