昨今、多方面からAIのワードを聞きませんか。今話題のAIは、生成AIが中心となっているようです。今回は、AIに関連する指標を鉱工業指数(IIP)と第3次産業活動指数から抽出してその動向をみてみます。
AI(人工知能)とは
一般社団法人人工知能学会の「教養知識としてのAI」によれば、「『人工知能とは何か』という問いに対する答えは、単純ではない。人工知能の専門家の間でも、大きな議論があり、それだけで1 冊の本となってしまうほど、見解の異なるものである。そのような中で、共通する部分を引き出して、一言でまとめると、『人間と同じ知的作業をする機械を工学的に実現する技術』といえるだろう。」( https://www.ai-gakkai.or.jp/resource/ai_comics/comic_no1/ )と記載されている。 このことから、AIについての明確な定義は確定していないようですが、生成AIには、高性能なGPUが必要とされています。パソコンでの一般的な使用には高性能なGPUは必ずしも必要ではありませんが、3Dグラフィックやデータ量の多い画像や映像を処理するには必要とされます。
AIに関連する指標の抽出
AIには高性能GPU以外にも半導体や集積回路も必要とされているため、「モス型IC(ロジック)」、「モス型IC(メモリ)」、それら集積回路等を生産するために必要な「半導体製造装置」、「半導体・IC測定器」や、高速なデータ処理をするためにデータセンター等との接続に必要な「通信用ケーブル光ファイバ製品」を鉱工業指数(以下、 IIPという)から抽出してここでは、「AI関連製品」とし、第3次産業活動指数からは、関連するサービスとして「ソフトウェアプロダクト(除くゲームソフト)」、「情報処理・提供サービス業」を抽出して「AI関連サービス」としてみます。
AI関連製品の生産は、1.7倍に成長
AI関連製品の生産をみると、海外の巨大テック企業の投資の一服感から2022年第4四半期から4四半期ほど低下傾向をみせておりましたが、2023年第4四半期以降、再び上昇傾向に転じています。 IIPの総合と比べるとその差が歴然としています。その中間にあるのは、「AI関連製品」と「AI関連サービス」を統合した「AI関連製品・サービス」であり、なだらかな上昇傾向にあります。 AI関連製品の前期比をみますと、ウエイトが高い「半導体製造装置」、「モス型IC(メモリ)」が存在感を示しています。2024年第4四半期のAI関連製品は、前期比(季節調整済)17.0%増加し、そのうち「半導体製造装置」の22.8%ポイントの増加に寄与しましたが、「モス型IC(メモリ)」は4.7%ポイントの低下に寄与しました。 AI関連製品を「2020年=100」としてみると、2024年は168.3となり4年間で約1.7倍に成長しています。2024年第4四半期(10月~12月)は、192.3(季節調整済)となり2倍に迫る成長を示しています。内訳では、寄与度をみますと「半導体製造装置」と「モス型IC(メモリ)」がけん引しているようです。


輸出入の動向
AI関連製品の輸出入は、どのように推移しているかを、財務省の貿易統計を組み替えて出荷指数と比較してみました。出荷指数と輸出指数は、足元は差がみられますがほぼ同じ動きを示しています。輸入は、出荷指数及び輸出指数に比べると緩やかな増加ですが、2023年以降下方トレンドに入っています。AI関連製品は、輸出にけん引されている姿がみられます。

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