皆さん、最近映画館には行きましたか?
2024年はアニメ「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」や「劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦」が興行収入100億円超えの大ヒットとなり話題となりました。実写映画も健闘し「キングダム 大将軍の帰還」、「ラストマイル」、「変な家」の3作品が興行収入50億円を突破する等邦画はヒット作品に恵まれました。一方、洋画の興行収入が最も多い作品は「インサイド・ヘッド2」で、邦画の6位にも及ばず興行収入100億円を超える作品はありませんでした。
今回は映画業界の動向をみてみます。

市場規模は維持、邦画とアニメが好調
まず、国内の興行収入の動向をみてみます。2020年にコロナ禍の影響を大きく受けたもののその後は回復し、2千億円規模を維持しほぼ横ばいに推移しています。内訳について、2005年までは洋画が邦画を上回っていましたが、2008年からは逆転し洋画よりも邦画が占める割合が高くなっています。また、2020年以降はコロナ禍によるハリウッド作品等の公開延期や配信へのシフト、ストライキ等の影響を受けて洋画が不調となり、興行収入全体の約7割を邦画が占めています。また、興行収入10億円以上作品におけるアニメおよび実写の割合をみてみると、近年はアニメが好調で2024年には2000年以降で最もアニメ比率が高く57.2%となりました。


映画館はシネマコンプレックスが中心に
次に映画館のスクリーン数の推移をみてみます。シネマコンプレックスが右肩上がりで増加し2009年以降は全体の8割を超えて2024年には約9割を占めています。他方でミニシアター等シネマコンプレックス以外のスクリーンについては、過去と比較すると減少はしているものの一定数を維持しています。

好調な映画輸出
映画の輸出は好調のようです。輸出実績をみますと2024年は過去最高の5億4千万ドルを記録し、12年連続の増加となっています。クールジャパンの象徴たる「アニメ」が海外で支持されている姿を映し出しているでしょう。

まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて映画館は一時苦境に陥りましたが、邦画を中心に回復し、その後、ほぼ横ばいに推移していることがわかりました。様々な娯楽やコンテンツであふれる世の中になっても映画館で観る映画ならではの魅力があるのかもしれません。
一方で、コロナ禍を経て動画配信サービスの市場規模が拡大しています。GEM Standardの「動画配信(VOD)市場5年間予測(2025年-2029年予測)レポート」によれば、2020年3,877億円、2024年5,930億円と拡大し、2029年には7,873億円とされています。最新の映画は大きなスクリーンの映画館で楽しみ、上映期間を過ぎたら動画配信を利用して楽しむ方も多いのではないでしょうか。
また、今後はアニメ作品が、海外向けの輸出も含めてさらに映画市場を牽引していくことが見込まれます。
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