1. ホーム
  2. 統計
  3. 経済解析室トップ
  4. 経済解析室ニュース
  5. 2025年上期小売業販売を振り返る;物価高が続く2025年上期の消費動向をみていきます

2025年上期小売業販売を振り返る;物価高が続く2025年上期の消費動向をみていきます

    商業動態統計(経済産業省)は、財における個人消費の動向を供給側から直接把握することができる指標です。2025年上期の小売業販売動向について、この指標を用いて業種別、業態別販売額の変動要因等を分析した スライド資料「2025年上期 小売業販売を振り返る」 より、主な図表を紹介し、2025年上期の小売業販売について振り返ります。

    下の図は、商業動態統計における主な業態から見た商業販売額の概要図です。

    2025年上期の商業販売額は、前年同期比2.5%増加し、約311兆円でした。うち約4分の3を占める卸売業は前年同期比2.4%増加、約4分の1を占める小売業は同2.7%増加しました。

    小売業について業態別にみると、ドラッグストア、スーパー、家電大型専門店、コンビニエンスストア、ホームセンターは前年同期より販売額が増加し、百貨店は減少しました。

    図表01

    業種別では自動車小売業、飲食料品小売業等が増加

    下のグラフは、小売業販売額への業種別寄与度をあらわしたものです。2025年上期の前年同期比2.7%の増加に最も寄与したのは「自動車小売業」、次いで「飲食料品小売業」でした。他方、「各種商品小売業」が減少に寄与しました。

    図表02

    スライド資料では、業種別に販売額の変動要因を「数量」と「価格」に分解したグラフを掲載しています。

    増加に大きく寄与した「自動車小売業」からみていくと、2025年4月までは価格要因と数量要因が相まって増加傾向にありましたが、5月以降は数量要因が減少に転じ、ほぼ横ばいとなりました。

    「飲食料品小売業」は、価格要因により増加傾向が続いていますが、2024年後半から数量要因の下げ幅が大きくなっており、飲食料品における価格上昇の影響が継続しているものと考えられます。

    図表03

    他方、減少に寄与した「各種商品小売業」をみると、2025年2月以降、数量要因により減少傾向となりました。

    図表04

    百貨店販売額は高額品の購買減少等により前年同期を下回る

    スライド資料では、百貨店、スーパー、コンビニエンスストアの販売額の変動要因を「店舗数」と「1店舗当たり販売額」に分解したグラフを掲載しており、それぞれの業態の出店傾向をうかがいながら販売額の推移をみることができます。

    3業態のうち、スーパー、コンビニエンスストアは販売額が対前年同期比で増加した一方、百貨店は、前年同期比3.6%の減少となりました。

    減少となった百貨店の販売額推移を「店舗数」と「1店舗当たり販売額」に分解してみていくと、店舗数については、減少傾向が続くとともに、1店舗当たり販売額についても減少となりました。

    図表05

    下のグラフは、百貨店販売額の商品別寄与度をあらわしたものです。

    図表06

    2025年上期の推移をみると、1月は増加しましたが、2月以降、減少幅が拡大しました。最も減少に寄与したのはハンドバッグ等を含む「身の回り品」、次いで「婦人・子供服・洋品」でした。

    この背景には、1月にはインバウンド需要が好調でしたが、その後は、円高傾向により高額品の購買減少が継続していること(注)などが考えられます。

    注 一般社団法人日本百貨店協会「全国百貨店売上高概況」を参考に記載。

    食品をメインに好調が続くドラッグストア、家電大型専門店は通信家電が好調

    次に、専門量販店3業態(家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンター)から、好調が続くドラッグストアをみていきます。 下のグラフは、ドラッグストア販売額の商品別寄与度をあらわしたものです。

    図表07

    販売額は前年同期比6.2%の増加、店舗数は同3.9%の増加となりました。

    販売額は、ドラッグストアの統計調査で前年比が算出可能な2015年以降、一貫して増加で推移しており、2025年上期も堅調に推移しました。商品別にみると、最も増加に寄与したのは「食品」、次いで「調剤医薬品」でした。

    「食品」の販売額は、2025年上期は前年同期比9.9%と大幅に増加しました。ドラッグストア販売額の約3分の1を占め、2015年以降増加を続けています。

    次のグラフは、家電大型専門店販売額の商品別寄与度をあらわしたものです。

    図表08

    販売額は前年同期比4.6%の増加、店舗数は同0.6%の減少となりました。商品別にみると、最も増加に寄与したのは携帯電話・スマートフォン等を含む「通信家電」、次いでエアコン等を含む「生活家電」となりました。減少に最も寄与したのは「AV家電」で、2021年から減少が続いています。

    このように、毎日の生活の中で身近な小売業ですが、改めてデータで振り返ってみると、実感する変化と数字を通してみる変化、両方の変化をみることができ、より理解が深まるものと思います。

    「2025年上期小売業販売を振り返る」スライド資料では、今回紹介しきれなかったグラフや詳細を掲載していますので、ぜひ御覧ください。

    ミニ経済分析「2025年上期小売業販売を振り返る」のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20251008minikeizai.html

    お問合せ先

    問合せ先が表示されない場合はこちらのページからご確認ください