手書きで文字を書くときに簡単な漢字もすぐに思い出せない、そんなことはありませんか？ パソコンやスマートフォン等の普及により、筆記具を手にとって文字を書く機会がめっきり減っている方も多いのではないでしょうか。 今回は筆記具のうち、代表的なボールペン、マーカーペン、シャープペンシルの動向について見ていきます。
国内での文具の生産はコロナショック後に回復、横ばいに推移
鉱工業生産指数から「文具」（ボールペン、マーカーペン、シャープペンシル）の推移を見てみると、2020年には新型コロナウイルスの影響を受けつつも翌年には順調に回復し、横ばいに推移していると言えます。一方で「紙」、「印刷業」については長期的なデジタル化やペーパーレス化の影響を大きく受けて下落傾向にあることが読み取れます。
海外への輸出が好調
次に経済産業省生産動態統計と貿易統計（財務省）から筆記具（国産品）の国内向け販売および輸出の動向を見てみましょう。
国内向け数量は、コロナ前に戻り切ってはいないものの、比較的横ばいに推移していますが、国内向け販売額は、2023年に持ち直しが見えますが、下方傾向に見えます。一方、輸出については円安の影響も受けて特に金額ベースで見るとコロナ後の回復傾向が強く、コロナ前の2019年と2023年を比較すると１５％以上増加しています。
個別にみますと、ボールペン（水性）の輸出比率が７０％近傍を示しており、シャープペンシルが６０％前後、マーキングペンおよびボールペン（油性）も５０％近傍の輸出比率となっています。
筆記具の主な輸出相手国はアメリカと中国
このように輸出比率が高いボールペン、マーカーペン、シャープペンシルを合計した筆記具の主な輸出相手国を見てみます。アメリカと中国への輸出が全体の約５割を占めており、近年はフランスや韓国向けも増加傾向にあるようです。
まとめ
筆記具の国内市場は頭打ち傾向に推移しているものの、近年では輸出が増加しており、今後はさらに外需が筆記具市場を牽引していくことが考えられます。海外で支持される背景は、日本の文房具・筆記具の多種多様なデザインや機能性であり、特に消せるボールペンが絶大な支持を得ているといわれています。 これもあってか、国内においても文房具店で訪日外国人観光客の姿が目立つ等、インバウンド効果も見込まれます。高い機能性や品質を誇る日本の筆記具は海外の人々も魅了しているようです。 ７月２３日は「ふみの日」です。久しぶりにペンを手に取り、日頃の感謝の気持ちや季節の挨拶を手紙にしたためてみるのはいかがでしょうか？
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