1. ホーム
  2. 統計
  3. 経済解析室トップ
  4. ひと言解説
  5. 経済構造実態調査から見る2022年の商業

経済構造実態調査から見る2022年の商業

    皆さんは経済構造実態調査という調査をご存じでしょうか。

    経済構造実態調査とは、我が国の全ての産業の付加価値等の構造とその変化を明らかにし、国民経済計算の精度向上等に資するとともに、5年ごとに実施する経済センサス‐活動調査の中間年の実態を把握することを目的として、毎年(注1)実施しています。

    2024年10月29日に、2023年経済構造実態調査の「産業横断調査」における三次集計(注2)が公表されましたので、今回はこのうち、商業の概要について紹介していきたいと思います。

     注1 ただし、上記の調査目的であることを踏まえ、経済センサス-活動調査が実施される年は、経済構造実態調査を実施しません。

     注2 経済構造実態調査の商業販売額等の経理事項は、調査前年の1年間の数値です(例:2023年調査であれば、2022年の数値)。

    卸売業の商品販売額

    まず、2022年の卸売業の商品販売額は約457兆円となり、2021年の約413兆円に比べ、約44兆円の増加、増加率は10.8%となりました。中分類で見てみると、建築材料,鉱物・金属材料等卸売業が最も多く約133兆円、次いで機械器具卸売業が約124兆円、飲食料品卸売業が約86兆円という状況で、2021年から順位に変動は見られませんでした。

    図表01

    また、この対前年の増加率10.8%について、小分類別の寄与度の順位を見ると、1位は電気機械器具卸売業(1.3%ポイント)、2位が石油・鉱物卸売業(1.2%ポイント)、3位が鉄鋼製品卸売業(1.1%ポイント)でした。それぞれ、1位の電気機械器具卸売業の増加は、電子部品など、半導体部品不足などの落ち込みからの回復、2位の石油・鉱物卸売業の増加は原油価格の上昇、3位の鉄鋼製品卸売業の増加は鋼材価格の上昇の影響などが背景にありそうです。

    図表02

    小売業の商品販売額

    次に、小売業の商品販売額は約145兆円となり、2021年の約139兆円に比べ、約6兆円の増加、4.1%の増加率となりました。中分類で見てみると、その他の小売業が最も多く約45兆円、次いで飲食料品小売業が約38兆円、機械器具小売業が約30兆円という状況で、こちらも2021年から中分類の順位に変動は見られませんでした。

    図表03

    また、この対前年の増加率4.1%について、小分類の寄与度の順位を見ると、1位は自動車小売業(1.0%ポイント)、2位が燃料小売業(1.0%ポイント)、3位が医薬品・化粧品小売業(0.6%ポイント)でした。それぞれ、半導体部品不足の解消、原油価格高騰の影響、感染症流行等による医薬品需要の増加などが背景にありそうです。

    図表04

    経済構造実態調査の中から2022年の商業に注目して見てきましたが、卸売業を取り巻く環境としては、ロシアによるウクライナ侵略に端を発する世界経済の分断や、これに伴う資源価格高騰、インフレの高進で世界経済が減速感を強める中で、実需としては厳しい状況にあった一方で、円安による影響も含め、取引価格の上昇が販売額全体の押し上げに寄与した側面も少なからずあったように思います。また、小売業についても、円安の影響も相まった形での燃料・食料品等の輸入価格の上昇を映じて小売価格も上昇しており、販売額全体の押し上げに寄与した側面も少なからずあったように思います。

    経済構造実態調査は,今回ご紹介した商業だけではなく、全ての産業の売上(収入)金額や費用等を業種別にみることができます。2023年調査の集計結果は こちら からご覧いただくことが可能です。是非ご活用いただければと思います。

    (本解説に関する注意事項)
     本解説は、公に入手可能で、経済産業省経済解析室が信頼できると判断した情報を用いて作成しています。ただし、使用した情報を全て、個別に検証しているものではないため、これらの情報が全て、完全かつ正確であることを保証するものではありません。
     また、本解説は、統計等の利活用促進を目的に、経済解析室の分析、見解を示したものであり、経済産業省を代表した見解ではありません。

    お問合せ先

    問合せ先が表示されない場合はこちらのページからご確認ください