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2024年の第3次産業活動指数を振り返る

    2024年の第3次産業活動指数は、前年比1.0%の上昇となり2021年から4年連続の上昇となりました。このところ、一進一退を続けている第3次産業活動指数ですが、今回は第3次産業活動指数の2024年を振り返ってみます。

    製造業依存型事業所向けサービスは3年連続の低下

    第3次産業活動指数は、11の大分類から構成されていますが、今回は、最も詳細な業種に戻り再編加工した4分類(「広義し好的個人向けサービス」、「広義非選択的個人向けサービス」、「製造業依存型事業所向けサービス」、「非製造業依存型事業所向けサービス」)でみてみます。

    詳細は、こちらを参照してください。

    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/excel/b2015_ITA_grpj.xlsx

    上昇に寄与したのは、「非製造業依存型事業所向けサービス」、「広義し好的個人向けサービス」、「広義非選択的個人向けサービス」となりました。逆に低下に寄与した「製造業依存型事業所向けサービス」は、鉱工業生産が3年連続低下した影響を受けて同様に低下となりました。

    図表01

    上昇に影響した5業種

    図表02

    2024年第3次産業活動指数の前年比1.0%の上昇に寄与した個別業種の第1位は「金融商品取引業,商品先物取引業」が同21.1%上昇しています。その内訳となります「流通業務」が、新NISAなどの効果もあり東京証券取引所のプライムの売買代金は、2024年は2023年に比べて33%増加しているようです。

    第2位は、「飲食店,飲食サービス業」が同4.3%上昇しました。その内訳となります「食堂,レストラン,専門店」はコロナ禍前の水準までは回復していませんが、来店客数、客単価ともに増加しているようです。

    第3位は、「銀行業・協同組織金融業」が同2.1%上昇しました。その内訳となります「金融決済業務」が、キャッシュレス化の進展により銀行の決済が増えているためのようです。ちなみに日本銀行の資金循環統計によれば、2024年末の家計の現金残高は2年連続で減少しています。

    第4位は、「職業紹介・労働者派遣業」が同3.9%上昇しました。全般的に労働力不足が続きそれを補うために派遣労働者への需要が根強いようです。

    第5位は、「受注ソフトウェア 」が同4.4%上昇しました。慢性的な人手不足を解消するためDX化などを受けて幅広い業種からの受注があったようです。

    2024年第3次産業活動指数の上昇に寄与した5業種の推移をグラフにまとめてみました。

    図表03

    低下に影響した5業種

    図表04

    2024年の第3次産業活動指数の前年比は上昇でしたが、一方で逆に低下に寄与した業種があります。第1位は「自動車小売業」が前年比6.4%の低下でした。自動車メーカーの型式指定申請における不正行為により一部の車種が生産停止になった影響が新車及び中古車販売にも影響したようです。

    第2位は、「飲食料品小売業」が同2.5%の低下でした。総務省の消費者物価指数によれば、2024年は前年と比べて生鮮食品が7%上昇しているように食品の価格が上昇したため、実質ベースでは低下となりました。

    第3位は、「機械器具卸売業」が同2.4%の低下でした。鉱工業出荷内訳表・総供給表によれば、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置の輸出向けが好調でしたが、建設・鉱山機械や金属工作機械などの国内向け、輸出向けが共に低下していることが要因のようです。 

    第4位は、「ゲームソフト」が同20.8%の低下でした。ゲーム機の販売が減少していることに加えて、最新ゲームソフトがヒット作に恵まれていない模様です。

    第5位は、旅行業や冠婚葬祭業などが含まれる「その他の生活関連サービス業」が同6.8%の低下でした。観光庁の宿泊旅行者統計によれば、外国人延べ宿泊者が2023年に比べて38.9%増加しているのに対して、日本人の宿泊者が同2.6%減少しています。インバウンドの急増が宿泊代の値上がりにつながり宿泊を伴う日本人の国内旅行を押し下げているようです。

    2024年の第3次産業活動指数の上昇とは逆に低下に寄与した5業種の動向をグラフにまとめてみました。それぞれの品目が、異なる動きをして、総合指数に影響を与えています。

    図表05

    以上のように、2024年の第3次産業活動指数は上昇となりました。なお、構成する詳細な個別業種の指数もありますので是非ご覧ください。

    最新の第3次産業活動指数は、こちらからご覧いただけます。

    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-2.html#menu01

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