広告は、テレビ、新聞雑誌や屋外など、身近なところで見かけます。近年は、情報の入手元の主流は、スマートフォンあるいはパソコンを利用してインターネットやSNSからとなっています。今回は、広告業の状況を第3次産業活動指数からみてみます。
広告業は、インターネット広告を除き低迷
第3次産業活動指数では、広告業指数を4媒体広告とその他の広告に区分しています。4媒体広告は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌に分かれます。その他の広告には、インターネット広告(以下、ネット広告)の他に交通広告、屋外広告、折込み広告などが含まれます。
広告業指数をみますと、2019年までほぼ横ばいでしたが、2020年以降は下方トレンドに変化しています。その要因は、従来型の4媒体広告の長期の低迷にあります。その他の広告は、ネット広告が唯一、上昇傾向にあります。

広告の主流は、4媒体広告からインターネット広告へシフト
株式会社電通の「日本の広告費」から媒体別広告費の構成をみますと、2005年は4媒体広告の中心的存在のテレビ広告が30.6%、新聞広告が15.2%を占めています。一方、ネット広告は5.5%程度と雑誌広告と僅差となっていました。その後、スマートフォン(以下、スマホ)の登場により、広告媒体の構成も一変します。ニュースや情報の入手元の主体がスマホに変化することで、4媒体のうちテレビ広告以外の新聞広告、雑誌広告、ラジオ広告は、2023年には2005年当時のネット広告を下回るほどに落ちこんでいます。ネット広告は、2023年45.6%を占めていますので、2005年の4媒体計の構成に匹敵します。完全に広告媒体の主流はネット広告にシフトし、テレビ広告以外の4媒体広告は、その媒体の長期低落とともに衰退する一方です。


インターネット広告の現状と課題
ネット広告は、インターネット上のページやメールを経由して表示されます。その他には、SNS、動画配信サイトやオンラインプラットフォームのゲームも同様にネット広告が表示されます。無料のサイトは、その運営するための収入源をネット広告に依存しているからです。ネット広告には、ネットのページにあるバナー広告と検索エンジンを使いキーワードに連動して表示されるリスティング広告があります。バナー広告やリスティング広告は、興味あるいは関心がある広告が表示されるので、便利であり他の広告と比べて優位と言えます。
一般財団法人日本インタラクティブ広告協会「2022年インターネット広告に関するユーザー意識調査」によると、回答者の92.5%の人がネット広告の存在を許容し、広告をクリックしてサイトを訪問したことがある人のうち70.4%が有益に感じた経験を持っているようです。
一方で、信頼度となると、ネット広告は22.3%、テレビ広告が44.4%、新聞広告が45.3%と比べて低い傾向にあるようです。その理由として「しつこい/不快」が35.8%、「邪魔な/煩わしい/うっとうしい」34.0%があげられています。背景にネット広告には、悪質な広告も存在することが考えられます。
ネット広告は、4媒体広告や他の広告媒体に比べて新しい媒体で、使い勝手と新しい状況を入手するには有益ではありますが、悪質な広告も含まれていることを理解して上手に利用しましょう。
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